楽園の地図55号 旅の間の体調管理について、クリニックさんに本気で聞いてみた(前編)

旅行中の体調管理について、真剣に考えてみませんか?
船長と助手 2024.09.13
誰でも
Sanbancho, Chiyoda, Tokyo

Sanbancho, Chiyoda, Tokyo

もくじ

はじめに
今週のスペシャルゲスト 岩田佳織さん(三番町ごきげんクリニック 看護師)
【旅行中に体調崩す人必見】旅で体調を崩す4つの理由
旅先での自律神経の乱れとの向き合い方
旅先でコロナに感染!そこからXXで復活した!
「GABA」は自律神経の味方
硬水、軟水だけじゃない、旅先での水の話
時差にはメラトニンで対処せよ
今週のオアシス 三番町ごきげんクリニック(半蔵門/東京)
おわりに

はじめに

人生の制限をどう決めるか

私の人生のテーマは自由です。人はそれぞれ自由に生きる権利があると思います。日本に生きる私たちは、さまざまな面で恵まれています。経済的な自由、自由に行動する自由、行きたい場所に行ける自由、好きな人と結ばれる自由などなど。一方で、これは日本に限らないと思いますが、社会には閉塞感があって、本当は誰にも制限されていないのに制限された気分になったりします。制限、とっぱらいたくないですか? 私はいつもそう思ってます。

ではどうすれば自由に生きれるのでしょうか? あなたを制限しているのはなんでしょうか? もしもあなたに金銭的な余裕がなければ、さまざまなやりたいことを制限する必要があるかもしれません。時間的な余裕も欲しいですよね。好きにやるためには自由に使える時間が多い方がいいです。気持ち的なマインドセットも必要でしょう。社会に蔓延る閉塞感と向き合うためには、俗にいうハートの強さが大事だと思います。世間体や小さなプライドを保つために、本当にやりたいことを制限するなんて実に馬鹿らしいじゃないですか。でも、実は自分をくくりつけているのは自分自身だったということもよくあることです。友達や付き合う仲間の選び方とか(友達はあなたを鼓舞してくれる素晴らしい存在ですが、人によったり、付き合い方によってはあなたを制限する存在になります)、人との距離の取り方とか。ただ人によっては、制限があった方が、誰かに抑圧された方が精神が落ち着く人もいて、どこまで自由を求めるかは難しいところですが。

さらに、健康ではなくなってしまって、身動きが取りづらくなるケースもあります。これはどうしても避けたいですよね。私も40代ですし、自分の健康について、きっちり向き合うべき年齢に差し掛かってしまいます。そこで、今日は通常回と少し装いを変えまして、旅の間の健康管理というテーマで、いつもお世話になっている三番町ごきげんクリニックの岩田佳織さんという方にお話を伺います。

ごきげんクリニックとは、東京の三番町(駅で言えば東京メトロ半蔵門駅か九段下駅が最寄り)にある、アンチエイジング内科や、がん患者さんの免疫療法など専門に行うクリニックです。高濃度ビタミンC点滴など点滴外来も充実しています。私はかれこれ34歳の頃から現在43歳まで丸8〜9年間、このクリニックのお世話になっています。

いつもより長いですが、ぜひ読んでみてください。

今週のスペシャルゲスト 岩田佳織さん(三番町ごきげんクリニック 看護師)

岩田さん(ごきげんクリニック)

岩田さん(ごきげんクリニック)

岩田佳織さんプロフィール

2001年愛媛大学医学部看護学科卒業。2002年助産学専攻科卒業後、総合病院で助産師として6年間の臨床経験を経て2008年三番町ごきげんクリニックに入職。栄養解析・コンサルテーション(指導・コーチング)などの実務の他、クリニック運営を踏まえた組織マネージメント・営業戦略などにも責任者として取り組んでいる。サプリメントアドバイザー・日本抗加齢医学会指導士・日本コーチ協会認定メディカルコーチなど。

岩田さんはごきげんクリニックで最も勤続年数の長い看護師・助産師さんで、日本抗加齢医学会認定指導士という資格を持たれています。抗加齢医学とは、要するにアンチエイジング、加齢に対抗して元気でいるための医学ってことです。

私は34歳の頃、どこか体調不良を抱え生きていましたが、以来、現在までクリニックの院長、澤登先生とともに、岩田さんにお世話になってきました。はっきり言えば、私は34歳より43歳の今の方が、見た目も身体も若いと思います。それはきっと、澤登先生、岩田さんと共に、アンチエイジングに取り組んできたからだと今では考えています。実は最初は半信半疑なこともありましたが、体調が少しずつ改善されるに連れ、お二人を信用してここまで頑張ってこれました。

岩田さんは、世間でイメージされる看護師さんと全く違い、日々の生活を見直してくれる、パーソナルトレーナーみたいな方です。とても勉強熱心、凝り性で、最新医療や健康に関する知識は私が知る限り誰よりも豊富です。そんな岩田さんと共に、旅行中の健康管理というテーマで、話を伺ってきました。35歳以上、いや、健康になりたい全世代必読!

【旅行中に体調崩す人必見】旅で体調を崩す4つの理由

ーー岩田さんは普段はあまり旅行しないみたいですけど、この前沖縄に家族旅行されたと聞きましたが、いかがでした?

 いやー疲れました(笑)。飛行機の移動の疲れだけじゃなくて、気苦労とか。すごく疲れました。もちろん楽しかったですよ(笑)。

ーー沖縄も国内とはいえ、東京、本州とは違う環境ですもんね。水も空気も違うだろうし。国内はともかく、海外に行くと食事も文化も違うし。それで、私たち旅人にとって困ったことが、疲れただけならいいんですが、旅行中に体調を崩すという事態でして。特に1ヶ月とか長期で旅をする人にとっては由々しき事態です。旅に出ると体調を崩すって結構あるあるだと思うんですが、何が原因なんでしょうか?

