楽園の地図101号 世界の最新ニュース(東南アジア編)

Dataran Merdeka, KL, Malaysia
もくじ
はじめに(新企画の挨拶と言い訳)
今週の特集 東南アジア各地域の最新ニュース!
エリア1 シンガポール
→ハイテクシティの島を走る「無人バス」
→楽園の地図的お勧めラッパー、ShiGGa Shay(西阁)の魅力
エリア2 マレーシア
→リノベビルがKLを代表するカルチャースポットに
→各テーブルにプレーヤー&ヘッドフォン装備のリスニングカフェがオープン
エリア3 バンコク
→バンコクのレストラン「Sorn」がタイ料理として世界初のミシュラン三つ星に!
→カンヌでグランプリを撮った映画「A Useful Ghost」が8月28日タイで公開
エリア4 バンコク以外のタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー
→ノマド天国チェンマイの「カームヴィレッジ」が素晴らしい
→タイ最後の秘境?パーイに行きたい(パーイ)
エリア5 フィリピン、ベトナム
→独自の英語学習法「CALLANメソッド」「R.E.M.S.方式」(フィリピン)
→2024年公開の映画「MAI」がロングラン中(ベトナム)
エリア6 インドネシア
→ロシア人が作る新施設「Nuanu Creative City」(バリ島)
→若手ミュージシャンの台頭!(インドネシア全土)
おわりに
はじめに
さて、4週間にわたる休憩を経て再開しました楽園の地図。今週から新企画を試したいと思います。はじめに断っておきますが、正直みなさんはどう感じるかわかりません。わからないということは、「ぜんぜんつまらない!」ということがあり得るということだと思います。そこで、二つほど前もって言い訳をしておきます(笑)。
言い訳1 挑戦する失敗のほうがいいと思います。
正直に言えば、もう少し練ってから始めるべきなのかもしれません。でも、もう4週も休んじゃったし、このままいくと永遠に休みそうなので、試してみたいことは試してみるに限るじゃないですか。挑戦しないことより、挑戦して失敗するなら、そっちの方がいいかなって思います。
言い訳2 この企画はずっと温めていた企画なんです。
意外かもしれませんが、この企画は、実は「楽園の地図」が始まる前から、もう6、7年前から、やりたいと思っていた壮大な企画のうちの一部であるということなんです。
◇
旅から帰るとついその国や街のことを忘れちゃうことってよくあると思います。滝とか山とか海とか自然物は3年や5年ではなくなりはしませんが、その街が持っていた空気のようなものは、3ヶ月もあれば様変わりしてしまいます。お気に入りのお店などは潰れてもう2度と行けないこともあります。「お気に入りのお店の閉店」も悲しいけど、「お気に入りのお店が閉店してることすら知らなかった」の方が悲しみが深いし、それって自分のアンテナの問題だから、どうにかできたことなんですよね。旅に出かけたあの国がいつの間にか戦争に巻き込まれていたり、情勢が不安定になっていたり。それって、旅から帰ってきたら日常の生活で忘れちゃうからだと思うんですよね。
私は自宅にいながら、アンテナを伸ばし続けることは可能だと思うし、それがどうやらやりたいことのようです。というわけで、今週から、世界をいくつかのエリアにわけて、その地域の最新の話題を取り上げるという企画をやってみたいと思います。今週は東南アジア10カ国の最新ニュースをお届けします!
