楽園の地図64号 韓国の地方都市、大邱(テグ)、慶州(キョンジュ)の魅力
Alley, Gyeongju, South Korea
はじめに(マインドフルネスにハマってます)
今週の楽園 慶州、大邱。韓国の古都と、第三の都市(慶州・大邱/韓国)
今週のオアシス cafe Luonto(長谷/鎌倉/日本)
今週楽園で聴きたい音楽 每时每刻/Dizkar(地磁卡)(昆明/中国)
今週楽園に行けない人のために ベイビーティース(シドニー/オーストラリア)
おわりに(BGM)
はじめに
マインドフルネスにハマってます
寒くなってきました、と言いたいのですが沖縄県は相変わらず25℃前後の気温が続いていて、暑すぎず寒すぎず、ちょうどいい気候が続いてます。冬は明らかに観光客が少ないのですが、沖縄でもっとも過ごしやすい季節は冬なんじゃないかなと思いながら心地よい気候のなかを過ごしています。
最近は、瞑想の本「サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法」を読んでいました。これが結構面白くて、瞑想やヨガや呼吸法というとちょっと胡散臭く感じられる人も、グーグルの社員が科学者とともに作った本だと言えば少し興味を持てるかもしれません。私のような疑り深い人にもおすすめの本です。ちなみに、GAFAMのようなアメリカ大手大企業で採用される人材は、「いい人」であることが重視される時代になっています。スティーブ・ジョブズみたいな性格は破綻してるけど仕事はめっぽうできる人が採用される時代は終わって、今は人間的に優れた人が評価される時代に入ったようです。日本を含む社会の色々な状況を見ても、精神的な成熟さが重要な時代に入ってきてると感じます。
例えばみなさんが怒りを感じた時に、自分の呼吸を意識して、吸って、吐いて、を繰り返してみると、先ほど感じた怒りは半減しているはずです。そうすると、あなたは自分の怒りを少し客観的な目で見られて、怒りに乗っ取られている状況から降りることができる、というものです。この練習は日常生活でも役立つのでやってみるといいかもしれません。たとえばツイッターなどでムカつく投稿があったら、その投稿を眺めてから呼吸を繰り返すといいかもしれません。そうすると、怒りのピークはすぎていることに気づくことでしょう。実は、一呼吸置いて自分を客観的にみるということは、とても大切なことです。わたしは実は生まれつき呼吸が浅いところがありまして、それが感情をコントロールする能力に悪影響を及ぼしてるんじゃないかと、この本を読んで気づきました。
この本は「優しい人」になるにはどうしたらいいのか、「共感力を上げるにはどうしたらいいか」など、実際の職場などのコミュニケーションでも必要な能力についても、マインドフルネスを活用できる(むしろそういったときに本領を発揮できる)と書かれていました。本で書かれた方法として、まず呼吸をおいて、自分を愛するところから始めるといいらしいです。自分をとても大きな存在として認識するといいらしいのですが、私の場合何度か瞑想をしても、「自分を大きな人間だ」とイメージすることができず、いつもとるにたらない小さな人間であるという自己イメージになってしまい、その先にすすみません。優しい人って自己評価が高い人なんだなという発見はあったのですが、それでは越えられない壁はたくさんあるなと思いました。いつか最高の自分をイメージできる日がきますように。
では本編です。今日は韓国の慶州(キョンジュ)と大邱(テグ)という二つの街からお届けします。
今週の楽園 慶州、大邱。韓国の古都と、第三の都市
誰もいかないけど、なぜかいい街
韓国に行ってきた!という人の、8割9割は、ソウルに行ったということを意味します。中国の場合は北京、上海、シルクロード、その他にも様々な目的地がありますし、例えばタイの場合もバンコク+αでチェンマイなど地方都市や、プーケットなど南の島を挟むことがあります。
でも、韓国の場合、ほとんどの人の目的地はソウルですよね。実は第二の都市プサンもかなりいいところなのですが、それはバックナンバー、9号で紹介しました。でも行ったことがない人も、プサン(釜山)という名前は聞いたことがある人が多いかと思います。ソウルが第一、プサンが第二とくれば、第三の都市はどこか知ってますか? それは大邱(テグ)という街です。人口236万人。プサンからKTXという新幹線で1時間弱という距離感や、なんか地味な印象も含めて、名古屋と酷似してます。繁華街のサイズとしては名古屋より少し小さく、福岡や札幌と同じぐらいという印象です。
KTXでは、テグの一駅手前に慶州というという駅があります。こちらは現在のソウルに首都が移る前、10世紀ごろまで新羅という国の首都があった場所で、まあ日本で言えば京都のような古都、と言いたいところですが京都ほど見所はなく、せいぜい奈良とかそういったところです。韓国って渡航先として好き嫌いが別れる場所ですが、楽しむコツははっきり言えば『期待しすぎないこと』です。日常に溶け込むと、韓国という国の面白さが見えてきます。では、慶州から紹介しましょう。
慶州(キョンジュ)
慶州最大の観光地、仏国寺。韓国語だと불국사。
慶州と言えば、なんと言っても、仏国寺です。中国のお寺の場合、もう少し色味が派手なことが多いのですが、韓国のお寺の色味は日本にとても似ています。そうは言っても、単に寺のサイズを考えると、奈良の東大寺あたりの方が立派です。しかし見た目がそっくりであるからこそ、ちょっとした違いにアンテナを張ることが可能です。
韓国では願い事を瓦に書く!