 体調を壊す要因は様々ですが、旅行というテーマに限って言えば、4つ考えれられます。まず一つ目は、緊張からくる自律神経の乱れですね。例えば東京から北海道に移動すると、空気や温度感をはじめ、いろんなものが違います。変な話かもしれませんが、東京のアスファルトが熱された上にある空気中のミネラルと、北海道の大自然の空気中のミネラルって含まれているものが全く違います。私たちも植物と一緒なので、そういう空気の違いなんかも、実は敏感に感じて神経が興奮するわけです。だから森林浴は森のミネラルを感じるから落ち着くんですね。

ーー今の話だと、アスファルトの東京から自然豊かな北海道に行けば逆に体調が良くなりそうです。

 多分、しばらく滞在すると良くなるとは思います。ただ、自律神経という神経は、とにかく変化が苦手なんです。自律神経って「乱れる」っていう言葉を使いますが、頻繁に滞在地を変えたりとか、気温変化の大きなところに行ったり、街に行ったり田舎に行ったり、転々とすると当然乱れるんです。

ーー緊張って、頭では実感してなくても、身体では敏感に受け取ってるんですね。そういえばこのインタビューの前に、沖縄から札幌に飛んだんですけど、気温が10℃変わりました。そしたら肩こりが始まって。寒いとどうしても肩がすぼまるから。こればっかりは防ぎようがないですね。

 温度もそうですし空気もそうですし、空気中に含まれるものも全部違います。だから、まず旅行すると自立神経はどうしても乱れちゃうんです。これが「旅の体調不良の原因その1」です。

ーー旅行者って楽しいが勝つから頭では実感してなくても、神経レベルではストレスを感じてるんですね。

 2つ目は「水」です。硬水、軟水もそうですが、同じ日本でも地域によって水はまったく違います。雨や雪が、その地域の「土」に含まれるミネラルや成分を含んで流れてくるので、本当に様々です。場所によっては、体に悪いとされれるミネラルが飲料水に微量に含まれてることもありますので注意が必要です。

ーー海外ではミネラルウォーターを飲みます。

 ミネラルウォーターって実は一番流通してるのはその土地の水なんですよ。海外に行ったら水のミネラルの含有量が全然違います。そうすると身体が大きく変わります。それに、レストランで食事をすれば、調理に使ってるお水はほとんど水道水ですからね。

ーーなるほど。変化を嫌う自律神経と、水。

 3つ目、海外旅行ですと、やはり時差ですね。何時間のラグがあるかによりますが、時差に身体が慣れるのには1週間以上はかかります。日本人は、旅でも出張でも、1週間以内で行ったり来たりしてる人が多いですが、そうすると身体が現地に順応する前に帰ることになります。3週間くらいの長期滞在だとまだマシなんですけど、それ以下だと、メラトニンという睡眠に関連するホルモンの分泌が乱れて、睡眠の量や質がうまくコントロールできなくなり、体調が悪くなります。

ーー確かに。時差問題。

岩 4つ目は腸内環境(腸内細菌)です。旅に出ると、下痢をしたり便秘をしたりすることも多いですよね。それももちろん疲れや不調の大きな原因になるのですが、口にする水も食材も調味料も変わるので、私たちが口にしたものを糧に活動している腸内細菌にしてみたら、大きな変化でびっくりして不安になって落ち着かなくなってしまいます。最近は「腸内細菌が人間の嗜好や思考に影響している」というテーマで研究が進んでいて本当に興味深いのですが、おそらくその通りで、腸内細菌が不安だと宿主である私たちも不安になってしまうのです。 少しマニアックな話ですね(笑)。

ーーなるほど。腸は思った以上に繊細なんですね。

岩 はい。大きく分けて、この4つが特に旅行中に体調を崩す要因です。

【まとめ】旅先で体調を崩しやすくなる4つの要素

  • 自律神経の乱れ

  • 時差

  • 腸内細菌

では、それぞれの問題について、どのように向き合えばいいのか、岩田さんに引き続き聞いてみます。

旅先での自律神経の乱れとの向き合い方

ーー今伺った、旅先での体調不良の4つの要因との向き合い方を教えていただきたいんですけど。まず一つ目、自律神経ですね。

 普段、私たちのクリニックにいらっしゃるクライアントさんに話す話じゃなくて、旅に特化した回答の方がいいですよね?

ーーせっかくなので旅に特化した解決策をお願いします。

 自律神経の乱れは、「なんか疲れやすい」という症状が最初に出てくることが多いんですけど、それが続く場合は鍼灸やマッサージを受けるなどのボディケアが一番です。

ーー私は旅に出るとそこが世界のどこでも、まずタイマッサージか中国マッサージの店を探すんですけど(笑)。今はアメリカやヨーロッパにもタイマッサージがあるんで。私の行動は理に適ってるんですね。

 そうそう。人に触ってもらうのが一番です。例えば、ペアで旅行してるんだったらお互いにマッサージをするとかね。あとは2人でストレッチをするっていうのが一番いいですね。

ーー夫婦とかカップルはすごくいいと思うんですけど、おじさん2人とかでも?

 もちろん(笑)。いいと思います。

ーーそうなんですね。じゃあ今後は旅中は男同士でもボディをベタベタ触ることにします(笑)

 「ベタベタ触る」というと変なイメージがわきますが、直接ではなく、服の上からでいいんです。人の自律神経のスポットは背中にもたくさんありますので、背中を軽くさすり合うとかはとても効果的です。ザワザワしてる時って背中をポンポンされると落ち着いたりするじゃないですか。あれは、自律神経を刺激して鎮める作用があるからなんですよ。

ーーそういえば悪酔いした友人が気持ち悪そうにしてる時、背中をぽんぽんしますね。

 そうですね。でも下から上に向けてさすると余計に気持ち悪くなって吐いちゃいますので要注意です。上から下にぽんぽんしてあげてください。

ーーそうなんですか! 酔ってる時に仲のいい人に背中をポンポン触られるとちょっと落ちつきますが。ポンポンの方向には気をつけます。

 そうですね(笑)

ーーそう言えば私も一度入院した時、その病院が合わなくて、退院後に慌ててごきげんクリニックさんに行ったんですよ。

 そうでしたね。耳鼻科でしたっけ?

