楽園の地図110号 アフリカ最新ニュースと長期滞在のススメ

マラケシュ(モロッコ)/キガリ(ルワンダ)/アクラ(ガーナ)/ポートルイス(モーリシャス)
船長と助手 2025.10.31
誰でも

もくじ

はじめに
今週の楽園 アフリカ
楽園エリア1 北アフリカ
・【お勧め長期滞在】ロンドンやパリから3、4時間の美しい都(マラケシュ、モロッコ)
・モロッコの最新映画「青いカフタンの仕立て屋」(サレ、モロッコ)
楽園エリア2 東アフリカ・中部アフリカ
レアアースを巡る、ケニアやタンザニアの戦い(ケニア・タンザニア)
・【お勧め長期滞在】 伝統工芸に料理などアフリカらしい都市(キガリ、ルワンダ)

楽園エリア3 西アフリカ
・原油がたくさん沸くけど、ガソリンを輸入する不思議な国(ナイジェリア)
・【お勧め長期滞在】偉人が眠る、東アフリカの都市(アクラ、ガーナ)
楽園エリア4 南部アフリカ
アフリカで生まれた新たな音楽の潮流、アマピアノとは?(プレトリア、南アフリカ)
【お勧め長期滞在】まさかアフリカにこんな楽園が!? (ポートルイス、モーリシャス)
おわりに

はじめに

マッチングアプリと文明

男女の出会うきっかけの場として、マッチングアプリが職場を抜いて最多になりつつあるそうです。たしかに私の周囲でも、アプリで知り合って交際を始めた人が多いように思います。選択肢が多くて、何よりイージーです。かくいう私も何度か試したことはありますが、いつも決まってうまくいきません。いい感じに出会えた試しがないんですよ。長々とメールのラリーが続くだけでいっこうに会えない。

あ、一人だけアプリを介して出会った人がいました。マレーシアでマーケティングの仕事をしているイスラム教徒の女性とデート(Teh Tarikを飲みに行った)をしたことはあります。最初は体質的に酒が飲めない私と、宗教的な理由で酒が御法度な彼女と意外に合うと思いましたが、話していくうちに価値観の違いが鮮明になって、さすがにイスラム教徒との恋愛は大変そうと思った記憶があります。その後はデートというよりも、ライターの私と、マーケターの彼女がお互いの価値観をフィールドワークする場となりました。彼女に、あなたは何教の教えに従ってるの? と聞かれたので、「私はブッダよりも自分の心の中にいる神を信じてる」と言いました。日本人は基本的には無宗教だと伝えたかったのですが、どう言っていいかわからずキザな言い方になってしまいました。

そんなこともあって、私はマッチングアプリが流行するのは反対です。もしあなたが異性から見て高スペック(この言葉嫌いなんだけど)で、自分がランク付けされているのが平気か、それらに気づかないほど陽気な人であれば、きっと向いていると思います。アプリでしか出会わないという人も多いので、きっとそういうのに向いている人も多いのでしょう。私は会社員や学生ですら向いてなかったので、そうやって横並びで比較される状況は向いてません。横並びでひざまづいて神に祈るより、心の中で私の神様にお伺いを立てるほうが向いてるみたいです。

私の時代、学校のクラスの定員は40名で、だいたい男女20名ずつでした。その頃の私の環境下では、学校のクラスメイトと家族が世界のすべてだったんです。そして、だれもがその20人のなかで好きな子の一人や二人作ったものです。今必要な努力は、自分のスペックを上げる努力(アプリ上では低年齢のほうが高スペックだから、理論上どんなに努力してもあなたのスペックは落ちる一方です)よりも、20人のなかに最高な異性を見つける能力な気がするんですよ。どうなんでしょう。

さて、人間の祖先は、アフリカからやってきました。アフリカで生まれた人類の祖先の一人に、タイムマシンで会いに行って、そっとスマホとか車とかマッチングアプリとか、現代の機器やツールを渡したら、世界はどうなっちゃうんでしょう。大繁栄するのか、あるいは何らかのエフェクトが起きて絶滅する気がかなりします。そう考えると、新しいものにとにかく飛びついておけばいいってことでもなさそうですよね。普遍的な価値を大事にしましょうよ。そんなわけで今日は人類の祖先であり、普遍的な人間の営みがあり、世界で最も若い地域、アフリカからお届けします。

今週の楽園 アフリカ

今週は、アフリカから。楽園の地図では、アフリカ地域を4つのエリアに分けて、紹介したいと思います。

エリア1 北アフリカ(黄色のエリア)
エリア2 東アフリカ・中部アフリカ(緑色のエリア)
エリア3 西アフリカ(水色のエリア)
エリア4 南部アフリカ・島嶼部(ピンクのエリア)

