ルアンパバン(ラオス)にいったい何があるというんですか?

ルアンパバン/ルアンパバン/中国/台北
船長と助手 2025.06.13
誰でも
Kuang Si Waterfall, Luang Prabang

Kuang Si Waterfall, Luang Prabang

もくじ

はじめに
今週の楽園 ルアンパバンにいったい何があるというんですか?(ルアンパバン/ラオス)
今週のオアシス Phan Boun cafe & restaurant(ルアンパバン/ラオス)
今週の使える言語/你很漂亮(Nǐ hěn piàoliang)(中国語)
今週楽園で聴きたい音楽 飛機場的10:30(Airport in 10:30)/陶喆(David Tao)(台北/台湾)
おわりに

はじめに

ラオス・ルアンパバンにいます。飛行機の発着便に見る世界とのつながり

ベトナム・ハノイからラオス航空に乗って、ラオス・ルアンパバンにやってきました。ニューヨーク・タイムズによると、ラオスは「世界で一番行きたい国」らしく、でも私たちはラオスについてあまり情報がなく、いったいこの地に何があるのか気になって出かけてみました。

飛行機でわずか1時間ちょいのフライトでしたが、久しぶりに現在の旅客機の主流であるジャンボジェット機サイズではなく、ミニサイズの飛行機に乗りました。それだけハノイからルアンパバーンに行く人の数は少ないのでしょう。1日1便の飛行機の乗客は、50人にも満たなかったと思います

その国、あるいはその都市が他国とどういったつながりを持っているのかは飛行機の発着を見るとよくわかります。ルアンパバンを離発着する飛行機を眺めていると、ある日は1日に9便しか便がありませんでした。行き先は、バンコク(2便)、チェンマイ(1便)、ハノイ(2便)、合肥(中国・1便)、連雲港(中国・1便)、淮安(中国・1便)、そして首都のビエンチャン(1便)です。まずはこの空港はラオス国内の便が圧倒的に少ないことがわかります。国際便8便に対し、国内便はたった1便です。これは理由が二つあって、一つはラオス国民は国内を飛行機で移動するほどお金持ちじゃないということだと思います。発展途上国で国内の旅客便が多い地域は、中産階級、あるいは新興の富裕層が多いことを意味します。もう一つは、最近ラオス鉄道なる鉄道が完成して、中国国境のボーテンから、ルアンパバンを経由して、首都のビエンチャンまで短時間で結ぶ交通機関が登場したこと。飛行機を介さずに短時間で移動できる交通路が確保され、国内の飛行機による移動が少なくなったと思われます。また、この国は伝統的にタイと深いつながりがあるのですが(タイ語とラオ語は似てる)、バンコクやチェンマイ便などタイ行きが3便があることがその証拠となります。もちろん、タイと並ぶインドシナの大国ベトナムともつながりが深くなってきたのですが、ハノイ行き1便のみというところで、タイほど深い繋がりはまだ構築されていないということが伺えます。一方、中国はおそらく一般人が知らないであろう都市名が3つ並んでいます。おそらくこれは中国国内でラオス人が多く居住する都市で、中国にはラオスから相当数の出稼ぎ労働者が進出していることがわかります(上海、北京などの大都市行きは存在しないことから、これが観光需要でないことは明白です。ゆえに、ラオスと中国の経済的なつながりが深まっているのでしょう)。

ということで、今回は、楽園の地図というタイトルに相応しい楽園都市、ルアンパバンからお届けします。(※ルアンパバーンなのか、ルアンパバンなのか表記が難しいですが、英語でLuang Prabangと書くので、どちらかといえばルアンパバンかなと思いまして、そちらに統一しました)

今週の楽園 ルアンパバンとラオスの楽園(ルアンパバン/ラオス)