ーーそう、鼻中隔湾曲症の手術です。その時に岩田さんに背中をさすられた記憶があって。

 ああ、しましたね。なんかしんどそうだったから。

ーーあれはすごく助かりました。

 良かった(笑)。たぶん、触っても大丈夫な関係性がある程度あれば、その人が不安な時って、背中を少し、背中に少し手を置いてあげるだけでもいいんですよ。全然違うんです。

ーー関係性によりますけど、大事だなと思いました。

 旅行の時は気が付かないうちに自律神経が乱れているので、旅先でマッサージに行きたくなる方も多いと思います。マッサージはいいのですが、相性が合う施術者に会えるかは運ですね。

ーー女性で触れられたくないっていう人も多いけど、足ツボくらいならね。

 良いと思います。リフレクソロジーとか足裏とか。女性の施術者のところに行けばいいですよね。そういえば私も、沖縄でマッサージに行きました。移動して2~3日したら行くというのはいいかもしれません。

ーー長期で行くなら最初のほうってことですね。

 そうそう。最初のほう。

ーーマッサージを受ける時間帯はあるんですか? 夜がいいとか。

 いつでもいいですよ。「行きたい」と思った時が行き時です。でも、「しんどいな」と思う前に行くのがいいかもしれません。何回か旅を重ねていて、このくらいで大体しんどくなるんだよねって皆さん分かるかもしれないので。その前を狙っていきましょう。

ーー慣れてるアジアなら行かないことも多いですけど、アメリカとかヨーロッパだとフライトも長いし時差も多いので、最初の都市のホテルにチェックインして荷物を下ろして、その足で行ったりします。夕食前とかに。種類はなんでもいいんですか?

 何でもいいですよ。楽園さんのように食事前に行くのがいいですね。カップルとかパートナーで旅に行く場合はお店に行かなくても、お互いにハンドマッサージをしてもいいし、さすってあげるだけでもかまわないですよ。

ーースキンシップですね。

 そうですね。スキンシップという面もあるし、皮膚をさするという行為は、自律神経を刺激するんですよ。自律神経って全身のいろんなところに張り巡らされているので。特にリラックスを感じやすいのは、背中の脊柱のあたり。ここから自律神経が出てるので、ここをザーッとさすってもらうとけっこう落ちつくんですよ。騙しませんが騙されたと思ってやってみるといいです。簡単ですよ。お金もかからないし。

ーー健康を維持すると言うとまず食事とかに目がいきがちなんですけど、意外とそういうところが大事なんですね。

 まず自律神経です。見えないストレスを除去しないと、栄養を入れても消耗しちゃうんですよ。

旅先でコロナに感染!そこからXXで復活した!

ーー自律神経って交感神経と副交感神経ってやつですよね。旅してる時はおそらく交感神経が強めですよね。

岩 そうですね。普段より緊張状態だと思うので。

ーーよくあるのは、帰ってきてから体調崩す人いるじゃないですか。その間は緊張しているから大丈夫で、戻ってきたら急に悪くなる人。それはそれで問題だけど、旅先で調子悪くなるよりはいいじゃないですか。多少の緊張感があったほうがいいんじゃないかなっていう気もするんですが。

岩 そうですね。ただし人の身体はすべて「バランス」です。神経の興奮の針は上に振れたら、その分あとで下に振れます。振り子のようなものですね。人ってそういうバイオリズムを持っているんです。上がったら上がった分だけその後下がる。だから、旅の間、感動したり刺激を受けたり興奮したりするのは当然で悪いことではありません。でも、興奮し続ける必要はなく、意図的にリラックスさせて興奮を下げる工夫も必要です。

ーーふむふむ。

岩 私はこの前沖縄に行ったときに、海外系のホテルに泊まったんですよ。そこには朝ヨガとか、夜のリラックスヨガっていうのがあったんです。海外のリゾートホテルってそういうプログラムがあったりしますよね。

ーーイメージはバリ島やハワイのリゾートホテルみたいなとこですね。

岩 そうそう。旅行に来て交感神経がたかぶっているのを鎮める作用があって、理にかなったサービスですよね。充実したサービスだなと感動しました。海外はマインドフルネスや瞑想が浸透していることが多いですよね。夜に5分間だけマインドフルネスや瞑想の時間をとったり、湯船に浸かるのも効果的です。海外のホテルだと浴槽がないことが多いと思いますが、首筋から背骨や、肩甲骨に向けて少し強い湯圧で背中にシャワーを当てるのも効果的です。

ーーそういや私もヨーロッパでコロナになっちゃって。で、岩田さんに緊急電話しました。

岩 そうでした(笑)。

ーー欧州のホテルってバスタブがない宿も多いんですけど、体調悪いから絶対バスタブがあるところにしようと思って。で、スーパーでお塩が売ってるじゃないですか。エプサムじゃないけどソルトを買ってきてお風呂に入れて少し長い時間浸かったら、ちょっとづつ体調が良くなっていって。

岩 うんうん。日本っていい文化ですよね。毎日お風呂に入って「あったかい」っていう温度感覚でリセットできるんですよ。

ーーお風呂に入ってるときって、ちょっとマインドフルネスっぽいというか。1人の空間でボーっと今日あったことを反芻したりとか。シャワーでもそうか。自分の内面にちょっとふれたりするじゃないですか。特に旅では、あの時間がすごく大切なんですね。