アフリカには56の国があり、15億人が暮らしています。しかし、彼らが生み出す富の合計は、世界全体ではわずか2%に過ぎません。それだけ多くの人々が貧困な生活を強いられているのがアフリカです。貧困層は、1日平均0.7ドルの所得で暮らしています。

ただ、いつまでもアフリカが貧困の大陸というわけではなく、近年は地域差はあるもののさまざまな国で経済発展が続いています。世界は現在の日本のように、少子高齢化がすすんで人口減少局面に入っていくなかで、アフリカは今後も数十年にわたり人口増加が見込まれていています。アフリカはとても若い地域で、アフリカに住む人々の平均年齢は19歳と言われています(ちなみに日本の平均年齢は48.4歳。中国と米国は38歳、インドは28歳)。

すでに確実に想像できる未来のことを申し上げると、現在日本にはアジア中から移民がたくさんやってきてますが、今後はアフリカからの移民が増えると申し上げておきます。東南アジアや東アジアの国々は軒並み少子化で、そのうち日本に出稼ぎ労働者を送り出す余裕がなくなってきます。そうなると、その穴を埋めるために、アフリカから多くの労働者を受け入れることになるでしょう。つまり、わざわざアフリカに遊びに行くような物好きじゃなくても、私たちは今後アフリカの人々と付き合う運命にあるのです。

だけど、私たちはアフリカについて何を知ってるのでしょうか? ウガリ、トー、フフ、インジェラ、チェブジェン、知ってますか? これらはアフリカを代表する料理の一つです。料理一つとっても知らないことばかり。未知の大陸アフリカの冒険の旅に出かけましょう。

楽園エリア1 北アフリカ

お勧め長期滞在1 ロンドンやパリから3、4時間の美しい都(マラケシュ、モロッコ)
モロッコの最新映画「青いカフタンの仕立て屋」(サレ、モロッコ)

アフリカには、みなさんご存知のように、世界最大の砂漠、サハラ砂漠があります。飛行機を生み出した人間は、基本的には世界のどこにだって自由に移動できますが、その昔、広大なサハラ砂漠を越えるのはほぼ不可能な所業でした。だから、アフリカ大陸は、サハラ砂漠の南と北で、人の交流がなかったので大きく文化が異なります。

北アフリカは、サハラ砂漠より北にあるすべての国と覚えておいてください。この地域は、文化的に言えば他のアフリカよりも、中東に近いです。アラビア語を話し、イスラム教を信じる人々が暮らしています。

最も中東よりのエジプトは中東エリアで紹介しましたので、残りの国(リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、スーダン)のなかから、現在の話題をお届けしたいと思います。

さて、先進国と比べ物価の安いアフリカは、長期滞在に向いた都市が多数あります。北アフリカで言えば、マラケシュ(モロッコ)、チュニス(チュニジア)なんて最高だと思います。

モロッコは、美しい花と同じ名前を持つ最大都市のカサブランカ、迷路のような旧市街が楽しいフェズ、青の街として知られるシャウエン、大西洋の美しい港町エッサウィラ、ジブラルタル海峡沿いの港町で、私が大好きな映画「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」の舞台でもあるタンジェ、などと見どころがたくさんある、トルコと並ぶエキゾチック観光大国ですが、地元のベルベル語で「神の国」という意味を持ち、訪れた人は「南の真珠」と名付け、大きなモスクと、その横にある大きな広場兼市場でお馴染みのマラケシュは、旅人であれば、いやそうでなくても一度は訪れたい場所でしょう。日本からは遠いイメージがありますが、例えばロンドンやパリからは3、4時間のフライトで訪れることが可能なため、ヨーロッパ旅行のアクセントとして訪れてみるのもお勧めします。

上のイラストで紹介した、マラケシュの中央部にある広場は、ジャマ・エル・フナ(Jemaa el Fna)広場と言って、マラケシュを訪れた観光客は(観光客でなくても)必ず訪れる場所です。たくさんの屋台、大道芸人らが思い思いの出し物をしていて、旅人の心を癒してくれます。

この広場、ジェマ・エル・フナ(Jemaa el Fna)とは、アラビア語で「死人の集会場」という意味なんです。でも、すごく楽しそうなんですよ。なんでこんなおっかない名前をつけるのでしょうか。日本は世界の東の果て、極東にありますが、それで言えば、モロッコは世界の「極西」に当たります。そんな場所に日が沈む光景は一度は見ておきたいもの。それはひょっとすると、死を暗示するような光景かもしれません。