例えば韓国のお寺では、瓦に願いごとやメッセージを書く文化があるようです。調べるとちらほら情報が出てくるんですが、日本の絵馬と同様で願掛けの一種ですが、瓦に願い事を書いて置いておくと、それが家の瓦として使われるという言い伝えがあるそうです。絵馬よりもサイズが大きいのでたくさん願い事がしたい人はいいかもしれません。
さて、私が慶州に行ったのはコロナ前の2019年でしたが、それでもあまり人はおりませんでした。韓国ドラマの歴史物が好きな人はひょっとしたらこういう場所が好きなのかもしれませんが、日本の寺と変わらないのでそこまでテンションが上がるわけでもなく、ふむふむと言いながらあっという間に見学を終えてしまいました。そして、慶州の主だった観光地は仏国寺しかありません。時間を持て余した私は市街地に向かいました。
慶州には街の中心部に市場があります。市場のなか(場内)にもたくさん人がいますが、そこから飛び出た路上(場外)にも行商?がたくさんいて、野菜や果物や干物などを売っていました。
場外市場
アジアは必ず市場が街の主役で、人寂しくなると市場に行けば賑わいがあります。でも、タイや東南アジアの屋台や市場も活気があって楽しいのですが、韓国の市場はどことなく落ち着いた雰囲気があって、パーマのおばちゃんが店番をしてくれてて、どこか楽しいです。私は大阪で生まれたのですが、私の記憶の奥底にある昭和の日本に近いような空気感です。特に韓国の地方都市で感じるのは、自分が忘れてしまっていた昭和の日本に近い記憶です。人々は声をかけあい、世間話をしながら売り買いをする。いまやスーパーマーケットに負けてしまったこのような光景が、韓国の地方都市にはまだあります。
なんか、お寺と市場じゃあまりにも寂しい気もしますが、ちゃんと若者がたむろするようなカフェもあるしアパレルショップもあるし、こういうところで1週間ぐらいのんびり過ごすのも悪くないと思えるような地方都市ですよ。
さて、では大邱に向かいます。大邱までは慶州からはバスで1時間程度。
大邱(テグ)
大邱の中心部。大邱駅から続く歩行者天国(このあたり)。
やってきた大邱は、人口200万人の第三の都市と言えばそこそこ大きい場所を想像しますが、まあこんなもんです。何度も言いますが、韓国の地方都市は、期待しすぎてはいけません。でも期待を捨てた時に、開く扉があるんです。そんな街です。
大邱のいいところ。それはご飯が安くて美味しいところ。なかでも私がすきなメニューがこちら。
豆もやしのスープ
こちらは「コンナムルクッ」というメニューです(コンナムルクッパという表記も多いですが、最後のパを発音しない方が韓国語に近い)。コンナムルとは豆もやしを差していて、豆もやしのスープという意味なのですが、家庭料理らしく、味付けもお店によってバラバラです。もっと澄んだ色のスープは二日酔いに効くイメージですが、こちらは味噌味で、おふくろ(オンマ)の味って感じです。あと一つ、チムカルビというメニューがあるんです。これ、あんまり写真映えしないメニューなんで紹介したくなかったんですが、話の流れなので紹介します。
チムカルビ。煮込んだ牛肉に、にんにくや唐辛子や生姜を加えたもの。
このチムカルビ、見た目に反してとっても美味しいんですよ。でもおしゃれなソウルっ子やプサンっ子には愛されないのか、ソウルやプサンではあまり食べる機会がありません。名古屋のひつまぶしみたいなものでしょうか。
慶州・大邱という街は、どことなくこのチムカルビのようです。食べれば美味しいんですが、見た目にはそれほどよくは映らない。でも、そういう場所だからこそ、のんびりした時間が流れています。私が旅をしたのは2019年ですが、今でもその時仲良くなった英語が堪能なテグのカフェ店員とfacebookで繋がっていて、友好関係が続いています。韓国は国土が狭く、新幹線や高速道路など道路状況もよく、地方に行くのもそれほど大変ではありません。今度ソウルに出かけたら、KTXに乗って、知らない街で降りてみるのもいいのではないでしょうか。