ルアンパバーン(プーシーの丘から見下ろした市街地)。緑に囲まれた街。

ルアンパバーン(プーシーの丘から見下ろした市街地)。緑に囲まれた街。

毎週、あるいは毎週でなくても定期的に読んでいただいている方はお気付きかと思いますが、私は世界中の情報をお届けしたいと思いつつ、現状アジアの情報が多いです。これには理由がありまして、私は少しずつ世界を、自分のホームを広げていきたいと思っています。

子供の頃、世界は歩いていける範囲がすべてでした。小学校に上がった頃には、学校の校区の範囲内が自分の世界のすべてでしょう。そうやって社会人になる頃には、とりあえず日本国内であればホームと言えるような状況になりました。私はそこから広がって、東アジア、東南アジアあたりまでが、今の自分のホームだと感じながら生きてます。アメリカやヨーロッパ、アフリカは、出向くことはあっても、まだホームとはいえません。インド(南アジア)もまだ、私にとっては遠い国です。でも、東アジアと東南アジアは、なぜか私のホームだと思いながら過ごしています。文化が近いと感じてるのでしょうか。それとも距離的な近さでしょうか。訪れた回数? なぜだかわかりませんが、私にとっては東アジアと東南アジアまでが自分のホームなのです。なので、まずはこのホームをコンプリートしたい。

で、東南アジアには11の国があります。私はこれまで、6つの国に訪れたことがあります。訪れたことのない5つの残りはフィリピン、ラオス、ミャンマー、ブルネイ、東ティモールです。このうち、ブルネイと東ティモールは小さな国で、あまり訪れる日本人が少ないであろうマイナーな国家です。ミャンマーは現在、内戦が激化していて治安が悪化しています。残りのフィリピン、ラオスには今夏遊びに行きたいなと思っていまして、そしてついにラオス行きが実現しました。

ラオス航空に乗ってルアンパバンへ。機体が画角に治るほど小さいジェット機。タラップから徒歩で入管に向かいました。

ラオス航空に乗ってルアンパバンへ。機体が画角に治るほど小さいジェット機。タラップから徒歩で入管に向かいました。

ラオスのガイドブックを買うと、大抵は首都のヴィエンチャンと、古都であるルアンパバンのことがメインで取り上げられています。手元にある「地球の歩き方 2024〜2025」では、ルアンパバンに36ページ、ヴィエンチャンとその周辺に30ページ(うち5ページはバンビエンなので実質25ページ)、その他情報の多い街として、南部の都市パークセーに10ページ、メコン川の中洲にできたリゾート地、シーパンドーンに7ページ割かれています。これは日本ではなく欧米でも同様で、「Lonley Planet Laos」でもルアンパバンとヴィエンチャンに多数のページが割かれています。私も今回は最初のトリップなので、ヴィエンチャンとルアンパバンに滞在予定です。

さてルアンパバーン。このように世界的に人気の古都ですが、空港は石垣島や宮古島のような離島の空港にそっくり(つまり小さい)。とても国際空港とは思えないかわいらしい空港でした。人口は5万〜10万人程度。山間にある保養地、リゾート地という雰囲気で、日本で無理やり例えるなら、軽井沢の雰囲気に近いかもしれません。かつてフランス領だったこの地域には、白人の観光客、長期滞在者、移住者も多く、東南アジアでよくある、「白人のバックパッカー文化が育てた街」と言えるでしょう。インドネシア・バリ島のウブド、タイのパーイ、パンガン島、インドのゴアなどと同じ匂いがします。

滞在したホテルの朝食会場。この感じは、ヨーロッパの保養地って感じ。朝食も洋食中心でした。

滞在したホテルの朝食会場。この感じは、ヨーロッパの保養地って感じ。朝食も洋食中心でした。

どうしてルアンパバーンは世界中のバックパッカーに愛されるのか。来てみてわかったのは、やはり環境の良さでしょう。東南アジアのなかでは、かなり北部で標高が高いので、朝晩はかなり涼しく、冬であれば日中の最高気温は25℃前後、最低気温は15℃ぐらいと、非常に過ごしやすい環境です。暑いのが苦手な人にもおすすめできる街です。