岩 大切。入浴大事です。

ーー今後も高めでもバスタブのあるホテルを選びます。

岩 いいと思います。話を戻すと、ずっと興奮している旅時間を過ごすと、帰ってきてからドーンと落ちるんですよ。若いうちは落ちてもさっさと戻ってこれるんですけど、私たちぐらいの歳になると「その日の疲れはその日のうちに」が大切です。呼吸法、マインドフルネス、スローストレッチ、入浴などで、たかぶった交感神経を鎮めてから1日を終えることがポイントです。大きな波になる前に鎮めるイメージで、毎日自律神経のアゲサゲのバランスを精算するといいですね。

(参考)マインドフルネス、瞑想の本

ーーあとは期間もあるかなと思ってて。2泊3日だと自律神経アゲアゲの状態でも、帰ってきてちょっと調整すればいいのかなとか。でも1ヵ月興奮状態だと、もうおかしくなっちゃいますよね。

岩 年齢によると思うんですけど、私は1日のバランスは1日でつけたほうがいいと思います。2日かけて作った体調不良って治すのに4日かかるって言われてるんですよ。倍かかるんです。

ーーそうなんですね! じゃあ単純計算で、3日間だとしたら。

岩 戻すのに6日かかります。

ーー大変だ。

岩 若いうちは感じないと思いますけどね。身体の中で起きてることを感じにくいし、体調を崩してもすぐに戻るんですよ。個人差ありますけど・・・35歳くらいからじゃないかな、人が「おっと」って感じだすのは。

ーーすごくわかります(笑)。

岩 ね(笑)。30前半まではね、まだいけるよって思うけど。

ごきげんクリニックでビタミンC点滴を受ける著者

ごきげんクリニックでビタミンC点滴を受ける著者

「GABA」は自律神経の味方

ーー自律神経の調整に効果のあるサプリメントはありますか?

岩 サプリメントとなると、脳の興奮を抑えたいので、GABAですね。老若男女、万人におすすめ。

ーー寝る前に飲む?

岩 そうですね、それもいいと思います。あとは、落ちつきたい時に飲んでください。それで急激に眠くなることはないので。

ーー寝る前に飲むと、睡眠が深くなる感じはします。

岩 たぶん副交感神経がちょっと優位になるからですね。

ーー私は意外と寝つきがいい方なんですけど、旅先とかちょっと緊張してる状態の時は、普段7時間くらいのところを5時間で目覚めることがあって。で、昼間にまた眠くなったりとか(笑)。そういう時にGABAを飲むと深く眠れる感じがします。旅のお守りですね。

岩 旅で刺激された交感神経を、少しだけ緩やかにしてくれるのでしょうね。

ーーさっきの「1日のバランスは1日で」って話なんですけど、私の場合2日単位で取ってる気がして。

岩 それでいいと思いますよ。

ーーちょっと睡眠が短い日があるじゃないですか。5時間くらいしか寝れない日とか。次の日は9時間寝たいなっていう時にGABAを飲むと、本当にそのくらい寝れるというか。

岩 いいですね。理想は1日のバランスは1日でとることですが、私も1日で無理なら2日で整えます。2日単位で考えるのもいいと思います。

ーー旅だと飛行機が変な時間に出たりしますからね。朝4時に起きなきゃいけないとか。

岩 安い便とか、変な時間に飛びますよね。

ーーちなみに、沖縄に行かれたときはご家族さんと一緒の部屋?

 そう、両親が一緒に取ってくれたんです。一緒が良かったみたいで。

ーー友達同士で行くときに、部屋を相部屋にするのか別々にするのか。それも関係性だと思うんですけど。

 それも言おうと思ってました。私は絶対に別々がいいと思います。カップルでも、ちょっと違う部屋にしてみたりとか、ベッドをダブルじゃなくてシングル2つにしてみたり。カップルの関係性にもよりますけど、くっついていた方が落ちつくカップルと、ちょっとだけパーソナルスペースが必要なカップルがいるんですよ。

ーーふむふむ。わかります。薄々思ってることが言語化された気分です。

 パーソナルスペースは個々で全く違います。手を伸ばしてください。このリーチの倍ぐらいが、楽園さんのオーラの範囲なんですよ。そこに入ってくるのが許せる人と許せない人。オーラが重なると気持ちがいい人と、離れてたほうが気持ちいい人といるんですよ。

ーーじゃあやっぱり関係性ですね。バックパッカーって長期で行くと宿代がかなりかかるので、相部屋が多いんですよ。だから、旅の相棒というか誰を誘うかっていうのを、そういうとこで選んでもいいかもしれないですね。相部屋になっても苦じゃない人。

 ああ、そうですね。面白い。

【自律神経に関するまとめ】旅先で自律神経を整える方法

  • マッサージ

  • スキンシップ(背中をさする等)

  • マインドフルネス

  • お風呂(バスタブに湯を張る)

  • GABAを飲む

硬水、軟水だけじゃない、旅先での水の話

ーー自律神経の次が水でしたっけ?

 そうですね。私たちの身体の60%は水で構成されていますので影響は大きいですね。摂取する水によって、そこに含まれるミネラル量が大きく違いますので。人の身体は、細胞の外と中でミネラルを交換して神経伝達や情報交換をしたりするので、摂取する水(ミネラル)によって強い影響を受けます。

ーーなるほど。どうするのがいいんですか?

岩 いつも変わらない慣れたお水を飲むのが一番いいんですけど、旅先では難しいですよね。日本の水を持って行くわけにもいかないし。

ーー日本の水は、ほぼ軟水ですよね。

岩 そうですね。

ーー実は沖縄は硬水なんですよ。沖縄の場所によるんですけど、みんなが行くような場所は大体硬水です(※1)。

(※1)クリタという会社の調査によると、日本国内では沖縄県と、埼玉県熊谷市、千葉県木更津市だけが硬度100mg/Lを超えてます(参考リンク)。

岩 そうすると、普段沖縄で暮らしてる楽園さんが東京に来ると、体調は変化します。

ーーただ私はちょっと変わってるかもしれないんですけど、意外と硬水のほうが調子いいんですよ。

岩 お腹の調子ですか? それとも体調?

