楽園の地図63号 ボードゲームから世界を考える(後編)
Statue of Liberty, NYC. USA
もくじ
はじめに
今週のスペシャルゲスト 丸田康司さん(ボードゲーム専門店「すごろくや」オーナー)
〜マニア向けのボードゲームの面白さを普通の人に伝えたかった
〜丸田さん的な、今もっとも面白いゲームって何?
〜職人的な天才に頼りがちな日本人
〜タイでボードゲームカフェに行った話
〜ボードゲームを通してみる日本社会と、韓国の話
〜すごろくやの今後の野望
今週のオアシス シーサイド(嘉手納町/沖縄/日本)
おわりに
はじめに
アメリカ大統領選が終わり、トランプの勝利に終わりました。私はハリスが候補になった際に、今回はハリスでいくんじゃないかな、と予想を立てましたが、選挙になるとめっぽう強いトランプは、選挙期間中に支持率をぐんぐん上げて、逆転しました。トランプ支持者の中には世論調査で本当のことを言わない人(いわゆる「隠れトランプ」)が含まれていると私は考えていたので、世論調査で支持率が並んだ時には、実際の支持数はもっと多く完全に逆転してると思っていましたが、実際にその通りになってしまいました。
先に立場をはっきりさせておきますと、私は比較的リベラルな方です。もしも私が今回、アメリカの選挙権を持っていたらハリスに投票します。しかし、リベラル「な方」と書くところに含みがあるのですが、政策によっては保守派の意見にうなづける場合もあり、そういう意味では中道と呼べるかもしれません。昨今政治の現場で使われてる便利な言葉でいうと、是々非々ってやつですね。
そんな私からみても、トランプの評価は日本のマスメディアではかなり悪いと思われます(2016年当初よりもマシな気はしますが)。私たちは米国民ではないとはいえ、同じく民主主義を標榜する国の国民として、トランプは米国民の半数以上の支持を得たということは敬意を払って、真摯に受け止めてもいいのではないかと思われます。
今回の選挙については、ハリスというよりも、ブルー、つまり民主党が愛されなかったということにつきると思います。重要なことなのにあまり報じられていないのが不思議なのですが、同時に行われている上院、下院(日本で言えば衆議院、参議院にあたります)選挙でも共和党が勝ったからです。今回はハリスが負けたというよりも、民主党が負けたと考えるのが自然ではないでしょうか。落ち度があるとすれば、多くの他の民主党の候補と、ハリスの政策上の違いは何かをあまり明確にできなかったからではないでしょうか。
私が知る限りでは、アメリカ国民は変化を好む人種です。ですから初の黒人大統領を作ってみたり(オバマ)、政治的には素人のおじさんを大統領に担ぎ上げたり(トランプ)してきたのですが、そんなアメリカ国民が再び同じ候補を大統領にするというのは、アメリカらしくない選択だと私は思いました。それだけ現行の民主党政権に不満がたまっていたんだと思う次第です。民主党本部がバイデンの政策を引き継ぐと言ったのも失点でした。リーダーの顔が変わるだけで中身は変わらないと思われてしまったのかもしれません。
---
アメリカ、日本を含む先進国の今後の最重要問題は移民問題になると思います。日本は伝統的に移民を受け入れてこなかったので、移民問題、人種的マイノリティの問題はあまり政治的話題の中心になることもなかったように思います。この点で日本という国は超保守で、移民を受け入れることに対する抵抗はかなり強いのではないかと思います。日本で暮らす自称リベラルな人ですら、埼玉県川口市でトルコ人やクルド人が犯罪を起こすと外国人を追い出せと言い出してます。多様性はどこにいったんでしょうか。日本は治安のいい国として知られていますが、それは外国人が先進国の中では極端に少ない国だからという面もあるでしょう。人種の多様性に対するアレルギーは世界で見ても日本人はかなり高いと思われます。そしてこのアレルギーはアメリカ人も当然抱えています。全人口の15%が移民と言われるアメリカ人が、もうこれ以上移民は入れないでくれ、と反応したことは想像はしやすいです。その反応が今回出たのでしょう。しかし移民を止めたら止めたでやはり経済が成り立たない面もあるので、再び開放への扉を開くことになるでしょう。歴史を見れば明らかですが、どの国も移民政策は門戸を広げたり狭めたり、その繰り返しです。しばらくすればまた民主党政権がカムバックして移民に対して門戸を開くようになるでしょう。私は個人的には日本に移民が増えるのは賛成です。なぜなら犯罪を起こすような移民はごく少数で、ほとんどの移民はコンビニの店員とか、介護とか配達員とか、スーパーのお惣菜、工場で働いたり工事現場で力仕事をしたりとか、日本人があまりやりたがらない仕事を引き受けてくれている真面目な人々だからです。今後はもっと専門職のマイノリティ、例えば在日外国人の子孫が首相候補とかで出てくれば日本は面白くなると思うんですが、どうですかね。そんなのありえないと思ったあなたは、ハリスを応援する資格ないですよ。
---
さて、今週も先週に引き続き、東京・吉祥寺と神保町でボードゲーム専門店「すごろくや」の代表、丸田康司さんをお迎えしまして、お話を伺ってます。先週は、ボードゲームの本場であるフランスやドイツがいかにしてボードゲーム大国になったかをお伺いしましたが、今回は丸田さんの人となりや、日本人の国民性について話が展開しました。今週もなかなか興味深い話が聞けました!
