楽園の地図123号 ホイアンで見つけた新しい旅の可能性
もくじ
はじめに アメリカのイラン攻撃と、その報復
今週の楽園(A面) ホイアン旧市街
今週の楽園(B面)ホイアン郊外のビーチとベジタブルビレッジ
今週楽園で聴きたい音楽 luther/Kendrick Lamar & SZA
おわりに
はじめに
アメリカのイラン攻撃と、その報復
2月28日、アメリカとイスラエルがイランに大規模な攻撃を行い、最高指導者ハメネイ師を含む48人の政権幹部が殺害されました。一方、イランも報復として中東各地の米軍基地を攻撃。実は中東という場所は米軍基地が多く(参考リンク)、アラブ首長国(ドバイ含む)、カタール、バーレーン、クウェート、サウジアラビア、イラク、シリア、ヨルダン、キプロスなどに報復中です。個人的には、まさかサウジアラビアにまで攻撃するとは思わなかった。これらの国がさらにさらなる報復を行い戦争に加担したら、世界大戦とは言えないまでも中東全域が戦争に突入するかもしれません。
日本の外務省は海外安全情報を更新し、今や中東の国々のほとんどがレベル2以上(不要不急の渡航禁止)に指定されています。ニュースを見る限り、現在のアラブやカタールがレベル2というのは甘いですよね。そもそもドバイやドーハ行きの便は軒並み運休になっていて、ペルシャ湾の海上含む中東のほとんどの地域は民間飛行機は飛べない状況になっています。
さらにツーリストとしての話をすると、日本から欧州に行く飛行機に影響が出て、戦争以降ロシア上空も中東上空も飛べないとなると、アラスカ〜北極回りか、アゼルバイジャン・アルメニア・ジョージアなどコーカサスの狭い地域をすり抜けて欧州に向かうことしかできず、かなり往来に混乱が出ることが予想されます。
アメリカはなぜこのタイミングでイランに戦争をしかけたのか。バタフライエフェクトという言葉がありますが、仮にアメリカ国内で話題になっている「エプスタイン問題」がなければ、今頃トランプはイランを攻撃したのかな、と少し気になっています。どうもトランプが今回ベネズエラやイランに侵攻を仕掛けたのも、様々な問題を抱えるトランプ政権の支持率低下を回復させるために仕組んだのではないか、というのが情報筋の見方です。歴史上、戦争中の米国大統領は支持率を高めることが多く、トランプは以前から核開発疑惑があったイランを攻撃することで選挙前に国内の支持率を上げようとしたのではないでしょうか。一寸先は闇。エプスタイン問題が発覚した時にいったいドバイ在住者の誰がイランからミサイルが飛んでくる未来を想像したでしょうか。
ところで日本でも最近私たちはバタフライエフェクトを体験しました。わずか半年前のことですが覚えてますか?高市さんと小泉進次郎さんが自民党の総裁をめぐって選挙しましたが、最初は圧倒的に小泉優勢だったのが、麻生派が高市さん側についたことで形成が逆転。高市さんが首相に選ばれたことで、公明党は自民党と袂を分つ決断をします。すると今度は維新の会が与党入りし、野党となった公明党は立憲民主党と中道改革連合を結成(そしてボロ負けする)。この一連の流れは、仮に小泉さんが勝ってる未来だったらどんな流れになったのかな、と思わず想像せずにはいられません。塞翁が馬。何が起こるかわからないよね。
イランに関するニュース映像を長めながら、どうやら世界はまた一つ、混乱の方向に舵を切ったなと思いました。トランプも、プーチンも、彼らの暴走を今のところ誰も止めれないし、私たち市民にはそれをどうすることもできません。
だけどみなさん思い出してください。隕石が降って恐竜が滅んだとき、生き残ったのは逃げるのがうまかった小さな個体、隠れるのがうまかった小さな個体たちです。進化の過程で最後まで生き残ったのは、恐竜のように強く目立っていた個体ではありません。機会に敏感でしたたかだった者たちです。あなたは強い人を目指す? それとも賢くなる? それとも政府や周囲を批判して溜飲を下げる?
私はもしも日本が戦地になったら海外に逃げてその場所にリトルトーキョーを作りたいと思います。リトルトーキョーを作るなら、ベトナムのホイアンなんかかなりいい場所だな。
今週の楽園(A面) ホイアン旧市街