ーーどっちかというと便秘になりやすいですけど、硬水をたくさん飲むと出る感じがします。

岩 硬水のほうがお通じはいいのかもしれない。

ーーで、旅先みたいな、ちょっと緊張感あるときって、やっぱり出なくなっちゃう。そういう時に硬水飲むとちょうどバランス取れる気が個人的にはします。

岩 ミネラルが多い水を飲むと、ちょっと便が緩めになるんですよね。ベーシックな便秘の薬は「マグネシウム」なんですよ。

ーー私なんかそうですけど、逆に清流って呼ばれてる地域に行くと出ないんですよ。濁った水の方が魚が好むとか言うじゃないですか。私は魚です(笑)。

岩 それ面白いですね。ちょっと他の人にも聞いてみたいです。濁った水を飲んで、実は下痢として便通がちょうどよくなっているともとれるかもしれませんが、何とも言えませんね。

ーーどんな水が合うかも個人差あるんですか?

岩 あると思います。

ーーやっぱり生まれた環境が大きいんですか?

岩 そうですね。たぶん生まれた環境と、長くいる環境、両方が影響するんじゃないですか。

ーー地方出身者でも、東京でずっと暮らしてたら東京の水に馴れるわけですね。

岩 そうですね。腸内細菌もそうでしょうしね。これもさっきの自律神経と一緒ですね。自律神経みたいにある程度長い期間、旅先にいるとその環境に慣れてくるんだと思います。

ーーそれって、バスソルトみたいに皮膚からも吸収するってことは、シャワーとかからも影響するんですか?

岩 多少はするんじゃないですか。

ーー水が悪いところではシャワーを浴びただけで下痢になっちゃった人とかいるみたいですね。

岩 いますよね。この前、宮古島に行ったとき、お料理屋さんで「うちは調理に水道水を使ってません。宮古の水道水から農薬が検出されたので」って書いてあったんですよ。それって日本だから新聞とかで発表されるんですけど、例えば途上国だと発表されないですよね。口にする水だけじゃなくて、人って肌から経皮吸収するので。

ーーでも防ぎようがないですよね。

 そうなんですよ。

ーーミネラルウォーターでお風呂の湯を沸かすわけにもいかないし。そういう場合ってどうすればいいんですか?

 諦めるしかないですね。あ、でも、私の友人は蛇口に取り付けるタイプの浄水器を持って旅に出るそうです。ただ、塩素は取れるけど、農薬とか、リン酸系のものや有害重金属を取り除くほどの力はないと思います。

ーーPFOSみたいなものとか。

 そういうものは簡易の浄水器では完全には取れないと思います。水に関しては旅先では仕方がないかなって思ってます。体調に影響する大きい要素ではあるんだけど、実は完全な対処法がありません。

ーーできることとしては、ミネラルウォーターを選ぶときに、少しお腹がゆるければ軟水、便秘気味だったら硬水を選ぶとかですか? 

 そうですね。それでいいと思います。体調が悪い時に、もしスーパーに日本の水が売ってたらそれを選ぶとかも対策としてはいいと思います。あと、日本で売れてるお水って日本人に合っていると思うので、知らないメーカーの水とエビアンがあったらエビアンを選ぶとか。

ーー買えるなら、自分がいつも飲み慣れてるメーカーを選ぶ。

 それがいいと思う。

ーーでも、旅では基本的にはなるようにしかならないと(笑)。長期で行ってたらいつかは慣れるので。

 慣れると思います。

ーーあんま気にすんなってことですね。気にするとまた自律神経に悪いから(笑)。

【水に関するまとめ】旅先で体調を整える方法

  • 水は口からだけでなく、皮膚からも吸収される。

  • 選べるなら、自分が飲み慣れている水を選ぶ。

  • 気にしない!

時差にはメラトニンで対処せよ

ーー次は時差ですかね。私は時差の調整が苦手で。アジアの2〜3時間は全然余裕なんですけど、7〜8時間いくとけっこう影響出るじゃないですか。でも、メラトニンと出会ってから、わりとうまくいってるんですよね。あれけっこう強力っていうか。錠数増やしてもいいんですか?

 大丈夫ですよ。

ーーあれってどのくらいまで飲めるんでしたっけ?

 時差を整えるために飲むのなら3mgで十分です。1錠3mgで売られてるのが多いのですけど、多くても6mgで十分だと思います。(※リンク先のナウフーズのものなら、1錠3mgなので、2錠まで

ーー飲む時間帯は関係します?

岩 ありますよ。いつ飲んでますか?

ーー早く寝なきゃいけない時は、寝る3~4時間前とか。寝たい時間のちょっと前って感じです。

岩 3、4時間前は早いかも。寝るときに効果が薄れちゃう。強い光を浴びるとメラトニンは壊れてしまいますので。

ーーそうなんですね! 私は夜型なんで、時間がうしろに伸びる分にはうまくいきます。ユーラシア方面ですね。時差をそろえる時って、日本より遅いか早いかで変わってくるじゃないですか。だけど早い時って分かんなくなっちゃうんですよ。早い時はメラトニンを早めに多めに飲んで、早く眠るように仕向けていく感じです。

岩 たしかに後ろに遅らせるイメージのほうが、時差を整えるのは簡単かもしれないですね。眠くないけど寝たり、前倒しは難しいので、たぶん時差も後ろにそろえていくほうがやりやすいんだと思います