特に日本人におすすめの理由としまして、これはラオスだけでなく東南アジア全般に言えることではありますが、米食で、目の前に広がる緑が、どこか日本の田舎の風景に通じるところです。

ラオスの農村地帯。日本の農村にそっくり。

ラオスの農村地帯。日本の農村にそっくり。

食事はタイ料理に似ていますが、タイ料理よりも少しあっさり(辛いものは相変わらず辛いけど、甘い味付けがすくなくてすっきりしている)しています。品数は少ないので毎日食べてると飽きてはきますが、でも、美味しいですよ。一度は食べてほしい。

メコン川で採れる川海苔を使ったカイペーン。味付け海苔の味だけど、クセになる美味しさ。

メコン川で採れる川海苔を使ったカイペーン。味付け海苔の味だけど、クセになる美味しさ。

調べたところ、東京にはラオス料理「のみ」を取り扱うレストランはないように思います。必ずタイ・ラオス料理となっていて、例えば目白のプァンタイは、タイ・ラオス料理を扱っているので(ラオス国旗があるから間違いない)、ラオス料理をくださいといえば、正しいラオス料理を食べられると思います。

おすすめする観光地としては、主に3つ。

絶対行くべき観光スポット1 クアンシーの滝

一つはクアンシーの滝。幻想的、絵に書いたような素敵な滝があります。ルアンパバーンに滞在するなら、これは絶対に見ておくべきです!

クアンシーの滝

クアンシーの滝

クアンシーの滝の不思議なところは、水がエメラルドグリーン色になることです。まるで沖縄やタイの浅瀬の海みたいですが、調べたところ、クアンシーの滝周辺の岩は理由がありまして、石灰岩(Limestone rockという単語の意味をはじめて知った)の上を流れるなかで、水のなかに炭酸カルシウムを多く含んだ水が日光に反射することでこの色になるそうです。いやーきれいですね。水着を持っていけば泳ぐこともできますよ!

あと、みんなが注目してないところで気になったのは、樹齢の長そうな気が多いこと。滝があって樹齢の多い木があって、いわば屋久島みたいな場所です。ルアンパバンにいけば、屋久島に行く必要ないかも。

樹齢の大きな木がたくさん。

樹齢の大きな木がたくさん。

最初であれば現地ツアーに参加するのが手っ取り早くいける方法だと思います。

絶対行くべき観光スポット2 プーシーの丘

次に、プーシーの丘です。この丘は市街地にあって、市街地の一部が小高い丘になっています。丘といってもかなり急な丘なのでスニーカーなど歩きやすい靴でいきましょう。プーシーの丘からは、ルアンパバーンの街が一望できます。

緑に囲まれたルアンパバーンの街並み。味噌汁みたいな色のメコン川が南国らしい色合い。

緑に囲まれたルアンパバーンの街並み。味噌汁みたいな色のメコン川が南国らしい色合い。

頂上はちょっとした宗教施設になっていてお参りもできます。

特に夕暮れ時のプーシーの丘は最高で、悠久のインドシナに日が沈んでいくところは、ちょっと得難いぐらいの光景です。それに、他に主だった観光地も少ないので、旅行客が全員丘に集まって夕陽を眺めるのですが、「みんなでただ夕陽を見てる」という状態こそが、なんか太古の人間もこうだったのかな、最古の娯楽ってこれのことかな、という感じがして、なんか敬虔なものを見た気持ちになります。こればかりは、行ってみないと写真では伝わらないと思う。