私がこのマラケシュをアフリカの長期滞在の場所としておすすめするのは、まずマラケシュ自体がとてもエキゾチックで、適度な規模の街で(人口90万人)、観光客も多いので他のアフリカの都市と比べると余所者に慣れているということが言えます。さらに、モロッコ料理はアフリカの料理の中でもぶっちぎりで美味しいし、タジン鍋に代表されるように見た目もかわいいのです。一方、首都や最大都市ではないマラケシュは滞在費が比較的安く抑えられていて、1ヶ月滞在する場合の予算の目安(食費や宿・部屋代含む)は14万〜22万円。少し電車に乗れば豊富なモロッコ国内の観光地にも足を伸ばせます。アフリカでも有数の、コスパがいい街だと思います。法整備の遅れているモロッコは、観光ビザによる長期滞在を認めていない国が多いのですが、モロッコは観光ビザで90日間の滞在が可能です。

長期滞在だと、パソコン作業に向いたノマドスペースがほしいところですが、欧州からの観光客が多いマラケシュはこの点でも安心です。カフェで言えばアフリカ産の豆が楽しめる「Thirty5ive Marrakech」、屋上のテラスが気持ちいい「Café Des Épices」など多数、コワーキングスペースで言えば街の中心部にあって夜は市街地に繰り出しやすい「Coworking L'BLASSA」、ガチな起業家向けの「Targa Cowork Club」など多様です。

また、マラケシュではハウスやテクノのDJが多数出演し世界中からお客さんがやってくる「OASIS Festival」など、音楽フェスやライブが多数行われています。

マラケシュ長期滞在のススメ

滞在コスト:900〜1500ドル(14万〜22万円)
推しポイント
・ノマドに優しいカフェやコワーキングスペースは先進国並みにあり
・モロッコ料理も美味しい。
・街に飽きたら気軽に欧州や、モロッコ内の他の都市に移動できる。
・音楽イベント多数。
・観光ビザで90日滞在可能。

続いてもモロッコより。「青いカフタンの仕立て屋」という映画を紹介させてください。これはモロッコの海沿い、首都ラバトの隣にあるサレという街が舞台の映画です。

アフリカの映画が日本語訳付きで公開されるのはそもそも絶対数が少ないのですが、その大半はエジプト映画、南アフリカ映画、ナイジェリア(ノリウッド)映画が多いです。

モロッコの映画が日本で公開されることはそもそもがかなり絶対数が少ないのですが、モロッコを舞台にする映画は、かつての名画「カサブランカ」、さっき話した「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」からすべて、なぜかモロッコは映画映えする国なのか、どの映画もすべて当たりです。

もちろんモロッコ制作の映画も例外ではありません。たとえば、「モロッコ、彼女たちの朝」とか。理由として、モロッコは街が美しく、どの映画も絵映えしているからだと思うんですよね。この映画も、内容よりもまず、モロッコの小さな街の旧市街の商店街という設定がとても美しいです。仕立て屋を営む家族の話ですが、奥さん(ミナ)が病気を患い余命が少ないことを悟り、一方で若い男が住み込みスタッフとして現れ、3人それぞれの人生の転機がゆっくりと展開していく作品です。この作品の監督はマリヤム・トゥザニという私と同世代の女性なんですが、監督のくせに女優ばりに美人なんですよ。笑。モロッコ映画でもう一つ注目してほしいポイント、それはBGMです。多くの作品で、モロッコに伝わるグナワという音楽がありますが、それが映画に効果的に使われているんですね。

アフリカの映画は、家族や上の世代、貧困の運命と戦ったり、社会進出しようとする女性を阻む社会の壁をテーマにしたものが多く、悲しい話も多いのですが、一方で底抜けな生命力を感じたりします。モロッコは比較的ヨーロッパに近いからか共感しやすい作品が多いです。

ああ、モロッコ、行きたい。タジン鍋をお土産に買って帰りたい。以上、北アフリカ、モロッコより楽園の地図でした。

楽園エリア2 東アフリカ・中部アフリカ

レアアースを巡る、ケニアやタンザニアの戦い(ケニア・タンザニア)
お勧め長期滞在先2 伝統工芸「イミゴンゴ」に料理「ウガリ」などアフリカらしい都市(キガリ、ルワンダ)

さて、お次はケニア、エチオピア、タンザニアなど東アフリカと、コンゴ、アンゴラなど中部アフリカからお届けします。

観光的には、アフリカと言えばケニアやタンザニアなど東アフリカを目的としたツアーが多く、マサイ族など先住民族との交流やサファリツアーのイメージなどはこの地域です。私のようなコーヒー好きとしては、タンザニアのキリマンジャロに代表されるよう、世界的に見ても有名なコーヒー豆生産地域です。コーヒー好きな人は、イルガチェフェというコーヒー銘柄を聞いたことがあるかもしれません。現在シングルオリジンコーヒーと言ってアラビカ種という通常より希少価値の高いコーヒーを飲めるカフェが世界中に増えていますが、わかってる店に行くとだいたいイルガチェフェが置いてます。あれ、エチオピアに実際ある都市の名前なんですよ(Yirga Chefe)。古くからこの辺りでは良質なコーヒー豆が栽培されて物好きの間で飲まれていましたが、エチオピア内での高速道路網の発展などのおかげでこの地域の豆の流通量が大きくなりました。なお、エチオピアのコーヒー豆の輸出は、国全体の輸出の27%に達していて、いわば観光立国ならぬコーヒー立国の国です。