丸田康司さんプロフィール
1970年生まれ。東京の吉祥寺と神保町にある国内最大級のボードゲーム販売専門店「すごろくや」代表取締役。 1991年より15年間テレビゲーム開発に従事。携わった代表作は『MOTHER2 ギーグの逆襲』『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』『ホームランド』など。独立後、2006年4月に近代ボードゲーム・カードゲームの専門店“すごろくや”を設立。親子やカップルでにぎわう店舗展開と、「Twitter割引」や「名付け当てキャンペーン」などメディアを活用した情報発信企画、オリジナルゲームの企画制作、書籍の企画/制作/執筆、先進的なボードゲームイベントやボードゲーム制作のワークショップ、講座、教育対談の開催など、ゲームを主軸として活動、現在に至る。
マニア向けのボードゲームの面白さを普通の人に伝えたかった
ーー今ではそこそこ大きな街にはボードゲームカフェがあるって印象ですが、私の記憶ではボードゲームを専門で売るお店ってすごろくやさんが走りのイメージがあるんですけど。
丸 そうでもないですよ。メビウスゲームズさん(1993年創業)が日本で最初かな。ただ、すごろくやは、マニアの人向けだったボードゲームを、普通の人に向けて売っていこうとしたという意味ではパイオニアかもしれません。いまだにどうしてもボードゲームってマニア向けのお店になっちゃうんですよ。カタン好きならカタンが最低ラインのマニア向けのお店になっちゃう。
ーーカタンだったらカタンのファン向けのお店になっちゃうってことですか?
丸 ボードゲームってプレイヤーの人口は少ないですけど、実はすごく多様で、誰もが面白いと思えるゲームってまずないんですよ。頭を使いたい人もいれば、運ゲームが好きな人もいる。対象年齢によってできるゲーム、できないゲームもあるし。そんななかで、みんなが楽しめるゲームがありますよってことを広く訴えたってことですかね。カタンが好きな人はカタンばかりやるし、人狼が流行ったらみんな人狼をやるしってなるんですけど、それだけじゃないというか。あるいはキッズ向けで木製のゲームを売ってるお店もあるんですけど、そういう場所だと大人が面白がれるゲームが売ってる場所ではないとかね。
すごろくやは子供や親子連れでも気軽に楽しめる仕掛けがたくさん!
丸田さん的な、今もっとも面白いゲームって何?
ーー丸田さん的に、今プレイしてるゲームとかあるんですか?
丸 あんまり一つのものをずっとやるってことはほとんどないですね。新しいものを試したり、新しいゲームを作ったり。ただ、2023年のすごろくやのゲーム大賞に選んだシーソルト&ペーパーっていうゲームがあって。これはよくできてます。
シーソルト&ペーパー。すごろくやで買えます。
すごろくやゲーム大賞の動画。シーソルト&ペーパーは動画の13分16秒から。
丸 歴代のゲームのなかでも殿堂入りって感じですね。言ってみればトランプのような駆け引き主体のゲームなんですが、自分の手札にカードを集めていって組み合わせで得点をアップするという意味では花札に近いです。もうちょっとうまく役をつくりたいなとか思うんですけどうまくいかなかったりとか、ゲームデザインがすごく作り込まれてる感じがいいです。誰がやっても面白いと思います。去年はわりといいゲームが多かったですね。ただ、ゲームの本場であるヨーロッパの家庭ならできる、日本の家庭だと少し難しいぐらいの難易度で。ですので、日本では流行らないかもしれません。
ーー日本人としては、日本人の頭脳のレベルが低いと言われてるようで悲しいです。。
丸 もちろん全員が全員ではありませんよ。全体として見ると、ヨーロッパの人の方が日本人より難しいゲームを家族でやれる国民性だということです。
ーー日本の家庭では、比較的簡単なゲームしかできない?
