楽園の地図第91号 多国籍タウン新大久保においでよ!

新大久保/新大久保/バンコク/シンガポール
船長と助手 2025.05.23
誰でも
<a href="https://maps.app.goo.gl/V85iQ2QuSSih66xZ8" target="_blank">Green Nasco,</a> Shin-Okubo, Shinjuku, Tokyo

Green Nasco, Shin-Okubo, Shinjuku, Tokyo

もくじ

はじめに
今週の楽園 多国籍タウン新大久保においでよ!2025
今週のオアシス 
今週楽園で聴きたい音楽 พักก่อน(Phakkon)/MILLI(バンコク/タイ)
今週楽園に行けない人のために クレイジー・リッチ(シンガポール)

おわりに

はじめに

ベトナム、ラオス、タイ!

6月4日からベトナム、ラオス、タイと旅することになりました。例によってのんびり旅が好きなのでたぶん1ヶ月ぐらいかけて。例によって旅の相棒は奥さんです。ベトナムは10年以上ぶり、タイは3年ぶり、ラオスは初となる旅行です。ベトナムはたぶんハノイのみ。ラオスはルアンパパーンとヴィエンチャン、タイはイサーン地区の各都市を回って最終的にバンコクに向かう、というおおまかな旅程は作りましたが、例によって途中のチケット、宿は取ってません。さて、どうなることやら(旅程の地図)。私は無事、バンコクに辿り着けるのでしょうか! とっても楽しみ!

さて今週は、私の東京の新しい本拠地、新大久保の魅力を紹介します! いやー、新大久保、エキサイティングな街なんですよ。5月中は特に用事がない日以外は新大久保にいますので、もし私と一緒に(日によっては奥さんも)新大久保を楽しみたいという方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください(Xがいちばん早く連絡に気づけるかも)。

今週の楽園 多国籍タウン新大久保においでよ!2025(新大久保/東京)

写真は真大久保アジア屋台村。韓国、中国、マレーシア、シンガポール、ネパール、インド、ベトナム、タイの料理が食べられる!

写真は真大久保アジア屋台村。韓国、中国、マレーシア、シンガポール、ネパール、インド、ベトナム、タイの料理が食べられる!

134もの国籍を持つ人々が暮らす新宿の、最も多国籍な街、新大久保

さて、いきなり新宿区が発表している新宿の5月1日現在の人口が発表されています(PDF)。この表には国籍別の住民が描かれていますが、なんと134もの国籍の人が暮らしています。日本も少しずつ国際化、多様化していますが、約35万人の人口の中にこれほど多くの国籍者が暮らしているのは、間違いなく日本でも最も多様な人種的バックボーンを持った人が住んでいる区と言えそうです。ちなみに、このランキングによると、日本人以外で住んでいる人種TOP 10は(1位・中国(大陸籍)、2位・韓国、3位ネパール、4位ミャンマー、5位ベトナム、6位台湾、7位アメリカ、8位フランス、9位フィリピン、10位バングラディシュ)だそうです。新大久保ですれ違う人々を振り返すと、確かにこのようなランキングになるんじゃないかなと思います(ちなみに、ミャンマー人は新宿区の高田馬場、フランス人は神楽坂に集住しているように思い、そのほかの人種は新大久保でよく見ます)。

多様性1. コリアンタウン

2004年に「冬のソナタ」が大流行してから新大久保は韓流の街として有名になりましたが、この頃は実際に韓国人が経営しているレストランがあつまる、ザ・コリアンタウンという趣でした。特に駅の東側が若者の街、K-POPの街と大きく変わるのは2015年あたりではないかと思います。今の新大久保はこんな感じ。

昭和世代には懐かしのブロマイドが多数飾り付けられたお店

昭和世代には懐かしのブロマイドが多数飾り付けられたお店

こんなお店とか

ホットク(韓国のホットケーキのようなもの)、ハットグ(ホットドッグとほぼ同じだが味付けが変わってる)、トッポギ(韓国のお餅)が食べられるお店。

ホットク(韓国のホットケーキのようなもの)、ハットグ(ホットドッグとほぼ同じだが味付けが変わってる)、トッポギ(韓国のお餅)が食べられるお店。

こんなお店とか。

こんな感じの韓国風オシャレカフェとか(これは閉店後に撮影させてもらいましたが、営業中は若い女性客で大賑わいです)→SCOOP COFFEE

ネオンのトッポギ、韓国風おでんを持つ男女。かわいい。

ネオンのトッポギ、韓国風おでんを持つ男女。かわいい。

この楽しい壁面が飾られているのは新大久保の新名所(新が多いね)、新大久保韓国横丁。恵比寿横丁などと同じく、小さな店舗がフードコートのように並んでいるいわゆる横丁なのですが、意外と閉店が早い新大久保の夜で、夜遅くまで営業してくれてる楽しい横丁です。お酒好きならたまらない空間でしょうね。ほかの横丁と違い女性率が高いためか治安も良好だと思います。