今週の特集 東南アジア各国の最新ニュース
さて、東南アジアには、現在11の国家があります。人口は約6億4000万人で、なんとEUよりも多い人口を抱えています。その中には、シンガポールやブルネイのような日本より豊かな国家から、ラオスや東ティモールのような貧しい国、ミャンマーのように現在進行形で内戦が起こる国、日本と同様に少子高齢化に悩むタイのような国まであって、とても多様な地域です。一方で、この地域には、なんとなく「中国の文化とインドの文化が混じり合う、国際的な海路の通り道」というゆるやかな共通点があり、日本とおなじく、米を主食とする人々が暮らしているという共通点があります。2002年に独立した若い国、東ティモール以外は、ASEANという地域連合を組んでいます。現在、世界では「世界の工場」の異名を持っていた中国が地政学的なリスクがあるということで、中国から工場を撤退させていますが、中国の代替え機能を持つ国家として、ベトナム、タイ、インドネシアなど特に人口の大きめの国に注目が集まっています。
楽園の地図的には、最後に映画や音楽の話題を。映画の世界で言えば、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどの国は盛んに映画を作っています。ただ、国際的な市場を獲得しているかというと、タイをのぞく他の地域はまだまだという印象。タイ映画は特にアジア地域でファンを増やしていて、特にタイのBL(ボーイズラブ)ドラマはここのところ日本でも人気です。BLのような特殊な世界でなくても、タイのエンタメ映画はミュージックビデオやCMの世界から映画業界に転身した ナタウット・プーンピリヤ 監督作品の映画がリードしている印象。タイ以外の地域の映画はまだこれからという印象です。
音楽的には、昔から豊富な音楽文化を持つインドネシアがこの地域で注目すべきシーンと言えるでしょう。インドネシアとマレーシアはほぼ共通の言語を持っていて、かつ2カ国ともイスラム教の国ということで、この2つの国のポップスシーンはほとんど垣根がありません。マレーシアと比べるとインドネシアのほうが人口も多いので、マレー系のシンガーはインドネシアに活躍の場所を移す人も多いです。そんなインドネシアの首都ジャカルタがこの地域の音楽文化の鍵を握っていると思います。ジャカルタの最新音楽シーンを知りたければ、We The Fest(インドネシアのサマソニと呼んでいいかも)のラインアップなんかをみてみるといいかもしれません。もう一つの中心点はやはりタイ・バンコクでしょう。タイ国内だけではなく、カンボジア・ラオスなど隣国からもミュージシャンが集まる、東南アジアの音楽ハブだと思います。タイの音楽フェスなら ワンダーフルーツ (これはタイのフジロックだ!)が有名です。
当記事では、11の、多様な文化を持つ国を、6つのエリアに分けて、それぞれの最新ニュースをお届けします!

今日の記事の6つのエリア分け
エリア1 シンガポール
エリア2 マレーシア(ブルネイ含む)
バンコク都市圏
エリア2 バンコク以外のタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー
エリア3 フィリピン&ベトナム
エリア4 マレーシア(ブルネイ含む)
エリア5 シンガポール
エリア6 インドネシア(東ティモール含む)
エリア1 シンガポール(自動運転バスが街を走る!)

完全無人運転のロボバスが街を走行!?(セントーサ)
シングリッシュと中国語を駆使するラッパーShiGGa Shay (シンガポール)
シンガポール特派員の楽園の地図です! このコーナーではシンガポールの最新トレンドをお届け!
東南アジアのビジネス的な中心地と言えば、シンガポールを置いて他にはないと思います。みなさんは、シンガポールには「何人」が住んでいるかご存知ですか? シンガポール国籍を持つという意味ではシンガポールに住むのは「シンガポール人」で間違いありませんが、民族的な意味では、「シンガポール民族」は存在しません。シンガポールは元々はマレーシアの一部を構成する都市で、古くから海運上の重要拠点だったため、港ができ、さまざまな民族が集まり、それが独立した結果、多様な民族が集う都市国家になりました。とはいっても、住民の74%は中華系。残りの14%がマレー系、9%がタミル系です(外務省HPより)。タミル系とは、インド南部の地域を指し、タミル語という独特の言語を持ちます。中華系は広東省や福建省出身の人が多く、かつては地元の言葉を駆使し、繁体字を皆使っていました。しかし、異なる文化を持つシンガポールを束ねるため、シンガポールの初代首相リー・クアンユーは英語教育を徹底、さらに中華系シンガポール人を束ねるため、中国政府は簡体字、そして北京語をシンガポールの国語と制定します。よって、この国の公用語は、英語、中国語(北京語)、マレー語、タミル語の4種類です。最近では、同じく英語が堪能な東南アジア国家、フィリピンからの出稼ぎが多く、フィリピン系はシンガポールの第4勢力となりつつあると個人的には思ってます。近年は貿易拠点、そして現代は金融拠点として、国民一人あたりの所得はスイス並の超富裕国家であることはみなさんご存知の通り。
そんなシンガポールでいま注目なのは、なんといっても自動運転バスでしょう。シンガポールは国家全体が一つの島を構成していますが、その南にセントーサ島という島があります。ここはかつては護衛用の砲台が置かれるなど軍事基地があった場所ですが、戦後はリゾート地に変貌を遂げました。特にアジアの富裕層の心を掴んで離しません。セントーサは、すごくお金持ちの多いお台場と考えればだいたいイメージ通りです。そんなセントーサで、2025年7月に、東南アジア初となるバスの無人運転をスタート(参考)。
現在、セントーサ島のホテル、モールなど3ヶ所のみを結ぶバス、かつオペレーターが同乗していますが、今後は完全に無人化する準備があることがWeRide社によって発表されてます。そして、これが成功すれば、やがてはシンガポール中を自動運転バスが走る未来が来るかもしれません。どちらにせよ、明らかに日本より自動運転に関しての実証実験はすすんでいます。シンガポールに観光に行った際にはぜひ乗車してみてください。
◇
そんなシンガポール出身のラッパーで、私のSpotifyのプレイリストに入れてヘビーローテーションしているのが ShiGGa Shay(西阁)です。英語と中国語を駆使してラップするんですが、どっちも魅力です。2曲ほど聴いてください!