丸 話は飛びますけど、そういうところが日本の衰退の原因かもしれないって真剣に考えてるんですよ。みんなが政策に対してもそんなに口に出さないであるとか。その根本にあるのは、家庭や小さなコミュニティを含めて、議論をしない国民性があると思うんですよ。ボードゲームはルールを理解するためにみんなで議論する必要がありますからね。
職人的な天才に頼りがちな日本人
ーーなるほど。でもテレビゲームは日本は強いですよね?
丸 私もかつてテレビゲームを作っていたんですけど、テレビゲームは職人的なエンジニアたちが力を発揮できる場でしたからね。でも現在は、日本ならではの職人技が海外の人たちにもわかってきてしまって、むしろ海外の人のほうがテレビゲーム作りも上手になってしまいました。天才的な職人に頼らないといけなかった作業が分業制になって、飛び抜けた天才がいなくても複数のスタッフで補えるってことを構築したんですよ。そうすると、そちらが勝っちゃいますよね。日本は相変わらず、職人的な天才が頑張る社会ですから。
ーーこの前映画業界の人と話したんですが、まったく同じことを言ってました。宮崎駿のような天才はいるけど、チームで分業しながら作っていくのが日本人は苦手だって。
丸 まったく同じじゃないですかね。アメリカは違うじゃないですか。脚本ひとつとっても、シナリオライティングが完全に組織的に構築されていて、ものすごくよくできてるシナリオが鬼のようにいっぱいあってという感じがしますよね。
ーーディズニーとかピクサーとか、誰が見てもストーリーに納得できる作りになってますもんね。逆に言えば、そこを改善できれば日本は復活できるんじゃないですか?
丸 そうですよね。でもそのためにはどうしたらいいのか、みんなで決めていくというプロセスを踏まないといけないんですけど、それが日本人は苦手ですからね。何か大きく意見を言った人がパスするしかないっていう構造ですよね。
ーー日本は天才が出てくるのを待つしかないんですかね?
丸 でも、それって危険なことでもありますよね。トランプ大統領みたいに声の大きい人が出てくると、そっちに引っ張られちゃうというか。しっかりとした判断をしてその人についていってるというより、空気を読んでついていくだけになっちゃいますよね。
ーーボードゲームの話から、とても大きな話になりましたね。
丸 まあ、繋がってますよね。
ーー日本人ももっとボードゲームで遊んだ方がいいですかね?
丸 ただ遊んでもね。知らない人とか、普段ボードゲームをプレイしない人と遊べるかどうかですよね。「僕は友達がいないからゲームはできない」って言う人も多いんですけど、逆だろ? って思います。「友達がいないからゲームで友達を作ろうぜ」って。みんなを誘ってコミュニティの一つでも作ればいいんじゃないのって私は思いますね。そういうことをしないまま「しょうがない」としてるシャイな人たちが多いですよね。
ーーボードゲームカフェが都内でも増えてきてる印象なんですが、それはいい傾向ですか?
丸 それもシャイだからでしょうね。おひとり様文化と言いますか。たとえばフランスとかだと全然違って、カフェとかプレイスペースみたいなところでちょっとお試しみたいな感じでゲームをプレイしたら、「わかったわかった。これ面白いから買って帰って、面白い俺らの仲間でプレイするわ」って感じなんですよ。ですのでお店で1人で長時間プレイしたりしない人が多いです。日本では、人とじゃなくてテレビゲーム版のボードゲームでもいいって人がわりと多いのはその辺ですよね。カタンをオンラインで1人でできるって時代になりましたが、それをやるならもっと楽しいテレビゲームやったほうがいいんじゃないかと思ってます。
ーー1人でゲームする人が多いというのは、日本だけの傾向なんですか?
丸 日本に顕著ですが、最近は世界的にも増えてきましたね。1人用のルールが入ってないと売れないから、無理やり1人用のゲームを作ったりして。
ーーそれはご時世ですかね?