絶対行くべき観光スポット3 ナイトマーケット

深夜に訪れたので人通りは少ないですが、ピーク時は席が満席になります

深夜に訪れたので人通りは少ないですが、ピーク時は席が満席になります

みんなで夕陽を見た後は、みんなでナイトマーケットに移動。それが正しいルアンパバンの過ごし方です。特に、マーケットの中央がフードコートのように机と椅子が大量にあって、購入した食事を思い思いで食べられる場所があるんですが、ここにいると、なんかすべてがどうでもよくなるような、「ああ、今日も自然が豊かで、夕陽が綺麗で、食べ物が美味しい。他に何か望むことあるだろうか?」という気持ちになります。今日のタイトルである、「ラオスにいったい何があると言うんですか?」は、村上春樹の旅本のタイトルですが、ラオスには何にもないと言えるし、必要なものはすべてあるとも言える楽園でした。次週はラオスの首都、ヴィエンチャンよりお届けします。

今週のオアシス Phan Boun cafe & restaurant(ルアンパバン/ラオス)

<a href="https://maps.app.goo.gl/eJX9CHkTV9Fc5F8V7" target="_blank">Phan Boun cafe & restaurant</a>の、紫米(Purple Sticky rice)

Phan Boun cafe & restaurantの、紫米(Purple Sticky rice)

さて、今週のオアシスのコーナーは、ルアンパバンでいちばんおいしかったラオス料理のお店を紹介します。ルアンパバンの、特に街の中心部は、欧米のバックパッカー、長期滞在者が多いためか、意外なほど洋食屋さんが多いです。例えば、イタリアの世界的有名アパレルメーカー、ベネトン(アパレルよりコンドームで有名?)は、ルアンパバンでカフェをやっていたり(Le Banneton Café & French Bakery)、他にも美味しい洋食やピザが食べられる場所が多いです。ここもベトナムと同様、一時期フランス領だったことが影響しているかもしれません。

でもね、せっかくラオスまで来たんですから、ラオス料理を食べましょうよ。ということでラオス料理の有名店を5、6店舗回りましたが、最もおすすめしたいラオス料理のお店がPhan Boun cafe & restaurantです。ここが素晴らしいのは、まずなんと言っても料理が美味しいこと。レストランですから、一にも二にも、料理が美味しいことが大前提でしょう。次に、食事中に、ラオスの子供たちによる、民族音楽が聴けます。ライブに行かなくても民族音楽が聴けちゃうなんて贅沢なんでしょう。

この楽器、ラナー・エーという楽器で、ラオスの他、タイでも伝統音楽を演奏する際に登場する楽器です。木の音色が優しく、なんだか落ち着く音色じゃないですか? この楽器(微妙に違う楽器なのか、映画のなかではラナートと呼ばれてました)を使った映画、「風の前奏曲」という映画があるんですが(Filmarks)、私はこの映画が大好きで、だからこの演奏が聴けてよかったです。

このレストランに行ったら、何はなくても「Luang Prabang Set 3」を頼んでください。

あ、あと、ルアンパバンファンにはお馴染みの、オアシスのコーナーで紹介するのにぴったりのUtopiaというバーがあるんですが、残念ながら閉店しました。(Google Mapでは営業中になってるのに!)。ということで今回はUtopiaの記述は無しです。変わっていくキミも、変わらないキミも好き。変わらないルアンパバンも、変わるルアンパバンも愛してあげてね。それではまた。

今週の使える言語/你很漂亮(Nǐ hěn piàoliang)(中国語)

今週からの新コーナー! 英語以外の言語を覚えていこうというコーナーです。私の知人のAlex(中国人、第87回参考)は英語が堪能だったのですが、会話のスキルをよく聞いていくと、なんと言っていいかわからない単語があると「Hold on second(ちょっと待ってください)」と、「How should I say(なんて言えばいいんだろ)」を多用していて、その間にスマホで検索して相手に思いを伝えるという方法をとっていました。この2語があるおかげで、会話にリズムができて、彼の会話がとても自然に感じました。私が思うに、英語を操るコツは、語彙を増やすよりも、使えるフレーズを50ぐらいでいいから覚えて、あとはなるべく感情を込めて話すだけでかなり伝わると思います。さまざまな感情を込めた七色の「Please」を身につけるのがいいと個人的には思います。

言語には「使える」フレーズがあって、それを少しでも覚えるとコミュニケーションがうまくいきます。そこでこのコーナーでは、英語以外の言語の、覚えると潰しが効く、お得なフレーズを紹介したいと思います!