PENG/SHIGGA SHAY(西阁)
PENGは英語詞ながら中国楽器をサンプリングした印象的なトラックで、シンガポール人が話す英語、通称、「SINGLISH」について堂々と歌っています。シングリッシュって、どちらかといえば国際的にはバカにされがちなんですが、Shigga Shayはその言葉を使って、高らかとシンガポールの魅力を語っています。
もう一曲は台湾のラッパー、瘦子 E. SOとのコラボソング、BO BEH ZAO 沒馬跑。
BO BEH ZAO 沒馬跑/SHIGGA SHAY(西阁)&瘦子 E. SO
沒馬跑とは、ことわざのようなもので、「他に走る馬がいない」=他に選択肢がない、という意味です。そこから転じて、唯一無二の存在、敵がいない状態を意味します。ラッパーらしく、自分の能力を高らかに誇る歌詞というわけ。ま、そんな意味は置いておいても、言葉の響きだけでも楽しめる曲です。難しいこと考えずに、とにかく聴いてみて、きっと面白いから。
他にも、シンガポールにはSOBSやYung Rajaなど素晴らしいミュージシャンがたくさんいますが、それはまた今度紹介しましょう。シンガポールより楽園の地図でした!
エリア2 マレーシア(リノベビルとレコードカフェ)

The Zhongshan Buildingはマレーシアのネクストレベル(クアラルンプール)
「ビニールカフェ」でレコードに没頭しよう!(クアラルンプール)
Salam! マレーシア、クアラルンプール特派員の楽園の地図です。この低成長時代、中国バブルも弾けんかなの時代に5%以上/年の経済発展を遂げ、先進国に大手をかけたと個人的に思ってるマレーシア。最近でも、いわゆるフードデリバリーの配達員など「単発労働者」向けの法整備を行うニュースや、隣国シンガポールの面積が狭いことを理由に、対岸のジョホールバルにデータセンターを置く流れを加速させる動きなど、開発に余念がありません。明るい未来に向けて爆走中です。
そんなマレーシアからは、とっておきのカルチャースポットを紹介します。まずは、クアラルンプール(以下KL)よりリノベスポット、The Zhongshan Building(中山同郷会)をご紹介。2017年オープンで、今もKLのおしゃれな若者に出会いたければここに行け!と言われるスポットです。

オフィシャルサイトのAboutページを見てもらうとわかりますが、ここはチャイナタウンにある1950年代築の古いビルを地元アーティストがリノベしたスポット。マレーシアの新スポットといえば大手デベロッパーが開発した大規模なモールや郊外に開発された大規模な街開きが多いんですが、近年、特にチャイナタウンや旧市街では、小資本やインディペンデントな再開発がちらほらみられるようになってきました。これって、国の発展と関係してると思うんですよね。たとえばマレーシアよりさらに発展している台湾や韓国では、かつての古い工場やビルを若手アーティストが再開発する、なんてことは日常茶飯事。マレーシアもユースカルチャーが成熟して、とうとう古いものを愛でる域に入ってきたと言っていいと思います。
ビル内には、独立系書店(Balai Buku Raya)、ベーカリーカフェ(Tommy Le Baker)、レコード屋(Tandang Record Store)、手作り工芸品を取り扱うINKKAなど魅力的なお店がたくさん。Instagramを見てもいろんなイベント盛りだくさんで楽しそう! マレーシアに芽生えつつあるインディペンデントカルチャーの盛り上がりを感じてください!
◇
続いてKL郊外のペトランジャヤよりめちゃくちゃイケてるカフェを紹介します!