丸 そうですね。さっきの遊ぶ時間がないとかって話もあるかもしれません。
ーー日本で売れたボードゲームってないんですかね? カードゲームが多いですか。
丸 日本で、世界的なゲームショーで評価されてるゲームはほとんどカードゲームですね。日本発ですごく売れたもののひとつは街コロです。
街コロ。Made in Japan
ーーあれもカードが中心のゲームでしたね。
タイでボードゲームカフェに行った話
ーーヨーロッパじゃないんですけど、私もタイを旅行中にボードゲームカフェに行ったんですよ。コロナ前だから2018年とか2019年の話です。地元のタイ人に教えてもらいながらプレイしたんですけど、すごくいいなと思って。タイ人とお互いカタコトの英語でやりあうんですけど、普通に英会話の勉強にもなるし、ゲームをプレイするっていう共通の目的があるからお互いに密なコミュニケーションが取れて。
タイ・バンコクのボードゲームカフェ「Throne of games」。たまに日本語ができるスタッフがいらっしゃいます。
丸 はいはい。きっかけになりやすいですよね。
ーー私は体質的にお酒が飲めなかったりするんで、酒を飲まなくても仲良くなれるなって思って。日本人のコミュニケーションって基本的にお酒を介して行われることが多いというか。酒を飲まないと突破できないところがあると思うんですよ。そうじゃなく誰かと仲良くなれる場所だったんで、よかったなって思います。だから、日本でボドゲカフェが増えてるということは、個人的には友達を誘いやすくなってるんで、嬉しい傾向だと思います。
丸 たしかにそういう面もあるでしょうね。
ーーゲームそのもの楽しむのもあるけど、相手の性格を知ったりとかするのもいいなって。ゲームをプレイする時って実はすごく人柄が出るじゃないですか。誰かがダーティなプレイをしたら、「おいっ!」て言えたりもするし。なかなか大人になるとそういう言葉を他人に言えなかったりしますからね。
丸 すごろくやとしてもボードゲームを使ってそういったことをもっとやってほしいなと思います。そういうことができるというのはいいことですね。シャイで友達がいないって人が多いから。
ーー私もシャイですけど、ボードゲームやるときは比較的社交的になれます。お酒も必要ない場所なので、私にとってもボードゲームやりに行こうよって誘いやすいというか。
丸 うんうん。なるほどね。
ボードゲームを通してみる日本社会と、韓国の話
ーー話を聞いて思ったんですけど、日本のゲーム職人がいいゲームを作ることも大事ですけど、私のようなプレーヤー側のマインドもボードゲームの本場、ヨーロッパみたいに成熟するといいんじゃないかなって思いました。それってどうすればいんでしょうか? 学校のレクリエーションの時間で取り入れるとかですかね??
丸 日本でもそういうのを期待して活用される先生も多くはなりましたね。ただ、日本の教育機関に持ちかけて社会を変えていくのは、100年ぐらい無理なんじゃないかなって思います。日本のそういう機関は前例があるのかってことを大事にしますからね。理屈でこうだからいいって根拠を述べても聞いてくれないじゃないですか。
ーーそうですね。前例を大事にしますよね。話を伺っていて、ボードゲームを取り巻く状況は、日本の状況そのものと繋がってる気がしました。たとえばゲームを買って帰る時も、やっぱりUNOとかジェンガとか、もうルールをわかっていて面白さがわかってるゲームばかり買って帰りがちですよね。失敗したくないという気持ちがあるからなかなか新しいゲームを買えない。でもそうやっていくと、過去の社会の再生産になって新しいものは生まれない。それが日本の問題点とどこか似てる気がします。
丸 そうですね。そういえば、韓国の場合なんかは教育にゲームが使えるってことに気づいて一気に国策でやり出したんですけど、うまくはいかなかったんですよね。10年とか15年ぐらい前だと思うんですけど、政府の後押しもあってものすごい勢いでボードゲームカフェ的なところができたんですけど、結局賭場(ギャンブル場)になってしまったんですよね。場所だけ作ってもダメで、人が変わっていかないとそんなにうまくいくもんじゃないですかね。
ーーそうなんですね(笑)。
丸 でもそれでもそうやってきっかけさえあれば動くような韓国の方がうらやましい気はしますけど。
すごろくやの今後の野望
ーーすごろくやとして今後やりたいことはありますか?