今週のオアシス cafe Luonto(長谷/鎌倉/日本)
江ノ電を見ながらぼんやり読書
cafe Luonto。
いっとき、鎌倉に移住しようかと迷っていた時期がありました。すでに移住ブームだった鎌倉が思った以上に家賃が高かったこと、車のアクセスが大変そうなことを理由にやめたのですが、鎌倉は今でも大好きな街です。鎌倉と言えば大仏に海岸に江ノ電といったところですかね。鎌倉の大仏と言えば江ノ電の長谷駅という場所が最寄りなのですが、ぜひ大仏を見てとんぼ返りするのはやめて、長谷駅周辺を歩いてほしいです。
Cafe Luontoはそんな鎌倉・長谷散歩の休憩場所として最適な場所で、昭和のシティポップのジャケットみたいな洋風のこじんまりとした一軒家にある、隠れ家的なカフェです。
ここでコーヒーを頼むと、紅茶のようにサーバーで提供してくれるのですが、まず量が多い! カップにして2杯半ほど抽出してくれます。
量が多い!
たくさん飲めるので、長時間過ごすことができます。私のようなカフェで読書したい人にはぜひおすすめ。
もう一つここのいいところは、カフェの入口から線路が程近く、定期的に行き交う江ノ電を間近でみることができることです。本を読みながらコーヒーをちびちびやるもよし。ぼんやりしながらたまに通る江ノ電を眺めるもよし。
もちろん、友達や恋人と待ち合わせしたりおしゃべりするのにもこんないい場所はありません。気取りすぎてないのがいいんです。
江ノ電の線路がめちゃくちゃ近い
今週楽園で聴きたい音楽 每时每刻/Dizkar(地磁卡)(昆明/中国)
中国(本土)で最もおしゃれなミュージシャンを1人挙げろと言われたら、私はDizkarを推します。(香港ならKiri T、台湾なら9m88)。この曲なんかはMVの最初は少しふざけますが、曲の本編が始まってしまえば、適度にノリがよく、流行の日本のシティポップ風ですが、中国語ということもあって意味がよくわからず邪魔することもないので、運転中とか作業中の音楽として最適なんですよ。
よく「おしゃれな曲」と言いますけど、洋服とかはわかるとして、音楽におけるおしゃれってなんでしょうかね。私の中では、おしゃれな音楽というのはインテリアとして適した音楽という意味で使っていて、つまり、部屋に充満するBGM、つまり流していてもあまり気にならない音楽だと定義できます。たとえばカンナムスタイル(PSY/韓国)や、マツケンサンバ(松平健/日本)は曲として強いとは言えますが、こういう曲を流しながら作業に集中することはできません(笑)。
もしもあなたの周囲であの音楽はおしゃれ、おしゃれじゃないと言い出したら、BGMとして優れてるかどうか、を気にするとだいたい当てはまると思います。
話を戻しますが、DizkarはBGMにぴったりです。別の曲も聴いてもらいましょう。
紹介しているこの曲では、裏声でオクターブの高い男性ヴォーカルを担当しています。
上海の女性ミュージシャン、Mia Aim(李丁丁)とのコラボですが、これも作業にぴったり。中国でもそこまで売れてないのか歌詞を探しても見当たらず、何を歌ってるのかよくわからないのですが、だからこそ余計に、わりとループして流しても気になりません。
DizkarやMia AimはMINTONE RECORDS(明堂唱片)というレーベルにいるのですが、このレーベル、すごくセンスがいいアーティストがたくさんいるんですよ。私が好きなアーティストだと白天不亮(Gavintoo)や、Lu1、Ceeなんかもいます。
↓白天不亮(Gavintoo)