経済的な動向としては、東アフリカ、中部アフリカともにアフリカの中でも貧しいエリアではありますが、現在、タンザニアやケニアなどを中心に、東アフリカ共同体という地域連合を作っていて、中部に属するコンゴ民主共和国なども加えて、この地域で使える地域通貨を使う話が具体化しています。もし実現すれば(私の予想ではASEANやBRICKSの通貨より可能性が高い)、人口3億人の巨大なマーケットが出現することになり、かつての中国、現在のインドのように巨大な成長地域になるかもしれません。

さて、人口6700万人を抱え、この地域の大国の地位にあるタンザニア。世界中にリアル戦争や関税戦争が吹き荒れる現在も、毎年5%から6%の経済成長を続けていて、IMF(国際通貨基金)も他のアフリカ諸国と比べこの国を安定的と評価しており、まだまだイメージは少ないですが、このままいくとアフリカ経済を引っ張るリーダー的な国になる可能性がある国です。

成長の基盤となっているのはなんといっても資源。特に鉱物資源が豊富で、金をはじめ、ニッケル、コバルトなど貴重な資源が多数取れます。さらに、まだ未開発ですが、2013年ごろに、大量の天然ガスが(埋蔵量57兆立方フィート)が発見されており、もし発掘がうまくいけばかなりのインパクトをもたらすはずなのですが、外資企業、地元企業や政府などの間でプロジェクトの合意に至らず、まだ稼働が始まってません。また、いざ採掘が始まっても、地元経済にちゃんと貢献するかどうかは不透明で、蓋を開けたらグローバル企業が儲かっていたなんてこともあるかもしれません。

コーヒーにレアアースに天然ガス。なんかそういうものって夢があると思うんですよね。一発大逆転というか。

タンザニアのライバル、ケニアでも資源開発の波が来ています。タンザニアのはずれにMrima Hillという小さな丘があります。この地は地元に住む少数民族にとっては祈りの丘のような聖地なんですが、実はこの丘、スマートフォンや電気自動車の製造などに必要なレアアースが採れる場所として、ケニア国内外で大変話題になっています。その規模は620億ドルと言われていて、まだまだ国民の大半が貧困にあえぐケニアにおいては、貴重な資源となっています。しかも、地図を見るとわかりやすいんですが、この丘、ケニアの貿易港町、モンバサから近いんですよね。

レアアースと言えば、世界的には中国の産出量が多く、ところが昨今の関税戦争によって中国のレアアースに禁輸処置が課される可能性があることから、世界の先進国は中国に変わるレアアースの調達先を探しているという事情があります。ケニアでは、鉱山の採掘に関わる法整備が整っておらず、開発しようとする企業が少ないこと、レアアースは採掘、加工の段階で環境破壊が起こるおそれがあること、加工技術やインフラ整備の面で先進国に頼る必要がありますが、そこで欧米主導か中国主導かどちらか選択する必要があること、などなどさまざまな障壁があります。

ケニアやタンザニア、その他アフリカでは、現在もゴールドラッシュが続いています。一攫千金なるか。世界中が注目しています。

さて、ここからは東・中部アフリカの長期滞在情報。ケニアのナイロビ、タンザニアのダルエスサラーム、コンゴのキンシャサなど有名な都市を抑えて、私としてはルワンダの首都キガリを長期滞在スポットとしてあげたいと思います。

ルワンダと言えば、馴染みのない国の一つだとは思いますが、「ホテル・ルワンダ」という映画が有名だと思います。あれは、この地域にある伝統的な民族対立が激化して内戦になってしまったという悲しい歴史を紹介した名画なのですが(今からでも遅くないのでぜひアフリカの勉強のために見てください)、その舞台となったのがまさにルワンダなのです。