その名も、Eternyl。ビニールカフェと名付けられたこのお店は、なんとそれぞれのテーブルにレコードプレーヤーとヘッドフォンが置かれていて、お客さんは自由に店内のレコードを試聴できるという素晴らしいカフェ(動画)。

This New Cafe In PJ Is A Cosy Date Spot For Music Lovers With Vinyl Listening Stations & Over 500 Records(The Smart Local Malaysia)
500枚以上あるレコード(ピンク・フロイドなど定番の古いロックから、アヴリル・ラヴィーン、ドクター・ドレーまで種類はバラバラ)の中から、一人で、あるいは恋人や友達と、自由に音楽を鑑賞できます。なかなか素敵な試みじゃないですか。ああ、こんなお店、東京にもあればいいのに。
経済だけでなく、文化面でも伸び盛りの国、マレーシアより楽園の地図がお届けしました。
エリア3 バンコク (ミシュランレストラン&カンヌ映画!)

タイ初の快挙!ミシュラン三つ星レストラン「Sorn」(プロンポン)
カンヌ映画祭の批評家週間でグランプリを受賞した映画「A Useful Ghost」(バンコク)
さて、他の地域は国によって分かれていますが、バンコクだけは一つの都市で一つのエリアとして紹介します。先ほど、経済的な意味での東南アジアの中心地をシンガポールと書きましたけど、文化的な意味での中心はやはり今も昔もバンコクだと思うんですよね。バンコクは、2024年、国際観光客の訪問者数で世界一と言われています。なんと、2024年の調査では、3240万人!もの人がバンコクを訪れたそうです(Bangkok crowned world’s top tourism city in 2024)。やはり、楽園の地図としても、世界の潮流と同じくバンコクの情報を取り上げていきたいと思っています。特に思い入れのある都市なので。
そんなバンコクで今話題なのは、2025年、タイで初めてミシュランガイド、三つ星の評価を得たレストラン、Sorn(プロンポンエリア/タイ料理)でしょう。タイ南部地域の伝統料理を現代風にアレンジした名店。ミシュラン掲載店は世の中に多数あれど、その中で星を獲得できるレストランは一握り、さらに最高の評価である三つ星を獲得できるレストランの数は、世界で140〜150店舗しかありません(疑うならWikiの英語版見て)。140と聞くとまだまだ多いと思われるかもしれませんが、フランス(30店舗)や日本(23店舗)など一部の美食大国に集中する傾向があって、他にも三つ星に選ばれているのは軒並み先進国が多いです。途上国でミシュランガイドの三つ星店があるのは、中国(本土)とタイだけ。中国は途上国とはいえ、「メシの先進国」とでも言える国なので、タイの三つ星は奇跡と言っていいと思います。しかも、タイ料理レストランでの三つ星もここが世界で唯一だそうです。いやー、私は長らくバンコクにいたので、行っておけばよかったなとちと後悔してます。
バンコクのミシュラン星付きレストランはSorn以外にも、2つ星だとBaan Tepa、Mezzaluna、R-HAANなど7店舗、一つ星レストランは26店舗ありますが、楽園の地図的なオススメは安くて気軽で美味しいという三拍子揃ったビブグルマンの価格帯のお店を攻めること。はっきり言ってバンコクはこれで十分です。45店舗もあるのでこれだけを頼りにバンコクを観光してもいいほど。私は現在ビブに選ばれてる店ではチャイナタウンのUrai Braised Gooseに行きましたが、ここのガチョウ肉、最高にうまいですよ。
◇
バンコクからはもう一つ、映画の話題を。食の権威がミシュランなら、映画の権威はカンヌですよね。2025年、カンヌ国際映画祭の批評家週間という、世界から、長編映画デビュー1作目か2作目の作品のみがノミネートされるといういわば若手監督を発掘する祭典で、グランプリをタイ映画が獲得しちゃったのです。やっぱ、東南アジアの映画界においては、タイが何馬身もリードしてますね。その映画のタイトルは「A Useful Gohst」。日本語訳すると、「役立つ幽霊」? どんな作品なんでしょう。さっそく予告編をご覧ください。大丈夫、言葉はわからなくても面白いから。