と言うわけで第1回は話者が世界一多い言語、中国語から。「ニーヘンピャオリャン」。

これは私が20代の時に初めて仕事で中国に行った時のこと。同僚で中国語がほんの少しできる日本人と一緒に行ったときに、ニーハオとかシェイシェイ以外に何か使えるフレーズを教えてくれと聞いたところ、うちの同僚がニヤニヤにしながら、楽園さんにピッタリなフレーズはこれ、と教えてもらった言葉です。ニーヘンピャオリャン。

私はその時、なぜかTシャツを忘れて、上海の街でTシャツを探していましたが、思った通りのものがなくアパレルショップの店員さんに探してもらったお礼に、「シェイシェイ。ニーヘンピャオリャン」と言うと、なぜかアパレル店員さんはニコニコしながら私に微笑みをくれるのです。ある人なんかは私をペシペシ叩きながらシェイシェイと言ってくれるし、ある人はモデルのようなポーズをとってニコニコしたり。すごく親密な雰囲気。これはなんか、魔法の言葉を教わったぞ。同僚、ありがとう。ところでこの言葉、どんな意味なの??

ニーヘンピャオリャン。你很漂亮。直訳すると、你/ニー(You're)很/ヘン(So)漂亮/ピャオリャン(Beautiful)で、You’re so beautiful.という意味、つまり、「キミ、かわいいね」という意味です。え、何も考えず言ってたけどそんな意味だったの?? 

仕事で出張する意識の高い私になぜうちの同僚がこの言葉を教えてくれたのか謎ですが、これが妙に効くフレーズで、私が女性を見かけるたびにニーヘンピャオリャン、ニーヘンピャオリャンと言いまくったところ、売店のおばちゃんは売れ残った饅頭をサービスしてくれるし、若い女性は微笑みをくれるし、とにかく旅が急に楽しくなりました笑。これが同じ国の人ならナンパ野郎になってしまいますが、片言しか言えない外国人が「キ、キミ。か、かわいいね」とおそらくブロークンな発音で言ってるのがキュートに見えたのかもしれません。流石に日本人に「きみかわいいね」というのは恥ずかしいのですが、外国ならこれぐらいの軽口はどんどん言ってもいいんじゃないでしょうか。母国語じゃないから、まったく恥ずかしくない。笑

と言うわけで今日の使えるフレーズはニーヘンピャオリャン。Repeat after me、ニーヘンピャオリャン(你很漂亮)! ちなみに、女性の場合は気に入った男性に你很帥(Nǐ hěn shuài)と言ってみてね。You're so handsomeみたいな意味だそうです。

今週楽園で聴きたい音楽 飛機場的10:30(Airport in 10:30)/陶喆(David Tao)(台北/台湾)

台湾音楽のレベルをアップさせたR&Bシンガーのデビュー曲

音楽のコーナーは、私が大好きな台湾人シンガーソングライター、陶喆(デヴィッド・タオ)の曲を紹介をします。こちらは彼のデビューアルバムより。そこはかとなく、いい曲ですよね。スルメのように、何度聴いても味がじわじわ出てくる曲です。デヴィッド・タオの曲ってなんかそうなんですよね。

台湾には世界的に人気なシンガーソングライターが何人かいまして、周杰倫(ジェイ・チョウ)が1番有名で人気だと思います。2番目は林俊傑(JJ・リン)、3番目は迷うところですけど王力宏(ワン・リーホン)かな。