丸 まだまだボードゲームが面白いってことが知られてないので、もっと気づいてもらうことをしないといけないですね。そのためには、家族内で知らないゲームをもっとできるような文化を広めていきたいです。
ーー最後に、丸田さんが思うボードゲームの魅力はなんだろうなってことを改めてお聞きしたいです。
丸 主に2つですかね。一つは、ゲームってものの性質をもっとみんなわかったほうが面白いよって思ってるんです。おもちゃとゲームは違うもので、おもちゃはただ遊ぶものですけど、ゲームの本質は人間がクリエイティビティを発揮しているってところだと思うんです。なのでゲームを通してクリエイティビティってなんだろうってことをわかってほしいです。
もう一つはボードゲームを扱う場というのは小さな社会なんですよね。みんなで支えないと場がなりたたないんです。だから自分が勝つためじゃなくて、本質的には場の参加者が楽しめる場を作ることが楽しいし、みんなが楽しむにはゲームという目的があったほうが楽しいですよね。それを皆さんにわかってもらいたいんです。それができるってことは、社会性を伸ばすことにつながると思うんですよ。その大きな二つの要素をライフワークとしてやっていく上で、ボードゲームがいちばん使えるなと思ってるんで、その順番でやってる感じです。
ーーなるほど。ボードゲームを通してクリエイティブと社会を理解してほしいわけですね。なんかすごく勉強になります。特に私はゲームになるとついつい勝負に夢中になってしまいますので(笑)。映画とかも、見るだけで面白いですけど、「この映画はここがいいよね」って友達と話し合うことに本質がある気がしますし。
丸 たまに難しいゲームを子供とやるときにルールを変えましょうっていうと、保護者の方に驚かれるんですよ。「ルールって変えてもいいんですか!?」って。でも、目的はゲームをより楽しむことだから、その場のレベルに合わせてルールを変えてもいいんですよ。それはなんのためにルールがあるのかを考えていくとわかることなんですけどね。
ーールールは上から降りてくるもので動かせないって認識があるんですかね。
---
ゲームはクリエイティビティの固まり! ボードゲームをプレイする集団は最初の社会! ルールは変えていい! って金言がたくさん聞けたところでインタビューは終了。普段と少し違う雰囲気の記事になりましたが、世界の文化を取り上げる楽園の地図としては、ヨーロッパと日本の文化の差など、興味深い話がたくさん聞けました。
撮影協力:すごろくや 吉祥寺店
今週のオアシス シーサイド(嘉手納町/沖縄/日本)
肉!!
米軍仕込みの肉を喰らう
沖縄の名物料理と言えば、地元に古くから伝わる沖縄料理(ラフテー(豚の角煮)、ソーキそば、ゴーヤチャンプルなど)の他に、戦後伝わったアメリカ由来の食べ物も有名です。たとえばタコスやタコライス。そしてハンバーガーやステーキなど。なかでもステーキは日本の他の地域よりレベルが高いと思います。
で、沖縄でステーキと言えば、ステーキハウス88とか、ジャッキーステーキハウスとかが観光客にも有名なんですが、私的なおすすめは、那覇なら栄町ステーキ、ステーキヒカルなど。北谷ならステーキハウス金松、北部ならステーキマンなんかがおすすめです。ただしいずれもコスパがいいってだけで観光的な情緒はないので、それを求めるならステーキハウス四季なんかは、目の前の鉄板でステーキを調理してくれるのでおすすめかもしれません。
ただ、今日紹介するのは、それらとは一線を画す、シーサイドというレストランです。レストランの名前通り海沿いにあって景観もよく、高級感があるので記念日なんかにもおすすめです(あまり記念日にステーキが食べたいという女性は少ない気がしますので、女性が男性を祝うのにはいいかもですね)。少々値は張りますが。肉はかなり価格変動の大きい食材なのですが、私が訪れた2022年ですとこんな感じです。
写真のTボーンステーキは29ドル。
金額以前に単位がドル建てであることに驚くかもしれません。そう、ここは米軍基地のテリトリーのなかにあるレストランなのです。私が訪れたのは平日で、お客さんは4組ほどでしたが、私たち以外は全員外国人でした。おそらく軍関係者とその家族って感じでしょう。