ランタン推しの旧市街
今日の楽園はホイアン。前号のフエの次に訪れた観光地です。今回の旅はそもそもバンコクとプノンペンで用事があったので、タイとカンボジアに行くことは確定していて、プラス1カ国と考えた時にベトナムを組み込んだのですが、これが思いのほか面白く、結果的に今回の旅の行程の半分以上をベトナムに費やしました。
ベトナムの魅力は、都市によって、地域によって色合いが大きく変わるということだと思います。前回紹介したフエやニャチャンもそうですし、大都市のハノイやホーチミンも全然違うし、そしてホイアンも違います。
もしもあなたが2泊3日、あるいは3泊4日ぐらいの旅程があって、ベトナムのどこかに行くのであれば、私はダナンとホイアン(この二つの都市は車で40分程度)を含む中部を勧めると思います。ハノイ(北部)やホーチミン(南部)もいいですが、ベトナムらしさを味わうならホイアンかなと。
ホイアンのわかりやすい魅力は、なんと言っても写真のようなかわいいランタンがたくさんあることです。ガイドブックなどによると、旧暦の毎月14日にランタン祭りが開催されると掲載されていると思いますが、はっきり言って毎日がランタン祭り状態で、特にあなたがインスタグラマーとかでこだわりの写真を撮りたいとかでもなければ、わざわざ14日に合わせる必要はないかと思います。
この街の何がいいって、人口12万人の小都市なので、旧市街が端から端まで歩いてちょうどディズニーランドぐらいの距離感しかないんですよ。1時間もあれば大雑把に街を歩けちゃいます。街並みも全般がテーマパーク感あるので、この箱庭のような都市を歩いたり、たまに船に乗ったりしながら2泊、3泊するのをお勧めします。旧市街は道が狭く、そのことでスピードを出したバイクの往来が他の都市より控えめです。

狭い路地がたくさんあり、そのことがバイクや車の往来を減らしていて、のんびりできる
とは言えベトナムという国の不思議なところは、都会と地方でそこまで生活の利便性に変化がなさそうなところです。典型的な地方都市ではありますが、世界中から観光客が訪れるホイアンには外国人から見て必要なインフラがすべて揃っています(もちろん観光客が1人も行かないような地方都市は知りません)。ホテルの宿泊代もハノイやホーチミンに比べると格段に安いので、普段忙しくなく働いているあなたも2泊3日ぐらいでも弾丸でやってきてこういう場所でのんびりすればいいじゃない!ベトナムはご飯も美味しいしおすすめですよ! それに、ランタンに興味なくても、ベトナムの魅力のひとつはナイトマーケットです。何も買わなくても、眺めているだけで楽しいんですよね。

ホイアン名物ナイトマーケット。どれも安くて気負わず買える。

小物の一つずつが、わりにセンスがある気がする。
ただ、一つ気をつけて欲しいのは、ザ・観光地なので、特にレストランにおいてはいわゆる観光客トラップ、たいしたクオリティじゃないのにそこそこの価格がするレストランとか、フォトブースでランタンと写真を撮っていたら実は有料だったとかでお金を請求されたりします(2万ドン=100円ですが)。観光客トラップと言いつつ雰囲気は最高だったりするので気にせず過ごしてもいいですけどね。
ということで、レストラン選び、お店選びだけは失敗して欲しくないので、いくつかよかったレストランやカフェ等を挙げときます。ついでに利用したホテルも教えちゃお。
【レストラン系】
Hoi An Heart Restaurant(ベトナム料理、庶民的)
→旧市街中心部にあるリバーサイドビューレストラン。値段は庶民的。普段使いにおすすめ。
Reu Dining(ベトナム料理、やや高級)
→郊外の農地の近くにあるレストラン。地産地消メニューに注目。接待やデートにも使える。のちほど文中で紹介します!
【カフェ・バー系】
Hoi An Coffee Hub(カフェ)
→旧市街の入り組んだ路地の中にある隠れ家カフェ。テラスの木漏れ日気持ちいい。
Lady Buddha Coffee(カフェ)
→美味しいコーヒー。旧市街と郊外をつなぐ幹線通りにあり行きやすい。
Mê Hội An Rooftop Coffee & Kitchen(カフェ、ルーフトップ)
→ぜひ屋上のルーフトップからホイアンの市街地を眺めてみて。味は普通。
【マッサージ】
Relaxanh Wellnwss Spa(マッサージ・スパ)
→設備が整っていてそこそこ安いマッサージ・スパ。ベトナムはマッサージのコスパいいので試してみて。
【ホテル】
Sala Hoi An Hotel(4つ星ホテル)
→4つ星らしいけど1泊4000円前後で泊まれる。旧市街に歩いて行けて広い立地がGOOD!時期や隣室の状況によっては少し夜は騒々しい。
これらは私が2026年2月に利用してよかった場所なので、どれも信頼できると思いますよ!これからホイアンに行く人はこのままコピペして使ってね!