↓Lu1と、Ceeのコラボ。
こういう系、フューチャーベースとかフューチャービートとかいうんですかね。とにかくどれもBGMとして最高です。寝る前にだって聴けちゃいます。お試しあれ。
今週楽園に行けない人のために ベイビーティース(シドニー/オーストラリア)
2、3年ほど前に見て、その時はそこそこ感動しつつも、よくある映画の一本という感じだったのですが、日を追い、月を追うごとにすきになっていった作品というのがあります。私にとってはベイビーティースはその一本です。
ベイビーティース(Babyteeth)とは、英語で乳歯を意味します。乳歯は大人になる過程で必ず生え変わるものですが、歯を失う過程は痛みを伴います。このヒリヒリした作品に、成長痛というイメージを持たせた監督は優しい人だと思います。かなり痛いですから。
ストーリーはいたってシンプルです。主人公、難病を抱えている女子高生はある日電車のホームで、少し年上の不良の男子に出会います。まあ、よくある話ですが、彼女にない世界を持っていた彼に次第に惹かれています。しかしそれは、親としては開けてほしくない大人の階段でした。親は娘の恋を理解をしようと努めますが、なかなかうまくいきません。成長痛とは、この青春男女とともに、親のほうかもしれません。
私には息子や娘はいませんが、年齢的に、親の立場にも感情移入してしまいます。これが日本の映画であればもっと親は干渉すると思いますが、オーストラリアの親はめちゃくちゃ寛容です。病弱の娘を持つ親の気持ちになればこれはめちゃくちゃ痛い話なのですが、日本では親世代にこそ見てもらいたい映画かもしれません。病弱な娘、不良の男子、父親、母親。どの立場で見ても痛みが伴う映画です。そしてそれは見て2、3年経つと、歯のように結晶化している気がします。この感じ、多くの人に感じて欲しいです。
それにしても、この映画にはプールが登場します。すべてのプールが登場する映画は名作である、というのは、私と映画好きの友人との間の共通見解です。
おわりに
2人「いただきます!」
助手「なんか、食事中、暇ですね。音楽でも流しましょうか」
船長「いいね。何かないかなと思ってたんだよ。楽しいBGMを流そう」
(♩楽しげな音楽🎵)
船長「いいね。食事が楽しくなったよ!」
(♩Deep Purple/Smoke On the Water🎵)
船長「おい!ロックがうるさくて食事ができないだろ!」
助手「なんかラジオの周波数が合わなくて、あ、あれ??」
(♩エリーゼのために/ベートーベン🎵)
助手「今度は食事にあったいい感じの音楽ですよ」
船長「チキンラーメン食べてるのになんか高級料理でも食べてるみたいだよ。なんか日本の音楽流せないの??」
(♩ここでキスして/椎名林檎🎵)
船長「なんか、男2人でまじまじと食事中に聴く曲じゃないだろ!恥ずかしいよ!」
助手「恋人とキスする前だってこの曲聴かないですよね。よく考えるといつ聴けばいいのかわからない曲だな」
(♩カノン/パッヘルバル🎵)
船長「おお、今度は高級料理感もなく、いい感じかも」
助手「目の前の景色がスイスの湖畔のようですね!」
(♩Kaoma /Lambada 🎵)
船長「うーん、意外と悪くないかも。ラーメンだけど、スペイン料理でも食べてる気分だ」
助手「これも悪くないですね」
(♩Hot Stuff /Donna Summer🎵)
船長「同じダンスミュージックなのに、これは食事に合わないな。踊り出しちゃうよ」
助手「BGMって難しいですね」
船長「楽園の地図note更新中!」
助手「読んでね!」
(※食事中にどんなBGMを聴いていたのか、知らない曲は検索して聴いてみよう)
(つづく)
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