ルワンダ内戦は、フツ族とツチ族という、二つの民族の対立が激化したパターンなのですが、そもそもこの二つの民族は遺伝学的には大した違いがなく、両者の違いは曖昧でした。ところが宗主国のベルギーが植民地支配をすすめるなかで、曖昧だったフツ族とツチ族を明確に区別し、住民票にも分けた上で、ツチ族を優遇し、行政の要人はツチ族を登用し、人数では多数派のフツ族を支配する構造を作りました。あるとき、ツチ族とベルギー政府の関係が悪化するタイミングで、フツ族が反乱を起こします。こうしてフツ族による暫定政府ができます。報復による惨殺を恐れたベルギー人はフツ族を支援。ベルギーにも裏切られたツチ族は、隣国ウガンダに亡命します。フツ族はその後融和政策を行い、民族を超えた結婚も多発。徐々にフツとツチの境界は消え掛かっていたところに、ウガンダに亡命後、肩身の狭い思いをしていたツチ族が再びルワンダに戻って革命を起こそうとし、内戦状態というのが真相。こうして100万人近い命が奪われていきました。アフリカの血の歴史です。

こうして1994年をピークに、90年代は紛争の歴史がありましたが、新世紀に入るとカガメ大統領という敏腕大統領が国を納め、治安がよくなったことを期に隣国に逃げていった難民が戻ってきました。このとき、ただ戻ってきただけではなく、隣国で技術を学んだ優秀な人々が国に戻ってきたわけですね。こうして、ルワンダはそれまでの悪い歴史を取り返すような高度経済成長を実現し「アフリカの奇跡」と呼ばれました。

キガリのいいところは、その歴史の反省からか、アフリカの都市のなかでも治安がいいのです。また、キガリの都心から空港までは車でわずか10〜15分と近く(隣国はもっと時間がかかる)、長期滞在先のキガリを起点に、アフリカのさまざまな周辺国に出歩くという観光の仕方もありです。

そしてルワンダ、キガリをおすすめする理由として、独特の芸術表現であるイミゴンゴという伝統工芸が挙げられます。これ、牛の糞に顔料などで色をつけて幾何学模様を作る工芸で、文で説明するよりも絵を見ていただいた方がいいかもしれません。

伝統工芸品「イミゴンゴ」のイメージ。元々は牛糞を感想させ顔料で色付けしたもので幾何学模様を作った。

伝統工芸品「イミゴンゴ」のイメージ。元々は牛糞を感想させ顔料で色付けしたもので幾何学模様を作った。

どうでしょう? アフリカの民族衣類専門店なんかに行くと、この幾何学模様を使った商品や、壁などに見覚えがあるかもしれません。これ、発祥はルワンダなんです。ご存知でしたか?

イミゴンゴGoogle 画像検索

他にも、バナナを使った素朴な料理や、ウガリと呼ばれるアフリカの伝統食や、インソベと呼ばれるキャッサバとピーナッツをペースト状にした料理などあり、いかにもアフリカらしい体験ができるのが、キガリの魅力です。

1ヶ月の滞在費の目安は14万〜21万円。これは滞在客向けの設備のいいマンションを想定していて、環境、治安、衛生状況もよく、ネット回線にも定評があるため、とてもいい滞在体験ができるはずです。ケニアやタンザニアと同様、このあたりはにコーヒー豆も産地で、ほとんどの豆は先進国向けに輸出されてしまいますが、なかには地元の豆を使ってフェアトレードや農家支援なども行う意識の高いカフェ「Question Coffee」や、眺望がよくて読書やPC作業に向いた「Inzora Rooftop Cafe」。コワーキングスペースも環境のいい「Impact Hub Kigali」や、中心部にあって活発な「Norrsken House Kigali」など素敵なオフィスもたくさん。借りてる間にアフリカでビッグビジネスに発展する可能性もあるかもしれませんよ!

ルワンダはビザなしで30日の滞在が可能。その後現地で申告すれば60日まで滞在可能です。さらに、デジタルノマド向けに、ルワンダ・ウガンダ・ケニアを周遊できる観光ビザなども発行中。キガリを起点に3カ国周遊もありですね。

キガリ長期滞在のススメ

滞在コスト:900〜1400ドル(14万〜21万円)
推しポイント
・アフリカの中央部にあり、空港からのアクセスがいい。
・よって、この街を起点にさまざまなアフリカの諸都市に気軽に移動できる。
・アフリカの中ではかなり治安がいい。
・独特の伝統工芸「イミゴンゴ」や、ルワンダ料理などアフリカらしい文化に触れられる。
・観光ビザで60日滞在可能。

そんなわけで、アフリカ東部、中部は、ルワンダの首都キガリより楽園の地図がお届けしました!