はい、なんと掃除機に化けてしまった幽霊が大暴れするという荒唐無稽な設定ながら、スタイリッシュな映像と妙に生々しい演出が冴えてます。うーん、これは面白そう。今回の作品でカンヌのお墨付きがついたRatchapoom Boonbunchachoke(ラチャプーム・ブーンブンチャチョーク)は、今作が長編デビューの新人。私が思うにストーリーの面白さより映像美にセンスを感じる人の方が映画業界で大成するイメージがあるので、タイ映画業界を一段上にあげる存在になるんじゃないかと思います。
なんにせよカンヌにミシュランに世界的権威がバンコクの才能に首っ丈みたいです。バンコクのカルチャーシティとしてのプレゼンスはまだまだ上がりそうですね。以上、バンコクより楽園の地図がお伝えしました。
エリア4 バンコク以外のタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー(ノマド御用達の最新スポットと温泉)

ノマド天国チェンマイの「カームヴィレッジ」が素晴らしい(チェンマイ)
タイ最後の秘境?パーイに行きたい(パーイ)
サワディカー! ここでは、バンコク以外のタイ、そしてタイを取り囲む3カ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の最新ニュースをお届けすしますよ。さて、バンコク東北部の古都、チェンマイは、別名「ノマドの首都」と異名を持っていて、世界中からパソコンを片手にデジタルワーカーが集う都市です。チェンマイがノマド民に人気なのは、生活コストが安いこと(ただでさえ世界的に物価の安いタイで、さらにバンコクではなく地方都市であること)、森に囲まれていて熱帯気候だけど住環境も優れていること、一方で、世界でも最速のペースで5Gをタイ政府が導入したことから、インターネット速度が早いことなどが挙げられます。ノマド民向けに1ヶ月から借りれるアパートも増加。一説には3万人もの外国人ノマドが常時チェンマイを訪れていると言われています。
実際に体験される場合は、最初はホテルに宿泊して、慣れてきたらCM4DN(その名もChiang Mai For Digital Nomads)で物件を探したり、NOMAD Rentalなどのサイトで最適なサービスアパートメントを探してもいいと思います。
そんなチェンマイノマド民に愛されてる最先端スポットが2021年にオープンしたカームヴィレッジ。手作りのレンガを使った8棟からなるチェンマイ旧市街では少し規模の大きめな施設で、図書館、カフェなどノマド作業に向いた場所から、PC作業で疲れた体を癒すヨガ教室やインスピレーションを刺激するクラフトの展示など、ノマド民じゃなくても体感してほしい居心地の良さがあります。
◇
また、チェンマイからさらに130kmほど山奥に向かったパーイという街が気になってます。私が最初にこの街の名前を聞いたのは旅仲間の神田桂一さんからでしたが、チェンマイがデジタルノマドシティとして台頭する反面、さらなる静けさを求めた人が向かうスポットです。
パーイは温泉や滝があって、白人が多くて、ラオスのルアンパバーンと近いかもしれません(ルアンパバーンよりさらに田舎ですが。。。)。山奥で温泉がある感じは箱根とか伊香保とかにも近いかな。チェンマイがノマドの街なら、パーイは完全にヒッピーの街ですね。より自然に帰って、心身を整える場所です。温泉は岩場に温水が流れる雰囲気抜群のターパーイ温泉や、エメラルドグリーン色の水がきれいなサイ・ガーム温泉なんかが有名です。そのほかにも、名前もない温泉がたくさんあるそうですよ。
チェンマイやパーイを含むタイ東北部は最近はコーヒー農園で有名で、ぜひコーヒーをたくさん飲んでほしいと思います(ひょっとして良質なカフェインが取れるのもノマド民に人気の秘密??)。パーイでは、ホテル併設のCarrot on the Moonやヨガボウル、アサイーボウルなんかも食べられるオーガニックカフェFAT CATなんかもおすすめ。たとえば、チェンマイでマンスリーマンションを借りて、パーイやチェンラーイ、あるいはアカ族など少数民族の村なんかに時折ショートステイするのもありですよね。ああ、楽しそう。。以上、チェンマイより、タイの地方部とインドシナ各国の話題を今後もお届けします!
エリア5 フィリピン・ベトナム(語学留学と大ヒット映画)

独自の語学学習法「CALLANメソッド」「R.E.M.S.方式」(フィリピン)
2024年公開の映画「MAI」がロングラン中(ベトナム)
Xin chào! フィリピン・ベトナム2カ国の特派員の楽園の地図です。私は日本に馴染みの深いフィリピンとベトナムの2地域の情報をお届けしますよ!