散歩するなら川沿いが最高ですよ。
◇
ホイアンはランタンが名物ではありますが、かなり歴史ある古都で、実は日本とも縁深い場所。16世紀ごろにはすでに港町として発展し、大規模なチャイナタウンや日本人街(リトルトーキョー)が誕生します。日本橋という橋が街の中心部にあって、古くはここより東がチャイナタウン、西が日本人街だったそうです。ところが17世紀には、日本の鎖国政策などの影響があり勢いが下がっていたところに、そもそも浅瀬だったため巨大化する貿易船が発着しづらい場所だったことが影響して、お隣のダナンに貿易港の座が奪われてしまいます。一方で、古い街並みが保存され、ベトナム戦争などの大規模な戦争時も破壊されなかったため、現在は古いベトナムやチャイナタウン、日本人街などがベトナム人、外国人にも評判を呼び、観光地として賑わっています。
というわけで、日本人街を再び海外に作るなら、ホイアンはその歴史的な意味のある土地なんですよ。
さて、ここからが今号の本題です!!!
今週の楽園(B面)ホイアン郊外のビーチとベジタブルビレッジ
実は私は2014年にもホイアンを訪れて、そもそもが小さな街なので(さっきディズニーランドぐらいと行ったけど、旧市街はそうだな、伊勢のおかげ横丁ぐらいかも)、まあ12年ぶりだから街は様変わりしているとは言え、知ってる街並みだったんですよ。それなりにリフレッシュしたし大量のランタンには感動したけど、想像していた通りの居心地のいい街並みってぐらいで。
ところが、12年ぶりに訪れて、そんなホイアンの別の魅力を知ってしまいましたので、レポートしますね。
ホイアンには、郊外にアンバンビーチという素敵なビーチがあるんですよ。12年前に来た時はホイアン=旧市街なので郊外は見に行かなかったんですけど。ちなみに、位置関係はこうなってます。旧市街からビーチまではだいたいGrabという配車アプリで10分ぐらい。

アンバンビーチ
ビーチにはサマーベッドとパラソルがありますが、これ、500円で借りれちゃいました。「楽園」好きな私は世界のさまざまなビーチに行きましたが、安全な環境で、500円でパラソルとサマーベッドが借りれる場所は世界を探してもなかなかないんじゃないかと思います。
ホイアンの旧市街に飽きたらこのビーチはなかなかいいんじゃないでしょうか。なお、このビーチの周囲にもレストランやホテルなどもありますので、リゾート好きの人は旧市街ではなくこちらに宿を取るというのもありだと思います。

ビーチのそばにはこのようなLaid backした雰囲気のレストランが多数ありまして、まあ豪華な海の家って感じで軽食しか食べられませんが、この周辺は健康志向の高いツーリストが多いのかブッダボウルやサラダをはじめオーガニック系のメニューが充実していました。ホイアン=ランタンという常識を覆す旅となりました。
まだあります。この旧市街とアンバンビーチの間に、Tra Que Vegetable Village(トラケベジタブルビレッジ)という村があります。少し要素が増えてきたと思うので地図にまとめてみました。地図を作成してみたのでご確認ください。
このトラケベジタブルビレッジは、旧市街から見てアンバンビーチの手前にあるんですが、要は農村なんですが、観光客向けに料理教室や農業体験なども行なっています。お子さんがいるような家族連れにとっては、ベトナムの農業体験や料理教室は意義深い体験になるんではないでしょうか。

地元野菜を栽培するトラケベジタブルビレッジ。旧市街からサイクリングでも20〜30分の距離です。
体験系はハードルが高いと思いますが、そんな方でも、ビレッジで採取された野菜をふんだんに使ったレストランがありまして、それが先ほどおすすめレストランの項目で紹介したReu Diningなんですよ。