ーー人間の体内時間って25時間でできてるとか言いますよね。私はひょっとしたら26時間くらいで生きてるのかもしれません(笑)。

岩 人って一様じゃないから、そういうのありますよ。23時間で生きてる人もいたりとか。

ーー全然関係ないけど少し閃いたんですが、人間の太古のリズム感って、ちょっと遅れるようにできていると思うんですよ。音楽が好きなんですけど、リズムってあるじゃないですか。リズムってまさに、1日のリズムみたいなのと一緒で、拍があって打っていくじゃないですか。でもある時に、ミュージシャンの友達に聞いたんですけど、ジャストでパンパンパンってやるより、拍子のちょっと後ろで打つとかっこよくなるらしいんです。

岩 その感覚わかります。昭和のリズムはジャンジャンジャンですよね。今は(ン)ジャンッ、(ン)ジャンッみたいな。

ーー音楽のジャンルによっても、例えばレゲエとかは、かなりリズムがうしろなんですよ。もはや裏打ち(1拍の反対側でリズムを刻こと)なのかなって思うぐらい。逆に前にいくとすごくカッコ悪くなるんです(笑)。

岩 確かに(笑)。

ーー感覚的には分かるじゃないですか。ダンスでも、拍子のジャストのところで決めるより、少し遅れるほうがカッコいいって。そういう感覚って人間の本能みたいなところに近いのかなって思うんです。

岩 心地よさがあるんですね。

ーー脱線しちゃいました。1日のリズムも後ろの方が本能に合ってる気がして。いつもより早く寝なきゃいけない時にやることとか、時間を整える方法はありますか?

岩 まずは最初に話した自律神経ですね。興奮すると寝れないので、神経を鎮めるために背中をさすり合うとかストレッチとか。次にメラトニンを使った調整ですね。1時間の時差を整えるのに少なくとも1日かかると考えると、7時間の時差のところに行くと7日間かかります。最初の3日間は3〜6mgでメラトニンを飲んで、徐々に減らしていく。これが私の時差対策です。ビタミンB12も体内時計の調整に大切ですので、メラトニン一緒に飲みます(注:ただし、メラトニンも個々の遺伝子の特徴で、体質的に合う人と合わない人がいるので、旅の前に日常で試してから使うのがいいでしょう)。

ーー時差がある場所に行く時は、B12とメラトニンを持って行って、7時間時差があるとこだったら7日間。1時間ずつずらしていくと。

岩 そうですね。そんなイメージで時差と付き合います。ただ、やはり自律神経が興奮してると、メラトニンを飲んでもホルモン以外の要素で寝れないですよね。

ーー遠足の前の日に寝れないってやつですね。寝れない時は、諦めて寝ないほうがいいっていう人と、無理にでも目を閉じておけばいいっていう人がいますよね。どっちが正しいと思われますか?

岩 そうですね。目をつぶって布団に入ってると身体は休まるのでいいことです。眠れなくても悶々としない方がいいですね。あと、考え事はしないほうがいいです。

ーー寝れない時は、何も考えずに目を閉じる。

岩 そういう時に簡単なマインドフルネスとかをするといいかも。たとえば呼吸法で「スクエア呼吸法」というのがあるんですけど、4秒吸って4秒止めて4秒吐いてまた4秒止めて、そのイメージです。考え事がある時は、パソコンで言えばブラウザのタブが開きすぎている状態で。それを1個ずつ消していく。で、空にしてからスクエア呼吸法をするといいですよ。

ーー起きてる時も、頭がこんがらがってる時に、メモ帳にやること箇条書きにしたりとか、今の心配を箇条書きにして、これは今考えなくていいって消したりするけどあの感じですか?

岩 その通りです。やはり人は未完了なことがらがあると、それが頭にも心にも残って眠れないんです。私も心配事があったり悩んでる時、悩みや考えを全部紙に書くんです。で、「これはさっさとやる」「これはもうしょうがない」「温暖化が心配、、、仕方ない!」とかね(笑)。悩みを見える化してから完了させるわけです。

ーーなるほど。

岩 話を睡眠に戻すと、寝れない時は、「ああ、今は寝たくないんだな」って考えるといいです。今は寝れないんだ、でいいと思います。気にしない。3日4日続くとね、ちょっとしんどいですが。

ーーあんまり気にしない。

岩 あと、睡眠にはマグネシウムがおすすめですね。

ーーマグネシウムですね。ということは、バスタブに湯を張って、エプソムソルト(入浴剤)ですね。塩はけっこう重いんで、現地調達ですね。

岩 もしくはマグネシウムのサプリメントがあるのでそれを持って行きましょう。これは海外製をおすすめします。日本製のものは吸収が悪いので。私も2週間全く寝れなかったことがあったんですが、マグネシウムサプリやエプソムソルト(マグネシウムの入浴剤)を入れたお風呂に入ったところ、一気に寝れるようになりました。興奮した神経を鎮めるのがマグネシウムの得意とすることです。

【時差に関するまとめ】旅先で体調を整える方法

  • メラトニンを、最大6mgまで飲む。

  • ビタミンB12を飲む

  • マグネシウム(orバスソルト)

  • 呼吸法やマインドフルネスなど、前述の自律神経を意識すること

  • 人間の身体は、1日で1時間の時差に慣れる。慌てないこと

腸内フローラと体調不良の関係性

ーー最後は腸内環境でしたっけ?

岩 そうですね。旅先で急に体調悪くなるってことで言えば、腸内細菌が悪さをしてることがあります。最近、腸内フローラって言葉が流行ってますよね。フローラって花畑とか叢(くさむら)って意味なんですけど、私たちの身体のエネルギーを作るのも免疫を整えるのも、お腹の中にある腸内細菌が関わってます。実は私たちは私たちの細胞の数よりも多い腸内細菌と同居していてる状態なんです。実は私たちは太古の昔に、腸内細菌とお互いのメリットを交換する契約をしたんです。

ーーどんな契約ですか?