フィリピンといえば最近は8月15日に日本人が殺害されたり(参照)、なぜか日本で報道されるフィリピン関係の話題は何かと物騒なものが多いのですが、どうやら日本人同士の怨恨を巡った事件だったようで、フィリピン=怖い場所!と短絡的に考えるのは濡れ衣だと思います。
さて、フィリピンといえば個人的に注目なのは語学留学です。もともとフィリピンという国は島が多いためそれぞれの地域で多言語が話されていました。一方、20世紀の前半はアメリカ領だったため、異なる島の人々がコミュニケーションする手段として共通語として英語話者が他の植民地地域よりも普及しました。マニラ近郊で話されるタガログ語(フィリピン語とほぼ同じ)の話者も多いですが、国民の70%が英語話者と言われています。
さらに、そんなフィリピンの特性に目をつけたのが90年代の韓国人で、韓国によってフィリピンはアジアの英語留学の聖地として発展しました。現代ではスクールの数も増えたので各校それぞれの個性を打ち出しています。たとえばCebu International Academy (CIA)など、もはやリゾートホテル?と思わせるような学校です。ただ、私のおすすめは、老舗のQQ Englishです。ケンブリッジ大学やオックスフォード大学で英語を学んだプロフェッショナルが教師として教えてくれるのが魅力です。私が注目しているのはQQ Englishで提唱されている独自のメソッド「CALLANメソッド」です。語学を習得するまでの期間が4分の1になるという不思議なメソッドなんですが、以下の動画で詳しく解説しています。
どうでしょう? 理解できましたか? つまり、英語を話す反射神経を重視した勉強法と言えそうです。私なんかは、長考すればいい英文が出てくることも多いのですが、咄嗟に言葉に詰まることが多いので、このカランメソッド、試してみたいんですよね。ただ、このメソッドはQQ English以外でも学習することが可能です。一方で、CALLANメソッドを進化させたと言われているのが「R.E.M.S.方式」。これはQQ Englishが提唱するCALLANメソッドを進化させたような方式。CALLANメソッドにはデメリットもありまして、それは、まるで機械的に言語を覚えていくので、受けてる最中、結構苦痛であると言われています。いわば、千本ノックみたいな状態ですね。一方のR.E.M.S.は特に発音の精度の向上に効果があると言われ、カタカナ英語に陥りがちな日本人に効果があると言われています。
◇
ベトナムからは映画の紹介。現在、ベトナムではTrấn Thànhというわずか38歳の映画監督が大人気となっていて、2024年に公開された映画「MAI」はベトナム国内興業収入の記録を更新。
MAI(この映画のタイトルであり、主人公の女性の名前)が人気になった理由は、そのセリフにあると思います。劇中で語られた言葉は公開後、TikTokなどで大バズり。例えば、「Cái mền sạch nhất cũng có bụi」(和訳すると、「どれほどきれいな布団にも、ホコリがある」)は、きれいに見えるものにも欠点があることを示す言葉ですが、自分の過去に負い目がある主人公のMAIが、若い男性のDuongに愛される中で、自分の不完全さを示すのに使われた言葉。ここに、Duongの愛によって心を開きつつあるMAIが垣間見えていて、客席はキュンキュンしたわけですわ。
一方で、MAIは「私を待ってないでくれてありがとう」(ベトナム語→Cảm ơn anh vì đã không đợi em)というセリフも有名で、こちらは、愛を告白し、君を待つと話したDuongに対し、自分に自信がないことから、「私を待たないで」とお願いします。自分が誰かの人生を長く縛ることを避けたかったからです。このあたりのアンビバレンスなやりとりに、ベトナムの全世代がヤキモキ。日本公開が待ち望まれる傑作です。
エリア6 インドネシア (ロシア人が作る夢の国と、注目の若手ミュージシャン2組)

ロシア人が作る新施設「Nuanu Creative City」(バリ島)
若手ミュージシャンの台頭!(インドネシア全土)