と、このようにやはり新大久保の魅力と言えばなんと言ってもコリアンです。私はK-POPもK-Movieも大好きなので、若者に混じってこの空気を日々楽しんでいます(平日がおすすめです)。

さて、ここで私たちのおすすめの韓国レストランを紹介しましょう。

ハンサムというお店です。新大久保駅からほんとに2分ぐらいのところにあります。

韓国レストランと言ったらなんと言ってもサムギョプサルでしょう。サムギョプサルは本場韓国でも何度も食べましたが、本場のサムギョプサルは肉はもちろん、サンチュやエゴマほか、たくさん野菜を食べられるところが醍醐味です。そこでこのハンサムですが、写真のように(これは2名分)もりもりの野菜が食べられるのが特徴。

韓国料理は味が濃くてどことなくヘルシーから遠いイメージですが、野菜をたくさん食べるとK-POPアイドルのようにすらっとした男女になれますよ、きっと。私はほぼ3日おきぐらいに韓国料理を食べてますが今のところ体型は維持できてます。お店選び、メニュー選びを間違えなければ意外とヘルシー、それが韓国料理なのです。

多様性2. チャイナタウン(大陸も台湾も)

新大久保に韓国人がたくさん住むようになったのは戦後ですが、このとき、同じく旧日本領だった台湾の人も多く新宿近辺に住みました。隣町、新宿歌舞伎町は実は台湾系の人が多いのですが、その流れで歴史的に台湾人は現在の職安通りから南側にかけて住んでいます。

一方、大陸系はニューカマーとして、主に新大久保駅の西側に集住しました。現在は、やはり移民人口の多さゆえかどちらかと言えば大陸中国移民が目立ちます。

最近では東京近郊では池袋、あるいは西川口がガチ中華の街として注目を集めていますが、そこまで行かなくても新大久保にもガチ中華はあります。まずはとっても便利な中国系食品店を紹介しましょう。

いつも重宝している華僑服務社。店内は清潔だし安いしなんでもあるし、食材店に興味がある方はここだけ行けばOK!

いつも重宝している華僑服務社。店内は清潔だし安いしなんでもあるし、食材店に興味がある方はここだけ行けばOK!

華僑服務社は全3フロアに中国系食材がたっぷり売ってます。小さいコンビニエンスな店ながら商品点数は随一。私が何軒か食材店を回った限り、中華系では最もお買い得な値段で、他では買えない食材(例えば、中華料理ではお馴染みの干し豆腐/豆腐干や、ザ・中華なパッケージが面白い中国の栄養ドリンク王老吉まで)までなんでも売ってます。ほとんどは中国(大陸)の商品が主流ですが、韓国、台湾、タイの商品なども多数あり、食材に興味のある方にはたまらない場所だと思います。

大陸系のお店だけだとバランスを欠くので、ちゃんと台湾系の施設も紹介しましょう。実は新大久保には、台湾の人々が建てた廟があるんです。こちら。

在日台湾人がお金を出し合って作った廟

在日台湾人がお金を出し合って作った廟

東京媽祖廟は、廟と呼ばれる祖先の霊を弔う宗教施設です。この媽祖廟は、中国の哲学者、老子の教えを守る道教の人々が作った施設。実は台湾人は道教を信じる人がわりと多いんですね。東京に暮らす台湾人道教の人々が自分たちの宗教的なベースとなる場所を作ろうということで有志でお金を出し合ってできたそうです。