Reu Dining。その場で採れたハーブ類や、ビレッジで採れた野菜を使ったベトナム料理が味わえる。
美味しいご飯なんて東京都心でも食べられるし、単純な味の比較では都会の方が腕がいいのかもしれません。でも、畑を実際に見たあとに食べた料理(しかもフランス料理のように手が込んでいた)は格別でした。
フランスなどでよくあるんですが、いわゆるオーベルジュ(農村にある宿泊施設を備えたレストラン(レストラン+宿泊+場合によっては農業体験も))のようなスタイルで、宿泊こそできないものの地産地消を垣間見れるような施設があって、料理のクオリティも素晴らしかったし非常に文化的な体験ができました。こういう文化教育要素のある施設ってどちらかと言えば先進国にあるイメージですが、いやはやベトナムは侮れない国だなと思いました。
しかもこの村には、畑を見ながらのんびりコーヒーを飲めるいい感じのカフェなんかもあって、リフレッシュとしては最高でした。

私が思うに、朝と夜は旧市街、昼はビレッジやビーチに出かけるという旅のスタイルなら、ホイアンだけでも2泊は充実できる気がします。この他にも、時間の都合で行けなかったけど離島なんかもあって、ホイアンはこの、旧市街の幻想的な感じと、ビレッジ&ビーチのレイドバックな感じのバランスが最高でした。
いやー、あらためてホイアンいいところだったな。しかも、都会派のあなたには次回紹介するダナンとセットで観光できます。飛行機を使わない距離、車で1時間以内の場所に次の都市があるってのもいいですよね。ということでホイアンから愛をこめて。
今週楽園で聴きたい音楽 luther/Kendrick Lamar & SZA
いつもマニアックな曲をいっぱい紹介してますが、今回は王道の曲でごめんなさい。アンバンビーチで聴いていたのが、Not Like Usでドレイクとのビーフ合戦(ディスり合い)も話題のケンドリック・ラマーと、「Ctrl」で2017年に彗星のごとくシーンに登場したセントルイス出身のR&Bシンガー、SZA(シザ)が、2024年に組んだ名曲、Luther。1982年の名曲、If This World Were Mineをサンプリングしています。
ただ、私がこの曲のラマーから感じるのは、むしろ音の洪水が溢れる現代に、あえて音数が少ない、無音の箇所を作ったり余白を作ったりしているところです。途中のバース、Fah、というだけのところも気になりますよね。ラッパーなら、あそこにもヴァース(歌詞)を入れて情報を高めたいはずです。でもだからこそ、ビーチでのんびりと聴く音楽に仕上がっているのかと思います。ラマーがこれだけ余白の多いリリックにすることで、後半、SZAのフック(サビ)の高揚感が半端ないです。
デビューから全盛期へと、まだ階段を駆け上がってる段階のSZAはともかく、ケンドリック・ラマーは、もはや世界の音楽業界の頂点に立つような男で、頂の頂上にいることでしょう。ドレイクとのビーフも、敵が勝手に自滅しただけと思わなくもないですが、とにかく王者の孤独を感じます。そして、王座に近づけば近づくほど、手に入らない何かも具体的になるわけで、この曲はそんなことも歌っているのかな、と思いました。これは大人の音楽ですよ。大人の恋愛と、大人の曲。日本社会(韓国社会も)は誰しもが若造りをして、誰も老けなくなった、大人になれなくなった社会と言えるかもしれません。そしてこれは他ならぬ、アメリカの病理でもあります。彼らのアクターとしての能力もこのMVで十分に体感してください。アンバンビーチにとてもマッチした曲でした。
おわりに
助手「船長! 船長! 船の底が擦れて港に上陸できません!」
船長「うーん。やっぱ浅瀬のホイアンには船は上陸できないか。しょうがない。ビーチを遠くから眺めて我慢しよう」
助手「綺麗なビーチだなあ。双眼鏡で見てみよう」
船長「何か見える?」
助手「うーん、AirPodsで何か聴きながら寝そべってるメガネのアジア人男性がいます」
船長「つまらんな。他に何かないのかよ」
助手「あ、あっちにナイスバディの水着のロシア人」
船長「え、どれ? どんな人?」
(船長、助手から双眼鏡を取り上げる)
助手「あ、ちょっと。双眼鏡は僕のものです」
船長「そうだけどちょっとぐらい貸してくれてもいいじゃないか」
助手「そんなナイスバディのロシア人が見たいですか?」
船長「いやそうじゃないけど」
助手「船長。双眼鏡は海賊などの敵を早急に発見するためのですよ。何を見てるんですか」
船長「あ、あっちは中東系、たぶんイラン人美女だー」
助手「イラン人女性はビーチで水着にならないから違うと思うけど、本当なら世界は平和ですね」
船長「いいか助手。戦争がない場所の双眼鏡というのはな、ビーチを眺めるためにあるんだぜ」
助手「いいこと言ってる気になってるかもしれないけど、ただの変態ですよ」
(つづく)
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