インドネシアの情報をお届けするジャカルタ特派員の楽園の地図です! これから、現地のカルチャー情報や最先端のスポットなどを紹介しますよ。日本では、インドネシアといえば「人口が多い」「経済的に伸び盛り」みたいなことだけが注目されていますが、一方で保守的で非常に「遅れた」ところもあり、たとえば非常に保守的な側面が強いアチェ州では、今年2月には同性愛者の男性2人に対し、そして6月には婚外交渉を行なった男女に対し、イスラム法に反するとして公衆の面前で鞭打ちの刑が実行されるなどの時代遅れの文化も生き残っています。(※参考記事 AFP/AFP)
一方で、観光地として人気のバリ島では、最先端の観光施設も誕生しています。Nuanu Creative Cityという大型施設が8月30日にオープンします。立地は、観光客に人気のスミニャックやクタなど観光的な中心部よりさらに北西の未開発な地域で、44ヘクタールの土地に1億ドルを投資して、ホテル、ビーチクラブ、スパ&ウェルネスクラブ、ヨガスタジオ、サウンド&ヒーリングスペース、さらに子供向けの教育施設などが盛り込まれた、「一つの街」が出来上がる予定。
開発の主体はセーゲイ・ソロニンというロシア人起業家。この施設では収益の5%を島のインフラ整備や社会貢献に寄付するそうです。
実はコロナ禍、さらにはウクライナとの戦争を前後に、バリ島にはロシアやウクライナから逃れてきたロシア人、ウクライナ人が増えていますこの現象はタイやトルコ、ドバイなど世界中で起こっていますが、観光客、移民の急増はどこでも問題を起こすようで(日本と変わらないですね)、地元民とロシア系移民、観光客との軋轢をどのように解決するのか、そういう意味でもこういったプロジェクトが成功するか、否かというのは、単なる一つの施設の成否を超えて、島の経済、もっといえば世界各国の移民への取り組みや世界平和の行末を占うものだと思いますので、成り行きに注目していきたいと思います。
◇
最後に。インドネシアはアジアでも有数の音楽大国で、若手のミュージシャンが台頭しています。私的に注目しているのは、シンガーソングライター2人。一人目はNadin Amizah、2000年生まれの25歳です。2曲ほど紹介させてください。
人生や人間関係の機微をインドネシア語で優しく歌うアミザは、歌っている内容がわからなくてもとても心にくるものがあります。彼女が歌っているのは、人生の喜びや、喪失感、孤独などを歌っています。気に入った曲があったら、ぜひ歌詞も調べてみてください。いまやあっという間に翻訳できる時代ですからね。
もう一人私が注目しているのは、Hindiaです。ジャカルタ出身でいくつかのバンドを経て2018年からソロ活動を開始してからというもの、インドネシアで最も権威のある音楽賞、Anugerah Musik Indonesia(AMI)で最優秀オルタナティブアルバム賞とオルタナティブソロアーティスト賞を受賞しました。
シンプルで心のヒダに訴えかけてくるのがNadin Amizahなら、バンド経験もあるHindiaは、とても技巧派で音色が華やかで、大音楽配信時代以降のベッドルームポップなども飲み込んだサウンドスケープは、インドネシアの藤井風だと勝手に思っています。一方で、歌詞はよく見ると政治腐敗や環境破壊など社会批判に満ちていて、これからどんなことを社会に訴えていくのがとっても楽しみです。
デモと警察隊の衝突も頻繁に起こるし、ジャカルタの大気汚染も深刻です。ここで見る限り、インドネシアの現状はとても明るいとは言い切れません。でも、新しい息吹もどんどん生まれてくるのがこの国の良さです。そんなインドネシアより楽園の地図がお届けしました!
おわりに
(テーブルに置かれた原稿を読む)
助手「以上、東南アジア6地域の最新情報でした。何が心に残りましたか、船長さん」
船長「そうだねえ。うーん。なんだっけ?」
助手「おいおい、ちゃんとコメント考えといてよ。僕はパーイの温泉が気持ち良さそうだったな」
船長「あ、俺はフィリピンで語学学習をしたくなった!あとはベトナムのラブコメ映画も面白そうだったし・・・」
助手「あとあれですよね。今回から楽園の地図は惜しげもなくAIを使いだしましたね。AIが作るイラストがカワイイ」
船長「有料プランに入ったみたいだし、なんかこれみよがしに使ってる印象だな」
助手「そんなこんなで東南アジアのダイナミズムを感じれましたでしょうか。次週はお待ちかね。米国大統領トランプの仮想敵国こと、中国本土と香港より最新情報をお届けします!」
船長「来週も読んでね! あと、大きくリニューアルした楽園の地図がどうだったか教えて欲しいです!」
(つづく)
すでに登録済みの方は こちら