それにしても立派な施設。ビル街に突然あるから初見だとちょっとびっくりしますよ。

さて、そんな大陸系も台湾系も仲良く暮らすチャイナタウンとしての新大久保の中でも、おすすめの中華料理はここです。

兆奎餃子(チョウケイギョウザ)は、いわゆるガチ中華の名店。ただし、メニューによってシェフが変わるのか、味付けも大きく異なります。私はどちらかと言えばあっさり中華が大好きなのですが、あっさり系中華ファンに、この店で頼むべきメニューをお伝えしましょう。一回しか書きませんからメモの準備を。水餃子(具材を選べますが、最もオーソドックスなミックスでいいと思います。海老も豚肉も入っていてジューシー)、揚げピーナッツ(お酒のつまみなんかに最高)、ブロッコリーとエビの炒め(シンプルながら過不足ない味)、まだ食べれそうだったらおやき系天津系を頼んでみてください。いやほんと、横浜まで行かなくても美味しい中華は食べれちゃいます。

多様性3. ベトナム・タイ(リトルサイゴン、リトルバンコク)

長くなってきたのでここからはダイジェストでいきましょう。新大久保は東南アジア系の人々も多く住んでいます。おすすめのレストランはこちら。

ソムオーは、新大久保駅近くにあるタイ料理ですが、なんと言っても、タイの政府商務省が認定したレストランということで、タイ料理の伝統を引き継ぐ「正しいタイ料理」が味わえるお店です。例えば、タイ料理には鶏肉とご飯を使ったカオマンガイというメニューがありますが、正しい調理法としてはご飯と鶏肉を同時に炊かなくてはいけません。別々で調理して単に味付けしただけのメニューも多数ありますがそれは正しいタイ料理とは言えません。ちなみに、メニューは辛さが分かりやすく表示されていますので、辛いのが苦手な方、あるいはパクチーが苦手な方はそれを伝えてもらえば問題ありません!

ソムオーのガイヤーン(焼き鳥)めちゃうま。

ソムオーのガイヤーン(焼き鳥)めちゃうま。

ベトナム料理のおすすめは、バインミーのテイクアウトがうまいりすちゃん(Soc Con)です。ここのバインミーは絶品!

多様性4. インド・ネパール・バングラディシュ

南アジア系の移民が多いのが新大久保の特徴でもあります。冒頭の写真、GREEN NASCOは、インド・バングラ系移民が始めた食材屋さん。ハラルを守ったイスラム系食材を取り扱っています。このお店がきっかけで、この通りはイスラム横丁と呼ばれるようになりました。

そんなGREEN NASCOのすぐそばにあるネパール料理のおすすめはモモ。ダルカレー(豆のカレー)と、チョウメン(ネパール風焼きそば)はおすすめ。

チョウメン(ネパール風焼きそば)

チョウメン(ネパール風焼きそば)

とまあ、いくら胃袋があっても、いくら日数があっても足りないのが新大久保の魅力です。5月いっぱい、私たち夫婦は新大久保近辺をふらついてます。よかったらみなさんもお誘い合わせの上遊びに来てください。

最後にもう一回。新大久保においでよ!

今週のオアシス 珈琲豆林 コーヒードリーム(新大久保/東京)

新大久保近辺は、カフェ天国と言って差し支えありません。デートにおすすめな隠れ家系ならROZI caffeeの2階、なんかラグジュアリーで開かれたカフェがお好みならGAZEBO TOKYO、普段使いのベーカリーカフェならTHE BAKE FACTORY(あんバタークロワッサンが美味しい)、アメリカンな感じがお好みならCAFE SECRET WINDOWと、引っ越して3ヶ月ながらすでに20軒近くのカフェにお邪魔させていただいています。ただ、毎日4.5万人が利用すると言われている新大久保駅。特に週末ともなると、駅の改札に辿り着けないほどの客が出入りし、カフェはどこも若い女性で混雑していて、のんびりすることもままなりません。

そんななか、いつ行ってものんびりとした時間が流れているのが今回紹介する珈琲豆林です。新大久保にK-popブームが来る何年も前からこの地でカフェを営む同店は、どちらかと言えば日本の喫茶店の雰囲気に近いです。

シンプルな店内

シンプルな店内

新大久保のカフェはどこも内装が凝っていて、奇抜だったりおしゃれだったりしますが、一方で落ち着くにはほど遠いカフェも多いです。ま、それはそれで楽しいカフェではあるんですが、地元民としては静かなカフェに行きたいのが人情。その点、このカフェはいつ行っても静かで、充電器も充実していて、読書や作業、1人でのんびりするのにおすすめのカフェです。寡黙なマスターがハンドドリップで入れてくれるコーヒーは格別。

読者の皆さん、5月いっぱい、新大久保のこのお店に来てくれたら、私が新大久保の街を案内しましょう。みんな、新大久保においでよ!