楽園エリア3 西アフリカ

原油がたくさん沸くけど、ガソリンを輸入する不思議な国(ナイジェリア)
アフリカン・アメリカンの偉人が眠る、東アフリカの都市(アクラ、ガーナ)

西アフリカは、ナイジェリア、ガーナ、コートジボワール、セネガルなどの国がひしめく、アフリカ大陸の西部地域。この地域はかつては奴隷貿易の最前線として負の歴史がありましたが、かつての黒人奴隷がアメリカに渡ってジャズを生み出したり、カリブ地域に渡ってレゲエを生み出したり、ブラジルに渡った人々が間接的にボサノヴァを作ったりと、今、世界中で聴かれてる多様な音楽の、最もルーツにあるのは、西アフリカなのではないかと思っています。

西アフリカの音楽の特徴として、ジャンベサバールトーキングドラムなど、特に打楽器のバリエーションが豊富です。特に現代のポップスはメロディよりリズムに重心が移ってきているのですが、これも西アフリカが打楽器の多様性があったことと実は関連性があると私は踏んでいます。西アフリカの、思わず体を動かしたくなる強烈なビートが、世界中に伝播し、そこで各地の音楽と交配を続けた結果、現在の音楽地図が出来上がってるんじゃないかな、と私は妄想しています。

チョコレートで有名なガーナもこの地域。世界中の人が、ガーナのカカオにお世話になっています。チョコレート、コーヒーなど嗜好品と、打楽器重視、つまり踊りたくなる民族音楽、それが西アフリカと思っていただければだいたい間違いがありません。

さて、この地域では、人口2億人を超える大国、ナイジェリアがなんと言っても重要な国でしょう。アフリカ最大の人口を抱え、その人口の多さを武器にGDP(国内総生産)でもアフリカのトップに立ちました。ナイジェリアは、いまやアフリカ経済の4分の1を占めているとも言われます。

そんなナイジェリアの経済を支えているのは実は油田で、輸出品の86%が原油と、かなりいびつな経済体制です。1日に150万バレルという原油が湧き、これは世界14位です。OPEC(石油輸出国機構)の加盟国でもあります。

一方で、ここが面白いのですが、貧しく技術力に乏しいナイジェリアは、原油から石油を精製する技術がありません。加えて盗掘(湧いた原油を盗む)なども横行しており、本来の力を出しきれていません。ナイジェリアは現状なんと、原油を輸出しつつ、精製されたガソリンや軽油を輸入しています。正直、日本人感覚で言えばかなり変でしょ? それってカカオの実を輸出して板チョコを輸入しているような状態で、自国で精製せえよって話ではあります。こう言った状況ですから、ナイジェリアは原油が湧くのに、いまだ貧乏に喘いでいる国なのです。

そんな状況を変えるため、地元の実業家アリコ・ダンゴテは、ダンゴテ製油所という製油所を稼働させました。1日に最大65万バレルを精油できるという協力な設備が登場し、これでまずは国内向けのガソリンや軽油を精製し、輸入国からの脱却を図ります。

建設中の巨大なダンゴデ製油所

建設中の巨大なダンゴデ製油所

ところでナイジェリアと言えば、アフロビートという音楽ジャンルが有名で、なかでもフェラ・クティなどが世界的に有名です。彼が世界的に有名になった1970〜80年代は、ナイジェリアの原油が世界に輸出され出した頃で、上向いた契機がこのような素敵なビートを生み出しました。もし今回の巨大製油所の影響で経済が上向けば、ナイジェリアの音楽シーンもさらに盛り上がるはずで、それは遠い未来に生まれる新しいジャズやボサノヴァやレゲエなどの音楽の源泉となるかもしれません。みなさんはフェラ・クティ知ってますよね。すごくいいんだから。知らなきゃこっそり聴いてみて(↓)。

そんな西アフリカで長期滞在に向いた都市をあげると、ガーナのアクラがいいかもしれません。ナイジェリアのラゴスもいいんですが、現在は急速な都市化による治安や環境の悪化が指摘されていて、また渋滞も深刻で、滞在には向きません。

外務省の渡航情報でも、ガーナはレベル1「十分注意してください」に対し、ナイジェリアはレベル2「不要不急の渡航は止めてください」となっています。まあ、外務省がそう言ってますから、わざわざここで長期滞在するのはお勧めできません。一方で、ガーナは、アジアで言えばカンボジア、フィリピンなどと同程度の治安だと評価されています。

ガーナの首都・アクラは、都市圏を含むと550万人を上回る大都市ですが、観光的にはあまり見どころは多くなく、マコラマーケットという活気のある市場、ボジョ・ビーチという美しいビーチなど、素朴で飾らない魅力があります。楽園の地図的にみておきたいポイントはなんと言っても、W.E.B. Du Bois Centreという場所。ここは、アフリカン・アメリカン、つまりアフリカ系アメリカ人で黒人思想家、社会運動家のウィリアム・エドワード・バルガハート・デュボイスが、晩年過ごした施設。黒人の地位向上、そしてかつての宗主国の支配でバラバラの国になった黒人のアフリカの統合=パン・アフリカ主義を掲げ、単にアフリカ系エライという主張におさまることなく、アフリカンは高等教育の機会を増やし、その知識によってアフリカ系民族の地位向上に務めるべきだと主張。のちのバラク・オバマや、数々のBLM運動の根源にあるような人なんです。黒人カルチャーには敬意を持っている私としては、いつかはここに行ってみたい!