私は数年前にアメリカに旅行に行って使わなかったドルをここで使おうと思い、会計時にドル紙幣を店員に渡したところ、何も言わずにThanksと言って受け取りました。沖縄でも特に嘉手納町や、あるいはコザ(沖縄市中心部)あたりではドルがお店で使えることも多いので(基地外の市街地の場合、換金レートは悪いですが)、余ったドル紙幣があれば沖縄に持ってきてもいいかもしれません。
ちなみにこのお店はアメリカ軍基地なので米国内となっていて、レートも円よりドル払いの方がいいと思われます。なお、輸入牛肉には当然関税がかかりますが、米軍基地は法的にはアメリカ国内なので、この肉たちは関税がかけずにやってきた肉です。ですので、普段アメリカ産の肉を食べる方でしたら、このお店の方が安いかもしれません。
沖縄は、軍のフェスティバルのようなものが開催されていて、沖縄県民と米軍の相互理解を深めるためか、数々のパーティを米軍基地で行っています。もしも沖縄に遊びに来る方がいましたら、きれいな海なんかも素晴らしいですが、社会勉強のため米軍基地やその周辺の見学などしてみてもいいかもしれません。普段気づかないような発見があるかもしれませんよ。
そう言えばトランプ政権はアメリカファーストを政策に掲げていて、日本にある米軍基地の予算削減と兵力の撤退を訴えています。そうは言っても国防上の問題があるので、すぐには兵を引き上げないと思います。となると、予算削減としてこういった周辺施設を閉鎖したり、パーティを中止したりといったことが行われると予想されます。遊びに行くなら今ですよ。
告知
楽園の地図で登場した場所をGoogle Mapに掲載するプロジェクト、進行中です。
現在58号まで更新中!
あと、楽園の地図note、頑張ってます。基本的には当メルマガの再編集記事が多いですが、現在、C-POPに関する連載をやってまして、わりと包括的に中国語圏のポップスの歴史を振り返ってますので、もしご興味ある方はご一読を!
(連載)C-POPの歴史
おわりに
※カードゲーム「音速飯店より」
助手「船は暇ですね。ゲームやりましょうよ!」
船長「どんなゲーム? 俺は麻雀と花札ぐらいしかやらないのよ」
助手「じゃあこれなんてどうです? 音速飯店。単純だから。とにかくメニューがあえばOKですよ」
船長「あー、これならすぐにできそうですね。俺も中華好きだから」
助手「えーっと、トム(ต้ม)」
船長「・・・ト、トム?」
助手「ヤム(ยำ)、クン(กุ้ง)!」
船長「なんか、俺の知ってる音速飯店じゃないな」
助手「ソム(ส้ม)!タム(ตำ)!パッ(ผัด)!タイ(ไทย)!」
船長「ゴイ(Gỏi)!クォン(Cuốn)!」
助手「ゴイ(Gỏi)!」
船長「クン(กุ้ง)!」
助手「違う違う、クン(กุ้ง)とクォン(Cuốn)は別だから」
船長「細けぇ。お前、だから友達いないんだよ」
助手「うるさい! ナシ(nasi)!」
船長「茶漬け!」
助手「ゴレン(goreng)!アウト!なんですか『ナシ茶漬け』って」
船長「俺の生まれた地方ではあるんだよ、梨茶漬け。懐かしいな」
助手「船長の出身地どこですか?」
船長「新宿区」
助手「聞いたことないな〜!東京なら知ってそうなのにな〜!」
船長「えーい! じゃあこっちのカードも混ぜてやる!」
助手「ただアルファベットが書いてあるカードですけど」
船長「いくぞ! B!B!Q!」
助手「あ、ああ、そういうことか。・・・・え、ええ、アルファベットで料理名ってむずくね?」
船長「K!F!C!」
助手「うーん、まあアリか。料理名ってかファーストフードのメーカー名だけど。えーい! S!&!B!」
船長「いやいや、それはダメだろ」
助手「なんでですか、船長からメーカー名もありってことになったんですよ」
船長「KFCはフライドチキンだから料理だけどS&Bはスパイスだろ?スパイスは料理じゃないよ」
助手「いやいや、S&Bはレトルトカレーも出してますよ!」
船長「ずりぃ。なんかずりぃ。えーい、F!&!C!」
助手「な、なんですか、F&Cって」
船長「フィッシュアンドチップス」
助手「フィッシュアンドチップスをF&Cっていう人聞いたことないですよ」
船長「リズムアンドブルースは?」
助手「R&B」
船長「そういうことだよ」
助手「じゃあこの辺にあるカードも混ぜて・・・スイカ(Suica)」
船長「ずりぃ。俺はいまPASMOと保険証しか持ってないのよ」
ーールールは変えてもいい(すごろくや:丸田康司さんの発言より)
すでに登録済みの方は こちら