珈琲豆林(Google Map

今週楽園で聴きたい音楽 พักก่อน(Phakkon)/MILLI(バンコク/タイ)

タイ最注目のフィメールラッパー。MILLIはタイの9m88、そして宇多田ヒカルだ!?

サワディカーッ! 今日の音楽のコーナーはタイを代表する女性ラッパー、MILLIを紹介します。冒頭の動画は、MILLIのデビュー曲 พักก่อน(Phakkon/パッコーン=タイ語で「ちょっと休憩しましょう」のような意味)。MVでは学校のいじめっ子にやり返す動画がユニークですが、まあ敵に向かって、「そうムキになるなよ」的なことを歌っています。低音の効いたドープでギャングスターなトラックに、他言語よりどこか気の抜けた(ように聴こえる)タイ語のラップがかわいらしさとかっこよさが絶妙に配合された一曲。この曲はコロナ真っ最中の2020年末にドロップされましたが、以降瞬く間にタイを代表するフィメールラッパーに上り詰めた感のあるMILLI。私が思うに、今のタイ音楽を知るためには、MILLIは絶対に知っておきたいアーティストの1人だからです。

MILLIはバンコクに生まれます。タイという国は、「バンコクか、それ以外か」に分かれると言っても過言ではありません。バンコクの人か、それ以外かで、ライフスタイル、支持している政党、価値観、あらゆるものが違います。MILLIは2002年バンコク生まれのシティガール。かつての貧しいタイを知らない、今の煌びやかなタイしか知らない少女。そういう意味で、MILLIは、新しいタイ、東京を上回る最先端の国際都市・バンコクを象徴する存在と言えるでしょう。

先ほど紹介したデビュー曲で一気に国内で売れたあと、2022年にはアメリカ・カリフォルニア州で行われる世界最高峰のミュージックフェスティバル、Coachella(コーチェラ)に参加し、若干20歳にして国際的な知名度を獲得しました。

タイ国内、あるいは国外のアーティストのコラボも積極的で、例えば私が好きなMirror Mirrorという曲では、タイHip Hop界のレジェンド、F.HEROと、韓国のボーイズグループStray KidsのChangbin(창빈)とコラボし、曲の冒頭で圧巻のラップを披露します。

どうでしょうか。タイ語、英語、韓国語の3ヶ国語のラップが圧巻ですよね。特に聴いてほしいのは冒頭31秒あたり、ものすごいタメて「私の美貌かしら?」と決めるシーンが忘れられません。(ちなみに有志が日本語訳をつけた翻訳版もあります)ラッパーという職業にはある種の演舞性(演じる力)が求められますが、彼女のそれはタイ基準を大きく上回り、アジアを代表するラッパーとなるのも時間の問題のような気がします。この飛び抜け方は台湾で9m88というR&Bシンガーが出てきた時に近いと個人的には思います。音楽性は大きく違いますが宇多田ヒカルのような感じもいたします。

私がHip Hopが特に好きなのは個人的な好みもありますが、皆さまにおすすめしたい理由が二つあります。今回はタイ語のラップですが、フランス語、ドイツ語、韓国語、中国語、タイ語などあらゆる言語のラップには、言葉の個性のようなものがより鮮明に現れます。広東語には広東語の、イサーン語にはイサーン語の、東北弁には東北弁の魅力がHip Hopという音楽にはより色濃く出やすいからです。もう一つ、ラッパーは一般的にFeaturing、つまりコラボを好んで行うアーティストが多く、彼女もその例に漏れません。当然、彼女のようなイケてるラッパーがフィーチャリングする相手はタイの素晴らしいアーティストばかりで、彼女1人を追っていけば、今、タイで誰がイケてるミュージシャンを知ることができるのです。まああの、わかりやすく言えば美人の友達は美人、イケメンの友達はイケメン理論ですね。笑。

例えばこちらは、タイの音楽グループ、Tilly Birdsとのコラボ。タイ名物のトムヤムヌードルのカップ麺の海老2匹でハートを作る姿がキュートで胸キュンなMV。後半、MILLIのパートではLGBT大国タイらしく、同性愛にも切り込みます。

Tilly Birdsはアーバンなポップスを展開し、商業的にも大成功している3人組なのですが、Milliとの異色コラボはとてもいい出来だと思います。このように、イケてるラッパーを追っておけばイケてるバンドも見つけるわけです。こうやって、さまざまなアーティストとコラボして、タイ音楽シーンの底上げをしてほしい。まだ23歳なのに大活躍。若い世代が元気な国は今後も安泰です。さて日本の若者は?