そんな崇高な理念を持った偉人が眠る地、アクラで、のんびりアイデンティティを見直すような日々を過ごすのも悪くないのではないでしょうか?

もちろん、アフリカ地元産の良質なコーヒーを使ったカフェ文化もバッチリで、中でも町外れのコーヒーロースター「Gold Coast Roasters Ghana」がおすすめ。コワーキングスペースも「Impact Hub Accra」など、シンプルながら活発な場所もありです。

またガーナ料理も素朴なアフリカ仕様で、豆とお米を使った赤飯のような見た目のシンプルな料理、ワーチェや、ケレウェレ(揚げバナナ)、ガーナ・ジョロフ(焼飯やピラフに似た料理)など素朴ながらなかなか飽きないメニューが盛りだくさん。なんと言っても、名物のガーナ産のチョコレートをたくさん食べるというプランもアリですね!

どちらかと言えば治安も衛生環境もよくない西アフリカですが、興味のある方はアクラを起点としていくつかの国をホッピングするのも楽しそうです。現地のコーディネーターを雇った方がいいかもしれません。

1ヶ月の滞在費はマラケシュやアクラと比べやや高く、1ヶ月あたり18〜28万円といったところ。

アクラ長期滞在のススメ

滞在コスト:1200〜1900ドル(18万〜28万円)
推しポイント
・治安に難がある西アフリカの中では比較的安全。
・英語圏のためコミュニケーションしやすい。
・豆や米を使った素朴なガーナ料理。
・チョコレートにコーヒー!

楽園エリア4 南部アフリカ(&島嶼部)

アフリカで生まれた新たな音楽の潮流、アマピアノとは?(プレトリア、南アフリカ)
まさかアフリカにこんな楽園が!? アフリカ最後の楽園(ポートルイス、モーリシャス)

さて、アフリカ・最後は南アフリカ共和国を中心とした、南部アフリカ、そしてアフリカ周辺の島嶼部もまとめてお届けします! この地域は、なんと言っても、古くから経済・文化の中心だった南アフリカ共和国が地域のハブです。南部アフリカは、サヘル(サハラ砂漠より南側、つまり北アフリカ以外)では最も経済的に安定していて、道路などインフラも整っており、経済活動も活発です。ヨハネスブルグなど局所的に治安が悪い地域もありますが、比較的マシです。一方で、HIVの感染率が他の地域より依然として高いことなど、まだまだこの地域には課題が多数残っています。

南アフリカ共和国は晴れの日が長いこと、郊外に行くとアメリカの中西部のような風景に似ていること、そして北半球が冬の時期に夏であること、物価が安いことなどを活かして、映画の撮影現場として最近は有名です。「第9地区」「チャッピー」など、ぜひおすすめしたいSF映画の舞台にもなっています。

さて、そんな南部アフリカの中心部、南アフリカ共和国、その首都であるプレトリアやヨハネスブルグで発展している新しい音楽シーンについて紹介しましょう。南アフリカ共和国は音楽的にかなり面白くて、たとえばクワイトという、アフリカ独特の音楽を、ハウス的サンプル手法で再構築した音楽ジャンルがあって、90年代ぐらいに発展したのですが、他の地域にはない不思議な音楽なので、昔からよく聴いておりました。これとかよく聴いたな。

Zone 3/Dj Cleo

このジャンルは、ソウェトと呼ばれる、要はアフリカのスラムで生まれた音楽です。こうやって新しいメロディ、新しいリズム、新しい音楽を生み出してきた南アフリカですが、アマピアノという音楽ジャンルが最近話題なのをご存知でしょうか?

Shesha – De Mthuda x Njelic

どうでしょうか、この、ハウスミュージックからジャズ、R&Bまでも飲み込んでしまったような不思議な音楽は。そこまで早いテンポではないので、自宅で夜中にひっそりと聴いたり、激しすぎないので作業中の音楽としてもいいと思います。南アフリカは犯罪も多く政府の腐敗も多く、貧富の差も多く最悪な状況です。でも、最悪な環境から最高な音楽や、最高な作品が生まれるというのはよくある話。

さて、こんなトライブな音楽、アマアピアノを、ポップの世界で最も早くとりいれた世界的なアーティストにTylaがいます。

Water/Tyla

昨今のHip Hop/R&Bは、トラップ音楽を多用したディープなサウンドスケープが多く、ちょっと食傷気味なのですが、アマピアノ風のポップスは静かな狂気って感じで、聴き疲れしなくて素晴らしいです。