岩 人間は、「美味しい糧を食べてあげるから身体にいいもの作ってね」って言って、腸内細菌は、「いい糧を入れてくれたら、あなたたちがすごく健康でいれるようなスペシャルな免疫成分やビタミンを作るね!」ていう契約をしたんです。

ーーなんか、賃貸みたいですね(笑)。家賃を払うから部屋に住ませてくれみたいな。

 そう、面白い表現! 賃貸契約ですね。実はお腹だけじゃなくて皮膚にも常在菌がたくさんいて、皮膚を外敵から守ってくれています。だからシャワーとかお水も健康に関係してるんでしょうね。細菌に間借りをさせてあげているというより、共生して助け合っているっていうイメージを持つと、「じゃあ、彼らのために何食べようかな」と少し視点が変わるわけです。日本で暮らしていると、一食の品数も多いし、食物繊維も多いので比較的良い糧を提供できるわけです。時と場合によりますけど。

ーーじゃあ極端な例だと、インドはどうですか?インドだと大体全部カレーみたいな。カレーから逃れられないみたいな感じですよね(笑)。

 確かに。インドの人は、そのスパイスでOKっていう腸内細菌のフローラがあるのかもしれません。ただインドの平均寿命がどのくらいかとか、病気にかかりやすいとか疲れている人が多いとかが分からないのでなんとも言えませんが(※2)

(※2)インドの平均寿命は67歳前後(2021年)。ちなみに日本は84歳でインドより17年長生きです。なお、世界で一番長寿なのは香港で85歳。東アジアは比較的世界的に見て長寿です(韓国83歳、中国78歳。)東南アジアは国によって大きく異なります(シンガポール83歳、タイ78歳、ベトナム73歳、フィリピン69歳、インドネシア67歳)

ーーインドの場合は暑くて食品が腐るから、それを防ぐためにカレーを食べるようになったみたいですね。人間の体調というよりかは、環境に合わせた感じですかね。冷蔵庫なんて昔はないから、暑い中で、あの人口が生きていくために、そういう食事方が生まれたって感じだと思います。

 日本の食生活は恵まれてますよね。魚も卵も生で食べられるし、野菜も過熱しなくても食べられる。いろんな種類の食材をいろんな形で食べれる国で育ってきた私たちが海外に行ったりすると、お腹の中の細菌たちが、「え、なんか、いいもの入ってこなくない?」ってなるんですよきっと。すると免疫力も落ちるし、身体にいい短鎖脂肪酸(酪酸や酢酸など)が作れなくなって体調が乱れてしまうんだと思います。長期の旅行になると、余計にそれがひどくなるんだと思います。

ーーさっきの時差とかは、さすがにずっといると慣れるけども、食べ物は蓄積していくんですね。じゃあ長期の人はむしろ気をつけないといけないですね。

 腸内細菌って、オギャーって生まれた時にお母さんからもらった細菌がよい組成でうまく育つか、育たないかかだけの話で、基本的にはそこに「新しい良い菌」が加わることは基本的にありません。例えば、20歳の日本人がインドに移住して、定住したとしてもおそらくそんなに腸内細菌の種類は変わらないと言われます。腸内細菌がいい関係で生きていくことを考えて食事をするっていうのが旅行中の健康管理のテーマじゃないかなと思います。

ーー腸内細菌に優しいメニューはあるんですか?

 腸内細菌も大きな変化が苦手なので、慣れ親しんだ食べ物をたまに入れてあげるというのはとても大切だと思います。

ーー和食ですか?

 日本人ならそうですね。日本由来の発酵食品。たとえばお味噌を持っていくとか。

ーー納豆とか。

 納豆を買える地域ならいいですね! 現地で売られている納豆は、納豆菌の種類がちょっと違うかもしれませんが。日本の食材が買えるのであれば、長期滞在の場合は定期的に日本の食品を買って食べると心もお腹も落ち着くと思います。

ーー味噌や納豆はわかりますけど、よくお茶漬けを持っていく人いますけど、あれはどうですか?

岩 気持ちはわかります。日本人のソウルフードですものね。私も持っていきましたが、お米が手に入らずそのまま持って帰った記憶があります。私は海外に行くときは、フリーズドライのお味噌汁やドライ納豆を持っていきます。日本由来の発酵食品を持って行って、たまにお腹の菌を安心させてあげるのが大切です。あとはやっぱりお野菜。特に食物繊維が豊富な野菜。食物繊維はお腹の細菌の餌なので、食物繊維を食べるっていうのはすごく大事です。

ーー外食中心だと野菜が貧相になりますよね。しかも和食って食べられる場所とそうじゃない場所があるし。旅仲間の嵐よういちさんが言ってたのは、中華料理屋さんってどんな僻地にでもあるんですよ。中国人って人口が多いから。で、中華料理って普段日本でも食べるじゃないですか。野菜も肉もあるしバランス取れてる。野菜炒めと米のもの頼んだり。

岩 いいと思います。

ーーちょっとスタミナが足りない時は肉っぽいものとか。

岩 いいじゃないですか。添加物の多さはさておき、やはり普段口にしているものを食べるっていうのは大事ですよ。

ーーずっと洋食だとしんどいですもんね。だから食事、やっぱ大事ですよね。

岩 食事はとても大切ですね。先に話した4つは大切なんですけど、やはりベースに食事がありますからね。身体にいいものを食べると、私たちの心もお腹(腸内細菌)もほっとして、緩んでリラックスできます。

ーーお腹の細菌が調子を崩すとメンタルに影響が出るんですね。そういや、3ヶ月ぐらいヨーロッパにいた時、コロナにもなって、メンタルもかなり落ちたな。そう言う場合はサプリでも補えますか?