今週楽園に行けない人のために クレイジー・リッチ(シンガポール)

シンガポールの景色とともに、華僑の家族感にも触れられるドラッグムービー

バンコクからシンガポールにトリップ! Ok Lah?

うーん、これはなかなか面白くてボディ感のある良映画ですわ。ボディ感とは私が大好きなコーヒーの味を評価する言葉で、要するに重厚さという意味です、気取ってしまってすみません。

ストーリーの骨子はこうです。シングルマザーの元で生まれたニューヨーク住みの中国系アメリカ人女性が、交際中の中国系シンガポール人留学生から、実家に来てほしいと誘われシンガポールに向かったところ、彼はシンガポール一の大富豪のご子息だったことが判明。将来の後継となる息子がアメリカから恋人を連れてきたものだから、シンガポールは国民を巻き込んで大騒ぎ。SNSやメディアなどで街中の噂になってしまう感じが、小さな都市国家シンガポールならでは。果たして彼女は実家の妨害を超えて無事愛しの彼と結婚できるのか!?という話です。

ということで大きく括れば恋愛モノということになるかと思いますが、この映画は3点で恋愛モノに興味ない男女にもお勧めしたい映画です。一つは、あまり映画の舞台になることはないけど、とっても魅力的な都市、シンガポールの名所が余すことなく登場するところ。マリーナ・ベイ・サンズ、マーライオンから、ホーカーまでシンガポールの名所がたくさん見れる観光映画になっています。二つ目に、アメリカ・ワーナーブラザーズのビッグバジェット映画らしく、衣装も決め決め、シンガポールの名所(たとえばガーデンズ・バイ・ザ・ベイ)で盛大なダンスパーティを開くなどゴージャスな映画になっているからです。最近個人的にはミュージカル・ダンスシーンの多いインド映画にハマっていますが、それに通じる面白さがあります。3番目。これがこの映画のキモですが、ここには華僑(中国を飛び出し世界に散らばった移民を指す言葉)の大富豪の家族が登場し、アメリカ人とも日本人とも異なる独特の家族感を持つ中国系移民家族の特性がありありと描写されているからです。彼氏のママにとって結婚とは、膨大な資産を引き継ぐ後継であって、息子の個人的な好き嫌いで結婚を許すわけにはいかないようです。いやー、なんかめんどくさそうですね。でもなんか、このパワフルさで中国系移民は移民先でも自分たちの伝統を守っていけたのかなと思ったり。特に気の強い女性におすすめの映画です。

おわりに

前回の続き
(ヒッチハイクをした船長と助手。しかし、運転手とは言語の壁があってうまくコミュニケーションを取れない。思った以上の距離を移動してきて不安になる助手くんをよそに、船長は眠りにつくのだった・・・)
助手「ああ、どうしよう。ヒッチハイクしたけど誘拐かなんかで殺されちゃったらどうしよう・・・船長早く起きて〜」
船長「ZZZ・・・・」
運転手「さあ、ついたぜ」
助手「(ドキドキ)」
船長「んあ? もう朝」
助手「船長寝ぼけないで。目的地に着いたんですよ!でも様子がおかしいです」
運転手「さ、降りて」
(何もない土地を歩くこと少し)
運転手「不思議な男たちを連れてきました」
長老「そなたたち2人が異国から来たものか?」
助手「はい」
船長「・・・」
長老「船を動かす動力源を探してるのだとか」
船長「そうです」
長老「じゃあ、わしがそなたらの未来を占ってあげよう」
船長「(ここどこ?)」
助手「(わからないです)」
長老「むむむ。船の動力源とやらはすでにそなたらの船に積まれておると出ておるぞ」
運転手「ほら、長老に頭を下げて」
船長・助手「(しぶしぶ)ありがとうございます」
運転手「我が村にお布施ちょうだい」
船長「ま、まあ、車で送ってもらったし。はいこれ、米ドル札」
長老「そなたらの未来に幸あれ〜!」
(1時間後)
助手「なんか、よくわからない村で祈祷されましたね」
船長「とりあえず長老はああ言ってるし船まで戻ってみるか。ここがどこだかよくわからないしね」
運転手「米ドル札もう一枚くれたら港まで送ってやるよ」
船長「お願いします」
助手「(なんかいろいろ頑張った上で最終的にはお金の力でどうにかしようとしてるー。観光客あるあるー)」

(つづく)

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