さて、このアマピアノが生まれた背景にあるゴム(Gqom)という音楽についても解説しなくてはいけません。ゴムは南アフリカ・ダーバンが起源の音楽で、一聴したところハウスやテクノではありますが、ジャンルの特徴である4つ打ちのリズムをあえて外していて、ミニマルな魅力があります。

Trip to New York/DJ Lag

アフリカには、南アフリカだけではなくさまざまな場所で最新の世界音楽になるかもしれない新しいジャンルの音楽が生まれていますが、南アフリカで生まれる音楽の特徴は他のアフリカ地域と比べていい意味でエスニックすぎないと言いますか、聴きやすい感覚のものが多いように思います。こういうところから、トリップホップやトラップのように、世界的に聴かれる音楽が生まれるんじゃないかって期待しています。

さて、アフリカ南部、島嶼部で長期滞在に向いた場所はポート・ルイス(モーリシャス)です。あまり馴染みはないかもしれませんが、ここアフリカ? と疑いたくなるような美しいビーチに、美しい街、治安抜群の都。それもそのはず、アフリカと言っても、マダガスカル島の横にある、インド洋上の小さな島国なのです。ここも地域区分上はアフリカです。

モーリシャスの島

モーリシャスの島

ポートルイスの街並み

ポートルイスの街並み

ポート・ルイスがあるモーリシャスの一人当たりGDPは11000ドル前後ということで、これはアジアで言えば中国やマレーシアぐらいの稼ぎで、アフリカでも1、2を争うお金持ちの国です。主な産業としてはサトウキビや繊維産業、そして鉱物資源に観光業も盛んです。人口わずか127万人。まあ、イメージとしては沖縄県が一つの国になったようなサイズです。

元々、フランス領の島だったこともあって、フランスの文化の影響が強く、人種としては、大航海時代にやってきたヨーロッパ系、さらにインド系(かつての大英帝国時代に移住)、アフリカ系(もともとこの地域にはアフリカ系はいなかったけど、奴隷貿易によって連れてこられた過去)、中国系(客家系や広東系など南中国からの移民が多い)の4つの民族が入り混じる、独特のミックスカルチャーです。おかげで中国の春節から、インドのガネーシャの日、キリスト教の祭りなどさまざまな祭りが島で行われます。

島の名物はラム酒で、ここはとても欧州的ですが、一方で中国人が多く中華料理屋もメジャー。長い暮らしの中でそれぞれの文化が混じりあう瞬間も多く、長期滞在であればあるほど、さまざまな料理を味わえるありがたみを感じると思います。

気になる1ヶ月の滞在の目安は、それほど高くなく、18〜28万円。今回紹介した他の地域と比べると「アフリカ感」は薄いですが、一方でだからこその安心感もあり、ここからマダガスカル、南アフリカ、ケニアなどアフリカの各地域にホッピングするのも悪くないかもしれません。

もちろんカフェも多数あります。街の中心部には小粋なカフェ「Cafe De La Presse」、海が見えるハーバー沿いの入りやすいカフェ「Artisan Coffee」、小さい街ですがコワーキングスペース「Coworking Port Louis」もあります。アフリカ滞在としてここを選ぶのはずるいかもしれませんが、かのように多国籍の文化が混じった面白い島であることは確かです。お試しあれ。

滞在コスト:1200〜1900ドル(18万〜28万円)
推しポイント
・アフリカ地域ではびっくりするほど綺麗なビーチや綺麗な街並み
・先進国並みの経済発展。
・英語圏のためコミュニケーションしやすい。
・フランス料理、インド料理、中華料理など、さまざまな料理が味わえて、長期滞在でも飽きない。

ということで、南部アフリカ・島嶼部から楽園の地図がお届けしました!

おわりに

助手「というわけで、アフリカ、4つのエリアから、8つの話題をお届けしました。気になったものはありますか?」
船長「今回は各地域にお勧め滞在都市が紹介されてたけど、どれも欧州や北米より安いね」
助手「そりゃアフリカの物価は欧米先進国より安いですよ」
船長「居心地の良さではポートルイスがいいけど、流石にアフリカっぽくないし。。」
助手「船長が好きそうな街はなんとなくわかるんですよ。せいので言いましょう。せーの」
二人「マラケシュ!」
船長「なんでわかるんだよ」
助手「ふふふ。僕は船長のことはなんでも知ってるんですよ」
船長「マラケシュよさそうだよね。長期滞在ならマラケシュ推しかも」
助手「いつか一緒に行きましょうね。次週は、北欧!」

(つづく)

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