今回紹介する陶喆(デヴィッド・タオ)は彼らの次ぐらいに有名なシンガーソングライターです。でも、私はC-POP(中国語のポップス)の男性ソロシンガーでデヴィッド・タオがいちばん好きです。私はnoteでC-POPに関する連載を続けていますが(最近休憩中)いろいろ調べていくなかで、デヴィッド・タオこそが、現在のC-POPの源流に相応しい人物なのではないかという仮説を立てました。ジェイ・チョウとかジョリン・ツァイに代表されるC-POPって、それまでの歌謡ポップスにほんの少しR&Bの要素を混ぜてスローにした曲が主流だと思っていて、デヴィッド・タオこそ、その流れを最初に作った人物だと思ったからです。この曲、1997年の曲ですけど、とても洗練されたミディアムスローのR&B風味のポップスに仕上がっていて、いかにもC-POPの型のような曲だと思うんですよね。以降、台湾、そして中華圏では、R&B風の少しBPMが遅めのポップスがC-popの王道として受け入れられているように思います。彼の登場は、それまでの歌謡曲的なシンガーを古くさせたと思います。

また、これはワン・リーホンやジェイ・チョウにも通じますが、中国の楽器をサウンドに取り入れたシンガーでもあります。同じ1997年のデビューアルバムで歌われるこの曲なんか、中国楽器のイントロが最高です。最近、2005年に出版された台湾ポップスの本を資料として購読しましたが、この本ではワン・リーホン、ジェイ・チョウ、デヴィッド・タオの三人を御三家として扱っています。

あと、デヴィッド・タオは自分で歌うだけでなく他者に楽曲提供もたくさんしていて、そのなかでもA-mei(アーメイ)に提供したこの曲が私は大好きです。

これなんか、台湾で1998年に歌われたというのが信じられないぐらい、おしゃれで今っぽい曲だと思います。ちなみに、1998年の台湾のヒット曲を一つ挙げると、Richie Jen(任賢齊)のThe Sad Pacific(傷心太平洋)などです。この曲をC-POPの当時の平均とすると、デヴィッド・タオの楽曲がいかに当時モダンだったかわかるかと思います。

デヴィッド・タオはいい曲が多すぎて、他にも何曲も紹介したいのですが、最後にキラーチューンを一つ。これは台湾を代表する女性シンガー、蔡依林(ジョリン・ツァイ)のデュエット曲なのですが、台湾では結婚式でよく流れていた定番曲です(日本でいえば、安室奈美恵のCan You Cerebrate?みたいなもんですね)

台湾の曲といえば、テレサ・テンのイメージから止まっている方も多いと思いますが、とってもいい曲が台湾にはあります。他にもたくさんいい曲がありますが、noteでもたくさん書いてるのでよかったら読んでみてください。

おわりに

船長「わははは。我が船よ。久しぶりだな。出航!おもかじいっぱい!」
助手「給油も完了したし、これでまた船旅に出れますね。どこにいきますか?」
船長「ラオスに行きたい」
助手「ラオスは内陸国だから船じゃいけませんよ」
船長「じゃあベトナム。生春巻きが食べたいよ」
助手「いいですね」
船長「いやー、船っていいな」
助手「船長は船がよく似合いますよ」
船長「船以外の場所はなんか調子が狂うんだよね」
助手「陸を旅して思いましたよ。船長、陸だと正直、役立たず」
船長「うるさいな。結構がんばったと思うんだけど」
助手「まあいいですわ。陸では僕ががんばります」
船長「なんか、この旅でお前はたくましくなったな。助手っていうか、相棒って感じだよ!おもかじいっぱい!」
助手「『おもかじいっぱい』ってよく言ってますけど、それどういう意味ですか?」
船長「あんまり意味わからず、ノリで言ってるよ」
助手「(よくこの人これまでやってこれたな)」
船長「なんて?」
助手「何も言ってませんよ」
船長「なんて思った??」
助手「い、いや。。」
船長「おれは読心術だけで船長に上り詰めたんだよ」
助手「お、おみそれしました!」

(つづく)

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