岩 サプリメントである程度調子をサポートできるかもしれません。乳酸菌のサプリメントを補充するのもいいですが、私が長期で海外に行くなら、菊芋パウダーを持って行きます。

ーーなんでですか?

岩 菊芋パウダーは発酵性食物繊維と言われていて、大腸の細菌が大好物な食物繊維なんですよ。お湯に溶かせば菊芋茶みたいに飲めます。その他に、グアーガムとかイヌリンとかあるんですけど、溶かしても美味しく飲めないので。菊芋をおすすめします。

ーーへー!

岩 安いものなら1000円くらいで買えるので。菊芋茶じゃ駄目なんですよ。菊芋パウダー。菊芋茶はあんまり食物繊維がないので。

【腸内フローラに関するまとめ】旅先で体調を整える方法

  • 味噌やドライ納豆を、日本から持っていく。

  • 乳酸菌のスティックを飲む

  • 菊芋パウダーをお湯に溶かして飲む

  • 野菜をたくさん食べる

まだまだ話し足りないので、来週も岩田さんに来ていただきます。来週は今週の話をさらに発展させて、旅行者がバックパックに詰めるべきサプリメントを厳選して紹介します! 乞うご期待!

今週のオアシス ごきげんクリニック(半蔵門/東京/日本)

日当たりが良くて眺望も最高

日当たりが良くて眺望も最高

日本の病院というのはほとんどが、病気を治すために存在します。当たり前と言われそうですが、病気の人を病気じゃない状態に持っていくのが病院なのです。ところが「病気じゃない=健康」ではありませんよね。はっきりと病気じゃなくても、なんか体調や気分が優れなかったり、不調を感じたりすることはありませんか? 東洋医学では「未病」と呼ばれる状態です。この「未病」の状態と向き合ってくれるのがごきげんクリニックです。最新の検査を元に、早期のがんを発見したり、感知しずらいアレルギー(遅発型フードアレルギー)を見つけたり。そこからサプリメント療法や食事療法など日々の生活改善を一緒に考えてくれたりするクリニックです(料金表に受けられる検査のメニューが載ってます)。自由診療(健康保険適応外)ですが、その分、あなたの希望に合わせて自由な医療が受けられるのが特徴です。

首都圏だけでも、アンチエイジングを専門とするクリニックは他にもあります。そのうちのいくつかは8年の間に興味本位で行ってきました。それぞれの医師の考え方はとてもユニークで面白いのですが(どれも保険外ですので高額ではあります)、結局最後は澤登先生、そして岩田さんをオピニオンに選んでいます。

理由としては、澤登先生も岩田さんも、患者さんとの意思の疎通を大事にされているからです。医師の診察を受けた時、ぶっきらぼうに返されたことはありませんか? 身体の不調を訴えても、「それはストレスですね」「年齢ですね」と返されてしまうことはありませんか? どうやってその不調と付き合うべきなのか、意外と医者は答えてくれません。でも、ごきげんクリニックさんは、どんな些細な身体の不調でも、十分なカウンセリングの時間を設けてくれて、向き合ってくれます。今は体調に不安がないかたも、頭の片隅にこういう医療もあるんだって覚えておいてみても損はないのではないでしょうか。

三番町ごきげんクリニック(Google Map

おわりに

助手「船長! 船長! いつまでトイレにこもってるんですか?」
船長「うーん、出ないな」
助手「ちょっと早く変わってくださいよ、僕もしたいんですから」
船長「昨日硬水いっぱい飲んだんだけど、だめだね」
助手「あんまり気にしすぎると余計に出ないですよ」
船長「気にするなと言われちゃうと余計に気になっちゃう」
助手「そういう時はマインドフルネスがおすすめですよー」
船長「マインドフルネスって流行ってるけど、よくわからないんだよね、どうやるの?」
助手「えーっと、自分で自分に暗示をかけるんですよ」
船長「わからないよ」
助手「他のことを想像して意識をずらすはどうですか? 川下りをしましょう。今僕たちは流れの遅い優雅な川にいて、そこからのんびりと川を下って、周辺の景色を見ながら河口を目指すんです」
船長「ガンジス川にしようかな、それともドナウ川もいいな」
助手「好きな川にしてください。のんびりを川を下るイメージです。そしたら、今の不安なんかも消えるかもですよ」
船長「川を想像したら不安が消えたよ」
助手「そんな早く不安って消えます? まあいいか。んで、船長の小さな悩みを瓶に詰めて川に流しましょう。例えば悩みってなんですか?」
船長「えーっと、悩みに悩みすぎることが今の悩みかな」
助手「なんじゃそりゃ。随分とメタな悩みですけど、それを小瓶に詰めましょう。で、ドナウ川に流すわけですよ」
船長「海洋投棄はダメだよ」
助手「川は海洋じゃないですよ。それにこれは想像の中の話なんでなんでもいいんですよ」
船長「じゃあ今の悩みを詰めて流すよ、多摩川に」
助手「結局多摩川になったんですね。まあいいか。あとは悩みはなんですか?」
船長「1時間もトイレにこもってるけど出ないことかな」
助手「はあ。じゃあ思い切って想像の中でアレを出しちゃってください」
船長「想像の中でも出ないよ。現実で出ないんだから」
助手「想像は船長の自由ですよ。ジョン・レノンもイマジンだって言ってたでしょ? でるイメージですよ」
船長「うーん、出そうな気がする。。。あ、出る出る」
助手「よかったじゃないですか。で、これぞ環境汚染ですけど、イメージなので問題ないです。川に流しましょう」
(じゃーー!)
助手「現実にトイレの水流さなくてもいいですよ」
船長「いや違うんだよ。出てきたんだ、リアルで」
助手「よかったじゃないですか。じゃあトイレ変わってください」
船長「いや、現実には出たけど想像の中ではまだ出し終わってないから」
助手「なんじゃそりゃ」

(つづく)

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